奨学金の返済額を給与に上乗せするという企業が登場 「所得の低い新社会人を支援したい」
奨学金返済の負担が問題化する中、社員に返済の支援をする企業が増えている。ITコンサルティング・情報システム開発の情報戦略テクノロジーは、4月20日、新卒社員に奨学金の返済額を給与に上乗せして支給することを発表した。
毎月3万円を上限に返済額と同額を給与に上乗せ
近年、大学の授業料は大幅に上がっている。1975年には3万6000円だった国立大学の授業料は、2015年には53万5800円にまで上昇。大学生の51.3%が奨学金を借りているが、大卒の初任給や平均年収は上がっていない。そのため、奨学金の返済に苦しむ新社会人は多い。
同社の「奨学金返済支援制度」では、2018年4月1日以降に新卒採用枠で入社した社員が対象になる。返済開始から5年間を上限に、返済額と同額を最大3万円まで支給する。入社後数年間勤め続けることを条件に、奨学金返済を支援する、という企業はいくつかあるが、同社の場合は勤続年数に縛りがないのが特徴だ。
同社の担当者は、「社会貢献と若手の支援が狙い」と語る。
「現在、奨学金の負担は社会問題になっています。国会でも給付型の奨学金制度について議論が始まっています。返済支援制度を通して、こうした問題の解決に資すればよいという思いがあります。
また弊社でも、新入社員の5~6割が奨学金を借りています。キャリアのスタート時は、所得があまり高くないため、返済が負担になってしまっています。そこで最初の数年間だけでも支援したいという思いで制度を立ち上げました」
同社は、社員第一主義を掲げており、会社の利益を積極的に社員に還元しているという。今回の返済支援制度も、こうした社員重視の表れだとしている。