会社員が副業ではまりがちな「落とし穴」 うっかりすると税務署の調査対象になることも | キャリコネニュース
おかげさまで6周年 メルマガ読者数
65万人以上!

会社員が副業ではまりがちな「落とし穴」 うっかりすると税務署の調査対象になることも

制度を知って賢く稼ぎましょう!

制度を知って賢く稼ぎましょう!

終身雇用制度が崩壊しつつある今、収入を上げるため、あるいは自身のキャリアアップのために副業を検討する方が増えています。2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表したことで、副業・兼業を解禁する企業も増えました。

制度上可能になったとはいえ、会社員が副業で収入を得るときは注意が必要です。副業で得られる所得の種類と税金についてきちんと理解しておかないと、後々後悔することになります。(文:楽天証券経済研究所・ファンドアナリスト 篠田尚子)

副業の収入が「雑所得」、20万円を超えるなら確定申告が必要

副業と税金の関係を詳しく見る前に、まずは、会社員の給料にかかる所得税の計算方法を簡単に説明しましょう。

収入金額から、その収入を得るためにかかった必要経費や所定の控除額を差し引いた後の金額を「所得」と言います。所得には10種類あり、会社員が会社から支給されるお給料は、「給与所得」に該当します。所得税はこの「給与所得」を対象に課せられます。

ただし、給料は生活の中心となる重要なお金なので、税負担が重くなりすぎないよう配慮がなされています。具体的には、一定の金額を所得から差し引く(これを控除と言います)ことができます。

さて、肝心の副業の所得はというと、「雑所得」に区分されます。「雑所得」とは読んで字のごとく、雑多な所得のこと。原稿料、アフィリエイト、仮想通貨の売却益など、副業で得られた雑所得は、年間20万円を超えると確定申告する必要が出てきます。

雑所得を申告すると、所得税のほかに住民税も計算され、納付義務が生じます。住民税は年間の収入を合算して計算されるので、副業の収入が多ければ多いほど、住民税の負担も増えます。

なお、確定申告をしないでいると、収入の申告漏れと税金の未納で、税務署の調査対象になる可能性があります。お金を支払った側も税務署に申告をしているので、隠し通すことは難しいと思ってください。税務署には、皆さんの銀行口座の残高や、出入金の履歴なども調べられる権利があります。悪あがきはしない方が良いでしょう。

「給与所得」に分類された場合、社会保険料の負担増加

やや稀なケースとして、副業の収入が雑所得ではなく、「給与所得」になることがあります。副業として設立した自分の会社から役員報酬を受け取る、あるいは、限りなくフルタイムに近い長期のアルバイトをするようなケースです。この場合、確定申告の必要だけでなく、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入義務が生じるため、社会保険料を納める必要が出てきます。

マイナンバー制度の導入によって、税と社会保障の分野で共通の番号が使われているため、行政が個人の所得をより正確に把握できるようになりました。ここもやはり、悪あがきはしないで、おとなしく社会保険料の負担を受容した方が賢明です。

社会保険料を納めることで受けられる社会保障は、今と将来の自分を守ってくれる大切な制度だということを忘れないでください。雑所得の場合、追加的な社会保険料を納める必要こそありませんが、これは裏を返せば、雑所得がどれだけ増えても健康保険や将来受け取る年金額には反映されないということです。

雑所得は、あくまでも今の収入が一時的に増えるだけ。特に、年金という将来の収入に繋げるためには、本業を含む「給与所得」を増やすか、 貯める・増やすための仕組みを作ることが重要です。

筆者近影

筆者近影

【筆者プロフィール】
篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
AFP(日本FP協会認定)

国内の銀行において個人向け資産運用のアドバイス業務に携わった後、2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、世界中の機関投資家へ向けて日本の投資信託市場調査および評価分析レポートの配信業務に従事。同時に、世界各国で開催される資産運用業界の国際カンファレンスで日本の投資信託市場にまつわる講演も数多く行う。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託についての多くのコメントを手掛けるほか、銘柄選びに役立つ各種コンテンツの企画や、高校生から年金受給層まで、幅広い年齢層を対象とした資産形成セミナーの講師も務めるなど、投資教育にも積極的に取り組んでいる。著書に「本当にお金が増える投資信託は、この10本です。」、「新しい!お金の増やし方の教科書」(ともにSBクリエイティブ)などがある。

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

アーカイブ