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【ニトリの働き方改革】メンバー交代制の「ダイバーシティ推進委員会」で従業員の笑顔が増えたワケ

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2019年1月、ニトリホールディングスが「ホワイト企業認定」を取得した(ホワイト財団/一般財団法人日本次世代企業普及機構 主催)。

会社を支えている「人」が何より大切、という価値観のもと、ニトリは従業員が健康的に、やりがいをもって働ける環境作りに着手した。今回は、受賞理由や取り組み内容の詳細について、組織開発室の永島さんと中村さんに話を聞いた。

創業者が直接伝える「ロマン」の大切さ

――今回、ホワイト企業認定の取得に至った理由や具体的な取り組み内容を教えてください。

弊社は、やりがいをもって働いてほしいという想いから、ロマン(企業理念)の共有をとても大切にしている会社で、社内だけでなく海外現地のスタッフやお取引先様に対しても、創業者である会長が直接ロマンの大切さについて語る機会を多く設けています。

部署長が集まってロマン実現のために何をしていくかを議論したり、社員向け研修の中でもロマンと日々の仕事のつながりを考えられるような講義を繰り返し実施するなど、全ての役員・従業員に理念が染み込むよう取り組んでいます。

さらに、会長が昔、アメリカ視察旅行に行った際に受けた衝撃を従業員にも体感してもらうためアメリカ研修を行っており、毎年1,000名以上が参加し、ロマンを自分の中へと落とし込んでいます。

また、社会的に少子高齢化が進んでいく中で、従業員がワーク・ライフ・バランスを実現できるかが会社の評価対象になってきていることを踏まえ、企業ブランディングの一環を兼ねてという意味でも、経営課題の中に人事策をあげて取り組みました。

2013年にはトップダウンだけでなく、現場社員の声を聞きボトムアップで進めていく目的で「ダイバーシティ推進委員会」を発足し、委員会から出た声を反映して、制度をまとめたイントラネットサイトや冊子を作成するなど、制度の見える化を推進。そして、短時間勤務制度の見直しや、失効した年次有給休暇を最大120日間積み立てられる私傷病特別有給休暇を介護にも適用するなど、さまざまな制度で従業員が働き続けられる環境を整えています。

女性活躍推進の取り組みとしては、女性向けセミナーを開催しております。女性のつながりづくりや抱える悩みを解決するため、現場役職者を集めてキャリアセミナーを開いたり、子育てしながら働く方を集めて情報共有をしたりと、女性が会社に問題提起をする場を提供し、働きやすい環境づくりに反映しています。

健康経営にも力を入れており、勤務間インターバル制度を導入したり、ウォーキングキャンペーンや体質改善コンテストなどのイベント開催、メンタルヘルスケアの講義などを定期的に実施。その結果2017年から3年連続で、健康経営優良法人ホワイト500の認定を受けています。

地道な意識改革で「昭和的な考え方」への認識も変化

インタビュー風景

インタビュー風景

――こうした取り組みによって、どのような効果・影響がありましたか。

従業員の働き方への意識は高くなりました。社内に働き方改革の動きが出る前は、特に管理職層に昭和的な考えが多かったのですが、いろいろな社内活動があることで、「もうそんな時代じゃない」と、認識も変わってきたという実感があります。

社内報にて定期的に活動報告を配信して社内での認知度を上げたり、委員会のメンバーを1年ごとに入れ替えることで、1年間経験したメンバーの意識が変わり、その人自身が伝道師となり現場に広めていくなど、地道な意識改革によってどんどん輪が広がるのを感じました。

また、やむを得ない事情で退職してしまった人が復職できるジョブリターン制度は、「退職したが、もう一度働きたいと言っている元社員がいる」という現場の声をくみ上げて制度にしたという経緯があります。

この制度は退職した方に直接周知することはなかなか難しいのですが、わが社は社員同士の繋がりが強いという風土があったため、現在では制度利用者が10名おり、「戻ってこられてすごくうれしい」と言ってくれています。

ジョブリターンについては、ご本人にとってプラスになるだけではなく、会社としても新しい方に1から教えるより、入った時からニトリのやり方が分かる人というのは、非常に貴重であり、ありがたいことだと感じています。

――これまでの取り組みのなかで、苦労した部分もあったのでしょうか。

制度を作っても使いたい人が使える環境ができていないといけないので、管理職向けにセミナーを開いて、「こういう制度が導入されます」「こういう相談を受けたらこう対応をしましょう」といったことを何度も何度も繰り返し伝えていくことには注力しましたし、そこが一番苦労しました。

ですが、こうした取り組みがやがて大きな変化をもたらすということは、会長がロマンを語り続け、従業員全員に浸透していることが証明していますので、地道に続けることができました。

従業員の笑顔が増えて、お客様の満足度も向上! ホワイト化で生まれた「好循環」

東京本部の外観。事務所は店舗の上階にあり、壁のない広いスペースが印象的。

東京本部の外観。事務所は店舗の上階にあり、壁のない広いスペースが印象的。

――ホワイト企業に認定されたことでメリットを感じていることはありますか。

従業員の笑顔が増えたように感じます。従業員が笑顔になれば、それがお客様へと伝わり、お客様満足度向上にもつながります。実際に、お客様相談室に寄せられるお褒めの言葉も年々増加しており、ホワイト化に取り組むことで、好循環が生まれていることを実感しています。

――今後の課題や取り組みをお教えください。

まずは、社内外に取り組みをもっとアピールしていこうということが一つ。あとは、地方でのテレワークなど、場所を問わず、それぞれのキャリアを築いていける環境をつくっていく予定です。

さらに、お客様にもっとロマンを伝えていきたいと思います。我々が求めているのは利益ではなく、「暮らしを豊かにする」ということ。ニトリに行けばそれが叶うんだ、と思っていただけるようになればうれしいですね。

※本記事は、認定当時(2019年1月)のインタビューをもとに作成しています
 ホワイト財団のインタビューページ

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