絶滅危惧種のウナギ、本当に食べていいの? 「安いものは密漁された可能性が高く、食べないでほしい」と保護団体呼びかけ | キャリコネニュース
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絶滅危惧種のウナギ、本当に食べていいの? 「安いものは密漁された可能性が高く、食べないでほしい」と保護団体呼びかけ

今日7月25日は「土用の丑の日」。ネット上では、「うなぎ食いてえなあ」「うなぎ弁当いただきました」といった投稿が相次ぐ一方、「うなぎが絶滅危惧種と知りながらも(中略)いなくなる前に食っちまえって精神が野蛮なのよなこの国」とうなぎを食べることを批判する声も相次いでいる。

環境省は2013年、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定。国際自然保護連合(ICUN)も2014年に「近い将来における野生での絶滅の危険性が高い」と定義される「絶滅危惧1B類」に指定した。

日本人はそうした状況にも関わらずウナギを食べているわけだが、そもそもどうしてウナギはここまで減少してしまったのだろうか。日本自然保護協会の担当者は、キャリコネニュースの取材に対し、「生息環境の悪化が大きいのではないか」と語る。

「高度成長期以降、コンクリートによる河川の護岸化が進み、うなぎの居場所がなくなった」

ウナギはいつまで食べられるのだろうか……?

ウナギはいつまで食べられるのだろうか……?

「はっきりとしたことはわかっていませんが、いくつかの原因が考えられます。1つには、川に魚道のない堰があると、ウナギは堰を超えられず、生息域となる流域が減ってしまうことがあります」

コンクリートによる護岸化や河川の直線化もウナギの居場所を奪っているという。

「高度成長期以降、コンクリートによる河川の護岸化が進みました。ウナギは土に潜るので、川底をコンクリートで固めてしまうとウナギの居場所がなくなってしまいます。また明治以降、蛇行している川を真っ直ぐにするような工事が行われてきました。川の流れが単純化すると川の中の環境も単純化し、魚が暮らしにくくなるんです」

そのため、堰をなくしたり、堰の高さを低くするといった生息環境の改善が必要になってくるという。また現在は正確にわからないウナギの数をきちんと調査することも重要だ。

「海外から輸入された稚魚の多くは、密漁で捕られたもの」

また消費者に向けて、「安いウナギは食べないでほしい」と呼びかけた。

「養鰻業者は稚魚を購入して養殖します。海外から輸入された稚魚の多くは、密漁で捕られたものだと考えられます。また国内で採捕された稚魚の半数近くが、密漁によるものだという調査もあります。安いウナギは、密漁された稚魚を養殖したものである可能性が非常に高いため、極力食べないでほしいと思います。保護活動に寄付をしている企業の商品を購入する方が望ましいでしょう」

共同通信の調査によると、2016年11月から2017年4月に国内で捕られた稚魚の45.45%が密漁など違法取引の疑いがあるという。

ただ、「密漁」の定義を巡っては異論もあるようだ。日本養鰻漁業協同組合連合会の担当者は「密漁はそこまで多くないのではないか」と語った。

「県知事の許可を受けてはいると思う。ただ、指定された養鰻業者に売らず、もっと高額の業者に売っており、密漁として数えられてしまっているのではないか」

なお海外から輸入される稚魚が密漁によるものかどうかは「わからない」という。

保護活動に取り組む団体には、パルシステム生活協同組合連合会がある。パルシステムでは、購入されたウナギ1点につき、10円を放流事業やそのモニタリングに充てているという。また同会のウナギは、「大隅養鰻漁業組合」が鹿児島県内で許可を受けて捕った稚魚を養殖・加工しているため、流通経路も明確だ。

スーパーのマルエツも同様の取り組みを進める。7月21日~25日までの5日間、ウナギ製品1点につき10円相当を、ウナギの調査・研究などを行う「鹿児島県ウナギ資源増殖対策協議会」に寄付するという。

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