議員の妊娠が物議を醸す日本、「政治参加」の男女格差は114位で過去最低 ネットでは「人権後進国」との皮肉
世界経済フォーラム(WEF)が11月2日に発表した各国の男女格差(ジェンダーギャップ)報告書で、調査対象国144か国中、日本は114位と前年度より順位を3つ落として過去最低を記録した。
ジェンダーギャップ指数とは、各国の社会進出における男女格差を示す指標をいう。「経済活動への参加と機会」「政治への参加」「教育」「健康と生存率」の4分野、計14項目で、男女平等の度合いを指数化して順位を決める。
日本が順位を落とした背景には、女性の政治参加への遅れがある。同項目の日本の順位は123位で前年の103位から大きくダウン。事実、1日に発足した第4次安倍内閣の閣僚16人中、女性は2人にとどまっている。
「健康と生存率」は1位、「教育」では74位と健闘
日本は「教育」では74位と比較的健闘し、「健康と生存率」では1位だった。しかしその他の項目での順位は低く、「経済活動への参加と機会」では114位。女性活躍が叫ばれるが、労働市場における男女格差は埋まらない。
123位だった「政治への参加」は、女性国会議員の割合、女性閣僚の割合、過去50年での女性現出の在任期間で評価された。先の衆院選での女性候補者は17.71%と戦後最多だったとはいえ、国際的に日本の女性政治参加は遅れている。今年7月には、当時衆議院議員だった鈴木貴子氏の妊娠に対し、「職務放棄だ」などの批判がきたと本人がブログで明かし、物議を醸した。こうした現状は改善されるべきだろう。
ランキング全体での1位はアイスランドで、経済活動項目で14位、教育で57位、健康と生存率が114位、政治参加で1位を記録している。日本の順位は、昨年に引き続きG7中で最下位とあって、ネットでは、「日本は人権後進国」「日本は男女平等度においては、完全に後進国」といった皮肉が書き込まれていた。
ジェンダーギャップ解消の鍵は「男性の家庭進出」にあるのでは?
男女格差が縮小しない背景には、女性の働きにくさが考えられる。政府は少子化対策を強調するが、今年4月1日時点での全国の待機児童数は2万6000人あまり。「働くために保育園に預けたいのに、働いていないから預けられない」という悪循環に悩む女性は多く、仕事と育児を両立させるのは容易ではない。
2015年度の出生動向基本調査では、希望する結婚後のライフコースを聞いている。男性はパートナーに、「再就職」(37.4%)や「両立」(33.9%)を望む人が多く、「専業主婦」は10.1%にとどまる。
だが2016年度の男性の育児休業取得率は3.16%に対して、女性は81.8%と大きな開きがある。夫が家事や育児に積極的に向き合わない場合、妻は離職せざるを得ない。一度離職すると再就職が困難であることも問題だ。
男性・女性ともに柔軟な働き方が当たり前のようにできない限り、男女格差は一向に縮小しないのではないか。
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