はてな匿名ダイアリーに5月11日、「中卒引きこもり歴6年の姉が大卒公務員の男と結婚した。」とのエントリがあり大きな反響があった。投稿者は、自分と家族をやたら無能無能と連呼するプログラマーの20代男性だ。出来損ないの両親から生まれた自分は愚鈍で友達がおらず、いじめで高校を中退。IT系の専門学校では、応用情報技術者試験などの資格を取るも、コミュ障で就活に苦戦。零細企業に就職後も、上司からのパワハラでうつ病になり退職、と、自身の人生を悲劇的に振り返っていた。
同じように”無能”な姉は、中2で不登校になり”県1の馬鹿高校”に入学するも中退。ネット民として引きこもり、たまのバイトも続かない。その姉が、ネット婚活サービスで大卒公務員をゲットしたという。相手は姉より2歳年上で身長は160センチ台前半くらい、良く言えば誠実、悪く言えば陰気な印象を受ける男だと描写する。
素直におめでとうと言った投稿者だったが、GWに帰省した際、姉に
「あんたも私みたいに良い人はよ見つけて幸せになりや」
と言われ、怒髪天を衝く勢いで激怒したと綴った。(文:okei)
「女というだけで何の努力もせず人生救済されるような甘えきった人生」と姉を罵倒
頭にきた彼は、こんな言葉を姉にぶつけている。
「俺は両親の無能を受け継いでしまったために毎日毎日地獄みたいな人生を送ってきた。お前みたいに俺と同じ社会の最底辺の無能なくせに女というだけで何の努力もせず冴えない公務員に媚売って養ってもらって人生救済されるような甘えきった人生送ってる奴と一緒にするな」
無能を再生産しないためにも子どもをつくるなとまで言い、姉を泣かせた。投稿者は、男の社会は無能で生きていけるほど甘くなく、女のように簡単に救済される道など無いと考えている。理不尽さや虐げられてきた苦しみを攻撃的に書きなぐり、30までに死のうかなと絶望していた。
ブックマークは1200以上つき、物議を醸した。「僕が読みたかったのはこういう増田(注:投稿)」とした人は、
「保育園に落ちた日本死ねのような苦労話なんて、自分のような人の基準をクリアしてない人間のなり損ないにはファンタジーと変わらんのだ。カスにはカスの物語が必要なんだ」
と感嘆。「女はいいよね。無職でも結婚出来て」といった女性への妬みも散見された。確かに、無職の引きこもり男性が大卒公務員女性と結婚できる可能性はほとんど無い。投稿者の怒り、不公平感、閉塞感に共感する人は多かった。
「本当に無能だったらプログラミング出来ない」という声も
一方で、女性から見た反発や冷静なツッコミも相次いでいる。
「女ってね、女ってだけじゃ愛されないんだよ。若くてキレイじゃないと愛してもらえないんだよ。女でもブスはあんた以上に泥水啜って生きてるよ」
「同じように無能に生まれたのに男だから就職できた、と姉が不満を募らせていた可能性だってあると思うけど」
引きこもりやニートは男性のほうが問題視されがちだが、女性は”家事手伝い”という隠れ蓑で社会から置き去りにされる。非正規雇用で賃金を安く抑えられ、自立も難しい。そもそも、生活のために結婚できれば必ず幸せになるわけでもない。
「本当に無能だったらプログラミング出来ないし、ましてや応用取るような勉強と根気あるわけない」と、投稿者の自虐を否定する声も多かった。
実は、投稿者は無能でも底辺でもないのだ。高卒認定を取り、専門学校では高度な資格を取得、うつ病で退職後も、残業の無いリモートワークも可能な企業に転職している。辛いながらも努力して、実家を出て自立している。
だが、親の愛情不足か虐められキャラのせいか、妙なプライドはあるものの自己肯定感が低すぎる。コメントには、「少なくともここまで自分の頭で考えてサバイブしてきたんだ。それは誇ってもいいんじゃないかと思う」といった応援も数多く入っており、筆者も同感だ。
結婚が当たり前だった親の世代よりも非正規雇用は増え、今や生涯未婚率は増える一方。この投稿が注目を集めた理由は、男性は頑張りが報われる実感が持てず、女だから結婚で逃げ切れる時代でもない、という背景の深刻さがあるのだろう。