「ベランダ喫煙禁止法」制定を目指す「受動喫煙被害者の会」 設立3か月で会員1000人に
受動喫煙に対する世間の関心が強まる中、集合住宅での隣室や近隣住宅から流れてくるタバコの煙に苦しむ人たちによる「近隣住宅受動喫煙被害者の会」が設立され、約3か月が経つ。同会は「ベランダ喫煙禁止法・条例」の制定に向け、活動を進めている。
マンションの管理会社に苦情対応を義務付け
8月20日付け毎日新聞が会の活動を報じ、ヤフートピックスに掲載されると「一日で500件程度の反響があり、会員数は約1300人にまで急増」したと同会広報担当者は明かす。反響の大きさは、受動喫煙に苦しみながらもこれまで声を上げられなかった人の多さを表していると受け取れる。
入会者は、人口密度が高く、戸建てでも隣家との距離が近い首都圏に在住する人を中心に、全国から集まっている。近隣住宅から流れてくる煙によって「洗濯物にたばこの匂いがついて困る」といった人に加え、ぜんそくやめまい、アレルギーや抑うつ状態といった健康被害に遭う人たちなどから多くの共感を呼んでいるようだ。
会は、集合住宅の管理会社や自治体が、受動喫煙の被害報告に対応する義務を負う「ベランダ喫煙禁止法」の制定を目指している。具体的な内容は、
「例えば、集合住宅の隣の住人がベランダで吸うタバコの煙に困っている場合、被害者から連絡を受けた管理会社が、喫煙している住人に注意を促すことを想定しています。誰が吸っているか特定できない場合は、居住者に電話をかけて『心当たりはありませんか』といった声掛けをしてもらいます」
とのことだ。戸建ての場合は、管理会社の役割を自治体に担わせる。
現在、厚労省や国土交通省、警察庁などに受動喫煙の被害状況を伝え、対策を検討するよう促す申し入れをするべく準備を進めている。また、日弁連を通して人権侵害救済の申立てを行う他、WHOの健康都市連合に加盟している自治体に「ベランダ喫煙禁止条例」の制定を訴えかけていくことも検討中だ。
「副流煙を他人に吸わせずに済む場所を確保して」と担当者
気になるのは喫煙者の反応だが、3か月の活動期間中、喫煙者からの苦情は今のところ数件しか入っていないという。予想を下回る数の少なさに驚いているそうで、担当者はこの理由を「個人的な意見ですが、喫煙者の方も、副流煙が有害化学物質ってわかっているから言いにくいのではないでしょうか」とした。
ネットでは喫煙者を中心に「どこで吸えば良いのか」との声が挙がっているが、
「誰にも迷惑がかからない場所で、堪能する分にはいいと思うんです。ただ、喫煙所でも近隣から苦情が出るなど、迷惑がられているところもあります。そういった点をよく考慮した上で、副流煙を他人に吸わせずに済む場所を確保してほしいです」
と語った。飲食店の喫煙規制が検討され、都民ファーストの会が、家庭も含めた屋内全面禁煙を打ち出すなど、喫煙者の肩身の狭さは増す一方だが、こうした流れはもはや避けられないのかもしれない。
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