スポーツの出来る子は”聞き流す”のも得意 自分に不要な情報はあくまでも聞いているフリ | キャリコネニュース
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スポーツの出来る子は”聞き流す”のも得意 自分に不要な情報はあくまでも聞いているフリ

スポーツの出来る子は"聞き流す"のも得意

スポーツの出来る子は”聞き流す”のも得意

夏の高校野球が始まりました。この時期になると必ずと言っていいほどニューストピックに高校野球関連の話題が増え、夏の風物詩になっていますよね。

僕は小学校1年生から野球を始めて、大学まで続けていました。日本ハムファイターズのプロテストをパスしたのですが、プロ野球史上初の選手会ストライキがあり入ることが出来ず。大学卒業後は2年間のサラリーマン生活を経て、独立リーグに1年間所属し、退団。約20年の野球人生を終えました。

その20年間でみてきた、プロにいく選手や、コーチとして野球をみてきた上手な子どもたちには共通点がありました。チームや個人指導経験の間に接した何千人もの子どもたちをみて感じたことをお伝えします。(文:ちばつかさ)

少年野球のコーチは自分の経験してきたことを教えたがるが……

スポーツ指導の現場をみてきて感じることは、とにかく”教えたがり”の指導者が多いこと。特に、少年野球を教えるのは基本的に”誰かのお父さん”。指導のスペシャリストではありません。

お父さんたちの多く、は自分が教わってきたことをそのまま子どもたちに丸投げしています。指導書を読むわけでも、指導を学びにいくこともない。自分の経験を教えたがるので、中には問題になるような体罰的指導や罵声、罰則を与える監督やコーチもいます。

もちろんしっかりとした指導者を招いているチームもありますが、まだまだ多くないのが現状です。そんな指導現場ですが、日本は今も昔も世界に誇ることができる野球強豪国です。今や日本人メジャーリーガーが活躍する時代になっています。

結果が出ていると「今の指導方法で間違っていない」という空気になり指導法を変化させる動きが鈍くなるのは仕方がないことです。ですが、なぜそういった指導の下でもスター選手が生まれるのでしょう。

素直な子ほど受け入れようとして混乱してしまう

多くの子どもたちと接してきた中で、上手な子は「聞き流し」能力が長けていることに気づきました。自分に必要ないと思った情報は聞いているフリをしているんです。

とある野球チームのコーチをしている頃、チームのレギュラーメンバーに「実は監督の言うこと聞き流しているでしょ?」と聞いたことがあります。その答えは「はい」。僕のレッスンでU-12の侍ジャパンに選出された子も聞き流す能力に長けています。

聞き流して何をしているかというと、黙々と自分の練習をしています。そして必要なこと、最終的にわからないことやできないことの情報は自分で集めにいく。その子のレベルが上がれば、監督やコーチは上手い子にはなにも言わなくなります。

その反面、聞き流すことができない子もいます。正直で素直な子ほど、監督やコーチがいうことを真に受けてすべてを実践しようとしてしまう。チームが変われば新しいコーチの言うことを、習い事をすればまたその指導を、親に言われればそれを聞いて受け入れてしまう。

すべて聞き入れてしまうがゆえに混乱し、その子どもが本来持っている個性や潜在能力を失ってしまうのです。その結果、うまくできなくなり、また監督やコーチから指導を受け、さらに混乱していくという悪循環に陥ります。

指導とは指し示すことであって、教えることではない

動機づけ研究の第一人者でロチェスター大学教授のエドワード・L・デシは著書『人を伸ばす力』(新曜社1999年)の中で「自律的であることがモチベーションに繋がる」ということを説いています。

つまり、上手な子たちは内発的な動機=聞き流しができ自律的であることがモチベーションに繋がっていると言えます。逆に、真に受けてしまう子どもたちは「教えたがる」という外発的動機づけの下で他律的になっている。

競技をするのは子どもたち本人であり指導者ではありません。子どもたちがどのようになっていきたいのかをサポートし、手助けをすることが本来の指導です。上手くなった子どもは決して指導者の手柄ではなく、自律的に練習してきた結果なのかもしれません。

筆者近影

筆者近影

【筆者プロフィール】ちばつかさ

柔道整復師、メンタルケア心理士、元プロ野球独立リーガー。東京と福井で投げ銭制の接骨院「小道のほぐし接骨院」を経営しのべ10万人近くの体と心と向き合う。野球経験を活かし都内で”野球を教えない”野球レッスンも運営。【公式サイト】

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