東京ディズニーリゾート、キャストのやりがい 「人生の主役になれる瞬間がある」 | キャリコネニュース
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東京ディズニーリゾート、キャストのやりがい 「人生の主役になれる瞬間がある」

東京ディズニーリゾート(TDR)は、31年前の開園から来場者を伸ばし続け、昨年の売上は過去最高の年間4735億円を記録した。客の9割がリピーターで、年間パスポートを持つ人が9万人もいるのだそうだ。

このTDRを運営するのが、オリエンタルランド。2014年12月18日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、「ダンボ大好き」と語るオリエンタルランド会長の加賀見俊夫氏に、その独自戦略を聞いた。

資本関係のない企業が運営しているのは日本だけ

1226disney世界に5カ所あるディズニーランドは、アトラクションやキャラクターの戦略は世界共通だが、日本にしかないのがランドとシーの間にある「オリエンタルランド」だ。ディズニーの関連企業ではなく、東証一部上場・社員2200人の日本企業である。

米ディズニーにライセンス料を毎年200億円納め、ディズニーからは日本でテーマパークの独占的運営権を得ている。オリエンタルランドは、パレードやショーの見せ方、土産物の開発を独自に行い、日本人に合ったパークを作り上げている。

資本関係のない外部の企業が運営しているのは、日本のオリエンタルランドだけだ。ウォルト・ディズニーパークス&リゾーツのトム・スタッグズ会長は、オリエンタルランドとパートナーであることは「素晴らしいアイデアの源泉がもう1つあるようなもの」と賛辞を惜しまない。

TDRのある千葉県浦安は、かつて海苔の養殖が盛んな漁業の街だったが、水質汚染で立ち行かなくなり、埋め立て地にレジャー施設の建設計画が持ち上がる。そこで京成電鉄と三井不動産などが共同出資し、社員3人からオリエンタルランドが設立された。

当時の社長が訪米した際ディズニーランドに感銘を受けて誘致へと動き、幾多の困難の末、開業したのは1989年、2代目社長の時代だ。そのすべてに関わり、TDRの成長を後押ししてきたのが、現在の会長兼CEO、加賀見俊夫氏だ。

「自分の人生は平凡で、主婦で終わると思っていた」

TDRで働く人々の9割、約1万9000人がアルバイトで、客の前では常に笑顔を絶やさず、歌まで歌うサービスぶりだ。浦安にあるオリエンタルランド本社の研修施設「ディズニー・ユニバーシティ」では、アルバイトたちには細かいマニュアルではなく大本となる考え方が伝えられる。

単なる従業員ではなく「キャスト」、つまり目の前の客を喜ばせる「役者」であれということ。教育係の女性は「与えられた『ショー』を精一杯演じ切りましょう」と笑顔で新人たちを指導していた。

そのため、マニュアルにない事態にも「お客のために」対応することが染みついている。掃除担当の古川さんは、落ち葉を掃きながらミッキーマウスの形をつくり、雨で沈みがちな客を喜ばせていた。レストランで、退屈してきた子どもを連れ出して遊び相手をしていた小板橋さんは、働く喜びをこう語っていた。

「自分の人生は平凡で、主婦で終わると思っていたのに、そんな中で主役になれる瞬間がある。『お姉さんに会いに来ました』って言ってもらえる。普通に暮らしていたら、そんなのないですよね」

「キャストはゲスト」を掲げる理由

加賀見会長は、キャストを喜ばせることがさらにTDRの楽しさを広め、リピーターを増やすことにもつながると語った。

「基本的に、うちは『キャスト=ゲスト』。キャストはいずれゲストになる」

キャストたちには年に1度、閉演後のパークで客になれる日があり、1200人もの社員たちがアルバイトたちをもてなすために働く。番組では、人事部長がレストランの接客をしている場面もあった。

さらに「ゲスト(お客)が喜ぶと、自分の喜びに変化する。だからみんな楽しく仕事をしていますよ」と、キャストの働きぶりについて胸を張った。加賀見会長は小池栄子に好きなキャラクターを訊かれると、「ダンボ大好き」と笑顔で答え、

「『ぞうさんは重たい』とか『空をとぶはずがない』ではダメ。イメージをどう膨らませていくか。過去のトレンドじゃなくてどう新しいものを加えていくかという発想が大切」

と語った。50年前には「日本人がそんなところ行くワケない」と言われながら、開園から追加投資を惜しまず常に進化を続けているTDRを支え続けた人らしい言葉だと感じた。(ライター:okei)

あわせて読みたい:人件費の安いアルバイトを使う「目に見えないコスト」がある

 
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