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「月収3~4万でも結婚したい」 レンタルニートと人生について語り合ってみた

池袋で「レンタルニート」の看板を持って立っていたこともあるという。

池袋で「レンタルニート」の看板を持って立っていたこともあるという。

世の中には「レンタル彼氏・彼女」や「レンタル家族」など様々な「レンタル○○」がある。いろいろなサービスがあるんだなと驚くばかりだが、「レンタルニート」というサービスがあると聞いたときは耳を疑ってしまった。ニートをレンタルしてどうするんだよ!と……。

このサービスはニートの仲陽介さん(28)が1時間1000円で話し相手や遊び相手になってくれるというものらしい。友だちのいない筆者(編集部N 27歳女性)もこれ幸いとばかりに、早速2時間ほど予約を入れてみた。

3月中旬、編集部がある浜松町駅で仲さんと待ち合わせた。サラリーマンの行き交う中、仲さんはジャージにジーパンというニート然としたいで立ちで堂々と立っていた。手には「レンタルニート 私が一緒に遊びます」と書かれた看板を持っている。

恐るおそる挨拶をし、今日は一緒に人生ゲームで遊んでもらいたいと伝えると快諾してくれた。

「レンタルニートは食事でもカラオケでも利用者の希望に合わせてご一緒します。もちろん人生ゲームも大歓迎ですよ」

話してみると、ニートとは思えないほど穏やかでしっかりしている。仲さんと一緒に弊社オフィスへ向かい、人生ゲームに興じることにした。

人生ゲームに興じる仲さん(右)と筆者(左)

人生ゲームに興じる仲さん(右)と筆者(左)

工学部を卒業するも真面目に就職活動をせずニートに

人生ゲームは、職業を選択するところからスタートする。あたかも「就職して社会人になってからが本当の人生の始まり」と言わんばかりだ。これではニートの仲さんはスタートにすら立っていないということになってしまう……。しかしいまは人生ゲームの最中。世知辛い現実は忘れて、もう一つの人生を歩み始めよう。

なぜ生まれたところからスタートしないんだろう……

なぜ生まれたところからスタートしないんだろう……

筆者は「専門職コース」を選択し、月給$15000のアスリートになることができた。仲さんは何のためらいもなく「ビジネスマン」コースへ。その直後「入社早々にほめられた!$5000もらう」というマス目に止まり、順調なビジネスマン人生を歩み始めたようだ。

しかし実際には働いたことのない仲さん。大学卒業後、なぜ働かずに「レンタルニート」になったのだろう。

「ろくに就職活動をしないまま2013年に大学を卒業しました。その年の4月にちょうどニート株式会社のメンバー募集が始まったんです。すぐに応募しました。ニート株式会社は準備期間を経て、2013年の11月に設立されました。そこで事業の一環として『レンタルニート』を始めたんです」

しかし仲さんは東洋大学の工学部出身。就職活動を真面目にやれば就職できたのではないだろうか。なぜわざわざそんな進路を選んだのだろう。

「僕よりも先に働き始めた友人たちは、長時間労働や低賃金に苦しめられていました。会社を辞めてフリーターになった人もいました。友人たちの話を聞いていて、就職しても長続きしないだろうと思ったんです。
会社説明会に参加したこともあるんですが、学部3年生のみが対象になっていて融通が利かないなと思いました。皆が同じ格好をしているのが苦手で、合同説明会に私服で参加したこともありました。
とにかく就活には馴染めなかったし、働き始めても長続きすると思えなかった。真面目に活動しないうちに大学卒業を迎えてしまいました」

仲さんの話を聞きながら、筆者も大きく頷いていた。大体人に命令されるのが嫌だし、そもそも人と関わること自体が面倒くさい……と働きたくない気持ちが爆発しそうになったが、原稿を確認してくれる上司の手前、このくらいに留めておくことにしよう。

「お金はないけど、価値観の合う女性がいれば結婚したい」

え、みんな結婚するの……?

え、みんな結婚するの……?

人生ゲームでは、誰もが結婚することになっている。結婚しないという選択肢はないのだ。逆に言えば、誰でも結婚できるようになっているということでもある。

仲さんは「時代に合わないんじゃないですか。結婚するかどうか選択できた方がいいと思うんですよ」とぼそり。しかし、そんな仲さん自身は「結婚願望がある」という。

「『お金がないのに結婚なんてできるの』とよく言われるんです。確かに結婚後の生活や子育てにはお金が掛かりますが、結婚自体にはお金は掛かりません。婚姻届けを出すだけですからね。価値観の合う女性がいれば、結婚したいと思っています」

そう言いながら、なんのためらいもなく妻の分のピンを自動車のコマに乗せた。ベテランぼっちの筆者は「結婚して誰かと一緒に生活するなんて絶対無理!」と内心思いながら震える手で夫のピンを車に乗せた。

結婚後、仲さんは「エンジニア」に転職し、ランクアップまでして「ロボットクリエイター」になった。月給は$65000で、アスリートの筆者の4倍以上。くそっ、現実にはニートなのに……。

一方、筆者は「終電を逃した!$3000はらう」「ラーメンの食べ歩きで散財。$4000はらう」など普段のだらしない生活を見透かされたかのようなマスにばかり止まるはめになった。

シンガポール旅行への同伴をお願いされることも

レンタルニートでは、2014年のサービス開始以来、100人以上から依頼を受けてきたという。起業の相談や自作ゲームのテストプレイのほか、話し相手などの依頼が多い。中には旅行への同伴を依頼する利用者もいるらしく、今月中にもシンガポールへ行くという。

利用者と飲んだり食事をしたりしているうちに仕事の相談になることも多いそうだ。ニートの仲さんに仕事の相談をしても、と思ってしまうが……

「働いている人に仕事の相談をしても厳しいことを言われてしまうことが多いんです。仕事を辞めたいと相談しても『耐えろ』と言われてしまう。ニートならそんなことはありません。気楽になんでも相談してほしい」

確かに、働かなくとも楽しく生きている人に相談したら、いくらが気持ちが楽になれそうだ。

人生ゲームは筆者の勝利だが……

仲さんの現在の月収は3~4万円。レンタルニートやプラモデルの組み立て・塗装代行などで収入を得ているという。「今後、就職する予定はあるのか」と筆者が尋ねると、

「労働者の権利が守られている環境であれば働いてもいいと思っています。残業を拒否しても干されなかったり、好きなときに休めるようなところがいいですね。でもいまのところ特に就職活動はしていません」

という回答が返ってきた。

 

正社員として働く筆者とニートの仲さん。社会的には筆者の生き方の方が「勝っている」と評価されそうだが、仲さんの自由な話を聞いているうちになんだか羨ましくなってきた。

人生ゲームに勝ったものの、もやもやとした気持ちが残ることになった。

※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」と出典の明記をお願いします。

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