転職を決めるきっかけは人それぞれ。なかには、ブラック企業におけるつらい経験が、転職への原動力となるケースもある。そのときは早ければ早いほど、実りある人生に結びつくのかもしれない。
今回は、実際にブラック企業で2年間を過ごした、小林さん(31歳・男性)の経験談を紹介しよう。
面接時と話が違う!土日出勤は当たり前、残業代もナシ
面接時には、土日が休みという条件を聞き、安心して入社しました。しかし実際には、顧客ありきの職種であるため、問い合わせがあれば土日関わらず対応を求められました。制度上は、土日出勤した分に対して、代休が取得できるようになっていたのですが……実際には難しかったです。
上司にとっては、「担当の顧客から問い合わせがあれば、いつであろうと対応するべき」というのが基本理念であり、「代休を取得する」考え方は理解できなかったようです。
もともと部下に対しても取引先に対しても、「罵声で人を動かす」という文化が根付いており、代休取得が認められる雰囲気でもありませんでした。
このような企業体質ですから、当然のように残業を求められることも多かったのですが、残業代が支払われることはなく、また請求できる雰囲気ではなかったです。
上司に意見をするといじめに近いパワハラが……
社内で仕事をこなしていく中で、私にとって身近な同僚が、業務効率アップのための改善策を上申したことがありました。しかし社長や役員を中心に、「社員の意見はそもそも聞いていない」という雰囲気があり、同僚の意見が認められることもありませんでした。
それどころか、いじめに近いようなパワハラ行為もあったように思います。私たち社員が、意見する機会は与えられておらず、「ただ単純に、会社の歯車として働けということなのだな」と感じたことを覚えています。
中堅社員が次々と退職、業務負担増!
このような社風に疑問を感じていたのは、私だけではありませんでした。「この会社はブラック企業だ」と確信したのは、ある程度の期間勤務し、仕事ができる中堅の社員たちが次々と退職していったときです。
会社の中で必死に働き、会社をより良くするために、さまざまな意見を持っていたにも関わらず、この会社ではそれが認められることはなかったのです。
結果として、会社にとって貢献度が高い社員からどんどん辞めてしまう……といった事態に陥りました。私は当時入社1年程度だったのですが、中堅社員たちがいなくなった穴を埋める役割を求められました。もともと少なくなかった業務負担は、この時期からさらに大きくなりました。
肉体的にも、そして精神的にもきつく、転職を考え始めたのですが、なぜか社内には「転職活動禁止」という謎のルールが存在していました。
ブラック企業の実情は外から見えにくい
一度会社に労働基準監督署から指摘を受けたことがあり、会社全体として改善に取り組もうとする姿勢も見られました。また別の上司が担当している他部署では、そこまでブラック度が高くなかったという話も聞いています。
仕事そのものはやりがいがあり、続けたい気持ちもありました。また家族のことを思うと、辞める決断を下すのは、決して簡単なことではありませんでした。とはいえ「このままこの会社にいても、プラスになることはないだろう」という考えから、退職、そして転職に至りました。
小林さんの経験談からわかるのは、ブラック企業を外から判断するのは非常に難しいということだ。「休日出勤の代わりに代休制度がある」と求人票に記載があっても、それが実際に運用されているのかどうかは、職場ルールによるだろう。また職場の雰囲気から、「取りたくても取れない」と諦める方も少なくない。
とはいえ、ブラック企業に勤め続けてもメリットはない。自分自身も、そして自分を支えてくれる家族も、どんどん消耗していってしまうだろう。「もう限界」と思う前に、もっと自分を大切にしてくれる、ホワイト企業に転職するのが賢明である。『キャリコネ転職』では、厳選された優良求人のみ掲載中だ。参考にしてみて欲しい。