学生と若手社会人が作り上げる「就活ミュージカル」 来年3月の公演に向け練習中
就職活動をテーマにしたミュージカルを学生と若手社会人が作り上げる企画が、来春の上演に向けて進んでいる。その名も「SSI(就職戦線異状アリ)就活ミュージカル」プロジェクトだ。参加者の舞台経験の有無は問わず、スタッフとキャスト総勢で200人以上になる。
会場は、東京・池袋にある東京藝術劇場シアターウエスト。2015年の3月19日から22日にかけて、12公演を予定している。就活や仕事に悩む若者が、自分の問題と向き合いながら「働くとは何か」を考える内容になるという。
景気回復でも「就活を巡る問題点は変わっていない」
プロデューサーを務める会社員の関峻介さん(26)は、企画の目的について「誰でも楽しめるミュージカルを通じて、就活の問題点を広く知ってもらいたい」と語る。
アベノミクスによる景気回復で、ここ数年の就活市場は確かに改善された。しかし、何十社受けても内定が出ずに自信を喪失し、そのままニートになってしまう「若年無業者」や、数年で辞めてしまう社会人など、就活を巡る問題点は変わっていないと指摘。脚本にも、学生たちがリサーチした最新の就活事情が盛り込まれるという。
現在、キャスト希望者には歌とダンス、演技のレッスンを行なっている。劇団四季などで活躍していたプロの俳優が指導を担当しており、フェイスブックには発声練習に励む参加者の様子が紹介されている。
9月に第一次の、12月には最終オーディションがある。ただし出演希望者は全員舞台に立つことができるといい、あくまでも配役や演出の方針を決めるためのものだという。
参加者に多いのが、就活を前にした大学2~3年生だ。プロジェクトでは、参加者が「働く」ということについて考えるために、社会人らへのインタビューの場も設けている。大手企業の内定を獲得した学生など就活の先輩もインタビューに参加しており、就活の事前準備の場としての側面もあるようだ。
4日間で12公演。3600人が舞台を目にする予定
関さんによると、設営日などを含めて会場を5日間借りるのに約100万円かかる。そこで8月からクラウドファウンディングサービス「READY FOR?」で寄付を募っていたが、10月27日16時ごろに無事達成した。
コメント欄には「就職とミュージカルの異色の組み合わせに惹かれました」「おじいちゃんに協力してもらいました」など、プロジェクトを応援するメッセージが寄せられている。
寄付を募るためにフェイスブックの公式アカウントで呼びかけをしていたところ、行く先々で学生などから「就活ミュージカル知ってる!」と言われるようになったという。若い世代での関心の高さが感じられる。
300人が入れる会場で1日3公演、4日間で12公演を予定。3600人が舞台を目にする計算だ。関さんは「多くの人が就活の問題点に関心を持ち、働くことについて自分自身が考えるきっかけになれば」と話している。
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