結婚式もリーズナブルに賢く挙げる時代 成長続ける「スマ婚」が”適正価格”を実現できる理由
結婚しても経済的な事情などで式を挙げないカップルが増加する中、従来よりも低価格で挙式・披露宴ができる「スマ婚」(運営:株式会社メイション)が成長を続けている。
スマ婚事業部 部長の河田竜治さんは「立上げ当初の2009年は『とにかく安く結婚式がしたい』という人が多かったんですが、近年は『リーズナブルに賢く挙げたい』という人が増えてきています」と話す。
ゼクシイの調査によると結婚式の平均費用は約354.8万。しかし、スマ婚では平均約200万円で結婚式を行うことできる、ご祝儀と相殺で持ち出し金額がゼロになるカップルもいるという。なぜ安くできるのか、河田さんにその仕組みを聞いた。
「一生に一度だから」という言葉で高額になってしまう人が多かった
河田さんは従来のブライダル業界を「異常な利益率を設定し、業界だけが美味しい思いをしている状態でした」と指摘する。ブライダル業者は自社で式場を保有していることが多く、建設費・維持費にコストがかかってしまう。そのため顧客から利益を回収するため「オプションやグレードアップ」を提案してより高価なプランを勧めることが多いというのだ。
「例えば料理だと、最初の見積もりは一番安いランクで出しますが、試食会で全種類食べてもらいます。やっぱりいいものは美味しいですし、グレードアップしたものを選ぶ人が多いです。結婚式の費用総額数百万円からすると、10万円って小さく見えますしね」
ブーケに関しても普通に花屋で購入したら5000円のものが、式場を通すと3~5万円になってしまう。特に顕著なのがドレスだ。
「多くの式場ではドレスや装花の業者と専属指定契約をし、業者から売上マージンを取っています。その分、業者もドレスの価格を上げますし、ドレスを自分で持ち込みたい場合は10万円の持ち込み料がかかることもあります」
また、一般的な結婚式の打合せは7~8回。これは、式場側がオプションやグレードアップを提案するチャンスがそれだけ多いということでもある。
「『結婚式は一生に一度だから』という言葉にも後押しされ、高額になってしまう人も多いのではないでしょうか。スマ婚は指定業者制度がありませんし、3回の打合せの中でお客様のニーズに合わせた結婚式をご提案できます」
カップルのニーズに合った「メリハリ婚」 30万で結婚式を挙げる人、持ち出しがゼロになる人も
スマ婚の特徴はなんといっても、無駄を削ぎ落としながら「適正価格」でサービスを提供する点だ。河田さんは「結婚式は『豪華だから』という理由で感動するわけではありません。親や仲間に対してどう思っているか。それに沿った演出が重要だと考えています」という。
安価な結婚式だとパッケージ化されているのでは、と思う人もいるだろう。しかしスマ婚では自社で式場を持たない代わりに、一流ホテルからカジュアルなレストランまで全国240の会場から選ぶことができる。専属指定業者制度もないので、ドレスの持ち込みも無料だ。
「スマ婚は要望に応じてコストカットし、カップルのニーズに合った結婚式『メリハリウェディング』を行っています。中にはチャペルを使わず30万円で結婚式を挙げる人もいます。また平均ご祝儀は3.3万円。50人招待すれば150万円、70人なら210万円となり、結婚式を行っても持ち出しがなくなる人もいます」
スマ婚の2017年度の施行数は前年度比で119%だった。その上で、河田さんは今後について「金銭的な理由で結婚式を挙げられないことはおかしいです。この状態を正したいと思っています」と語る。1組でも多くのカップルが結婚式を挙げることが目標だ。
「結婚式を挙げたくない人に理由を聞くと、7割が『金銭面』と『面倒臭そうだから』を挙げます。今後はさらに『面倒臭そう』という人にどうアクセスしていくかも考え、結婚式を挙げない人にアプローチしていきたいと思っています」
「お客様と接する中でサービスを発案し、形にするのがやりがい」
同社では事業拡大に伴い、積極的に人材採用を行っている。現在特に力を入れているのが、ウェディングプランナーとカウンセラー(営業職)の採用だ。
「プランナーの8割はブライダル未経験です。経験は特に求めませんが、サービス業経験者だといいですね。式の申込みまでを担うカウンセラーも、変に営業経験がある人より、今までの知見を活かしつつ枠組を打破していける人に来てほしいですね」
今後、一層ニーズが増すことが予想される格安婚市場。河田さんは同社で働くことの魅力について、次のように語っていた。
「業務面でいえばお客様と接する中でサービスを発案し、形にしていくということにやりがいを感じます。多くのことを経験したい人はぜひ。また、社員の仲も良く、私生活でも休日に遊んだりします。10年この会社にいますがオンオフとも風通しがいい環境だと思っています」