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なぜ学校は組体操をやめるという決断ができないのか 神戸市の小中学校で51人がけが

運動会の組体操をやめられない理由とは

運動会の組体操をやめられない理由とは

神戸市教育委員会は10月7日、今年度に同市内の小中学校で実施した運動会の組体操の練習中に、小学5年生から中学3年生までの男女51人が負傷し、6人が骨折していたと発表した。

組体操の実施を巡っては、同市の久元喜造市長が9月に

「秋の運動会、体育大会の組体操で、立て続けに3件の骨折事故が発生(中略)教育委員会、そして校長先生をはじめ小中学校の先生方にはやめる勇気を持って下さい」

とツイートしたばかり。なぜ学校は組体操をやめることができないのか。

組体操中止を求める電話多数も「混乱を避けるため取りやめなかった」と市教委

発表によると、今年8月下旬から10月上旬までに6人の骨折を含む、33人に脱臼や捻挫、打撲などの診断があった。

市教委には現在、「組体操を取りやめるべき」と訴える電話が多数寄せられているという。学校教育部教科指導課の担当者は

「けが人を出したことを重く受け止めている」

と語る。また、組体操の実施取りやめについては、8月上旬に久元市長から「安全でないなら見合わせるべき」と文書要請があったことを明かし、

「既に練習を始めていた学校もあり、子どもたちの混乱を招く」

として中止の判断を避けたという。一方、5月時点で組体操を「実施予定」としていた学校のうち20校では、各校の校長判断で実施を取りやめていた。

同市内の運動会・体育大会は既に全校で終了しており、来年度以降の実施可否については、有識者を含めた検討会を設置して「事故の原因を検証した上で、年内をめどに今後の方向性を決定する」としている。

ちなみに、ネット上では組体操の教育的効果を疑問視する声も出ていたが、同担当者は「一体感や達成感が得られる演目」と評価していた。

「運動会を見直すタイミング」と教育評論家 学校側の意思決定の甘さを指摘

近年、組体操をめぐっては事故が相次いでいることから、廃止するべきという声が各所から出ている。それにも関わらず学校側がやめない事情を、教育評論家の石川幸夫さんは次のように語る。

「多くのケースでは『やる』『やらない』の是非論が多く、学校はその間をどうするかと議論する力がない。ただ、やるか、やらないかではなく、それぞれの理由や実施しないならば代替案を議論することが必要」

その上で、「子どもの育成という目的を見失ってはいけない」と釘を刺した。

また、組体操については「人の痛みを理解したり、一致団結の精神を養ったりする上では一定の効果がある」と理解を示す。だが、

「こういった精神的効果が安全面に勝るかというと話は別。日本では昔からスポーツに精神的教育を求める傾向があるが、求めすぎている側面もある」

とした。また、現代の子どもの体力や運動機会が低下していることを指摘し、

「従来のままを貫くのではなく、運動会の演目も見直すタイミングに来ているのでは。科学的根拠を踏まえた上で、運動会の意味合いを少しずつ変えていかなければいけない」

と見解を述べた。

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