テレビは本当にオワコンなのか 3局しか映らない福井に住んでわかったこと
テレビ、観ますか? スマートフォン使用率が85%を超え、インターネットの普及とともに動画やインターネットTVなども当たり前になりつつあり、友達同士の会話でも「わたし、全然テレビみない」という会話も耳にするようになりました。
僕が小学生時代はまだまだパソコンがある家庭も少なく、家でのエンターテインメントといえばもっぱらテレビ。大家族だった僕の家では、祖父母は野球中継、家族はクイズ番組で盛り上がる。そんな日常でしたが、時代は変化しテレビ自体をみないという人も増えてきています。
そんな中、福井県はケーブルテレビの普及率は全国平均52.6%を大きく上回る75.4%(2019年総務省調査)。3年前に福井に移住したのですが、やはりまだテレビの需要が高いと感じています。(文:ちばつかさ)
テレビ3局しか映らないけど、シーンとした食卓の話題になる存在
初めて福井県に住んだとき、テレビをつけるとNHK以外に福井放送、福井テレビの2局しか映りませんでした。ケーブルテレビの普及率も多いのもうなずけます。ちなみにマスオさん状態で妻の実家に入った僕は、自宅に帰ると夕飯はきまって家族全員で揃ってテレビを見ながら食べます。
3世代同居率全国2位(2015年国勢調査)の福井県では、絶対数は少なくなってきていたとしても、じいちゃんやばあちゃんも含めみんなでテレビを観るという習慣がまだ残っています。そんな環境の中にいるとテレビの影響というのはよくも悪くもとれるという印象があります。
「学校で最近の話題についていけない」 過去、テレビをみていないとそんなことが起きていました。今は話題のアプリや動画配信を知らないとついていけないといわれ、テレビなどみなくても学校では苦労しないようです。
小学生の娘に「学校でテレビの話をみんなでする?」と聞いても「あまりしない」といいます。そんな時代になった今ですが、それでもテレビは家族で囲む夕食に話題を与えてくれる存在です。
「子どもの話す話題とかを広げろよ」というご意見もあるでしょうが、シーンと静まり返るなかに話題を提供してくれたり、ある問題について家族で考える時間を提供してくれたりもします(局によっての偏りや報道姿勢の問題もありますが)。
この事件はどうだ、あの事件はどうだ。そんな会話の中からピックアップした題目で家族の対話が盛り上がることもあります。
逆に、テレビばかりに集中するとご飯が進まない、家族の本当にコアな部分の会話が蔑ろにされてしまうというデメリットもあります。テレビという媒体を通してそれをどう捉えるのかで大きく方向性が変わることがあるのかもしれません。
“リモコンのボタンを押すと観ることができる”テレビはまだまだ重宝
今年3月、福井テレビで「県民おしゃべり じゃみじゃみ(仮)」という番組が生放送されました。出演者は福井出身の慶應大学特任准教授で・若新雄純さん、俳優津田寛治さん、福井在住YouTuberのKazuさんというまさに福井のための番組です。
深夜1時25分からの生放送で、自分は収録現場で観覧していました。深夜にも関わらず福井の話題で盛り上がり、コメントも多数、放送中にきていました。深夜でも福井に関する話題だとこれだけ盛り上がる福井県。”福井のことを語る”という番組が成り立つことも福井ならではなのかも。
ちなみに「じゃみじゃみ」というのはアナログテレビだった時代にみることができた、放送終了後の砂嵐のようなあの画面のこと。あれを福井では「じゃみじゃみ」と言います。
インターネットがこれだけ普及していても今なお愛されるテレビ。僕が住む地域では子どもの数が減り高齢者が増えていく中で、”リモコンのボタンを押すと観ることができる”テレビというのはまだまだ重宝されています。
インターネットは電源を押しただけでは見ることができない(特にスマホじゃなければなおさら)ので、スマホやパソコンをあまり使わない世代にとってはハードルが高いのかもしれません。
これからの時代にテレビやインターネットがどう変わっていくのでしょうか。ただ核家族が増えていく時代の中であの”テレビを家族で囲んで”という光景も減っていくのだと思います。そんな時代になりながらも、都会から福井に移住してきて大家族として住んでいると、まだまだあの懐かしい光景の中にいる気がしてやまないのです。
【筆者プロフィール】ちばつかさ
柔道整復師、メンタルケア心理士、元プロ野球独立リーガー。東京と福井で投げ銭制の接骨院「小道のほぐし接骨院」を経営しのべ10万人近くの体と心と向き合う。野球経験を活かし都内で”野球を教えない”野球レッスンも運営。【公式サイト】