キッザニアの通貨「キッゾ」がメルカリで取引中 「本末転倒」「これも含めての学び」
子どもが様々な職業体験を行える施設「キッザニア」では、体験した仕事に応じ、施設内で使える通貨「キッゾ」が貰える。子どもたちは貯めたキッゾで鉛筆やアクセサリーを購入したり、アクティビティに参加することができる。実際の社会のように、働いてお金を得て消費する、というシステムを疑似体験できる仕組みだ。
しかしそのキッゾ、フリマアプリで売買されていることがツイッター上で話題となっている。4月3日、あるユーザーが以下のツイートを投稿した。
「キッザニアで子ども達が職業体験するともらえ施設内でのサービスや買い物に使える通貨『キッゾ』がメルカリで取引されてるの、キッザニアの仕組みを根底から揺さぶっててシブい」
「『世の中は全てカネで解決するんだよ』って教えたいのだろうか?」
メルカリを覗くと4月10日現在、「キッゾ」紙幣が数十点出品されている。値段は「86キッゾで333円」「272キッゾで300円」など、取引レートは一定ではない。「子供が小さい時に数回キッザニアに行きましたが、年齢的に大きくなり、もう行かないので出品いたします」と理由があるものから「全部で50キッゾあります」と、金額のみ表記されているものまで様々だ。
出品者は東京、大阪、兵庫など各地に存在している。取引が成功しているものも数点あった。子どものために、アプリでキッゾを買い与える親が一定数いるようだ。
ネットではこれを知った人から疑問の声が出ている。
「出品されたキッゾをリアル日本銀行券で買うのは本末転倒だと思う。親はキッザニアに行ってまで『世の中は全てカネで解決するんだよ』って教えたいのだろうか?」
「為替取引ということになるのじゃろうか」
「世知辛い世の中というか、これも含めての学びだと無理から結論づけるか」
と、受け止め方に迷う人も見られた。
メルカリの出品禁止商品に「債権・有価証券・保険などの金融商品」とあるが……?
キッゾがフリマアプリで売買されているということは、つまり、施設内の仮想通貨が現実の日本円と交換されているという意味になる。
メルカリの利用規約では、「債権・有価証券・保険などの金融商品」は出品禁止商品と記されている。「ルールとマナー」を参照すると、これらの具体例として「商品券、債券、小切手、クレジットカード、宝くじ等の金券類」が挙げられていた。
キッゾは50キッゾ=50円のように、円の同じ数字と同等の価値がある訳ではない。厳密には金券と言えるかどうかは微妙なところではある。
ただやはり、子どもが体験を通して社会の仕組みを学ぶ施設、「子どもが主役の街」を謳うキッザニア内での通貨を換金する行為は、マナーとしていかがなものか。ネットでも
「キッザニアのキッゾ(キッザニア内通貨)をメルカリで売ってるやつ恥ずかしくないの!? 子供の稼いだ金(キッザニア内通貨だけど)でしょ!? それを子供のリアル小遣いにでもするんかな? キッザニアの方針とも反する感じで嫌い」
「職業体験した自分の子からキッゾを取り上げて売るのかい? 絶対嫌だわ。たとえ使わなくても記念として持っておきたいでしょそれ」
と、事態を快く思わない人から意見が挙がっていた。
※追記
本件に関して10日14時、キッザニアを運営するKCJ GROUPの広報担当者から回答があった。取引についてはかねてから把握しており、「サイト運営側に都度取り下げ依頼をして対応していただいています」としている。
ただ、サイトの運営方針によっては、出品の取り下げに至らない場合もある。その場合は、多数出品している利用者に直接働きかけることもあるという。今回の事実について
「(キッゾは)金商法上の金券ではないため換金できる金銭的な価値はありません」
「キッザニア内での体験等にしか使用できない、金銭的な価値のないキッゾを売買する人がいることについては、理解いたしかねます」
と、コメントしている。
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