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「ひきこもり」が他人事じゃない就職氷河期世代 自分が働けなくなる事態に怯えて

誰もが引きこもりになる可能性を秘めている

誰もが引きこもりになる可能性を秘めている

中高年の引きこもりが話題になって久しい。内閣府が2018年に実施した生活状況に関する調査によると、就職氷河期世代を含めた40~64歳の引きこもりは推計で61万人に及ぶ。中には、引きこもりを「甘えている」などと批判する声もあるが、誰もが突然引きこもる可能性を秘めており、必ずしも他人事とは言えない。

かくいう筆者も、短期間ながら引きこもりを経験したことがある。当時の経験を踏まえ、今回は引きこもり問題について考えてみたい。(文・ふじいりょう)

ストレス過多で突然”寝たきり生活”に

人がある日突然、引きこもりに転じる理由は何か。NPO法人理事長の工藤啓氏と社会学者の西田亮介氏の共著『無業社会 働くことができない若者たちの未来』(朝日新書)では、就労経験のある人がその経験を生かさずに無業者で居続ける理由に言及している。

彼らのうち3割が求職活動をしない理由は「病気・けがのため」だった。さらに、年齢が上がるほど割合も上がっている。病気の中身について同著では詳しく説明していないが、紹介されている7つの事例に、メンタルクリニックに通院歴のあるケースが複数登場していることから、精神疾患が多くの割合が占めていそうだ。

筆者は、過去に激務が原因で自律神経失調症と診断され、休職期間を経てそのまま自己都合退職をしたことがある。かといって、実家を頼ることができず、完治しないまま転職活動を始めざるを得なかった。

そんな自分の境遇と比べて、”引きこもりができる人”は実家に経済力のあるケースが多く、当初は「環境が整っていて羨ましい」という偏見を持たなかったといえば、嘘になる。

だが、他メディアで書いていた昨年、ストレス過多でとうとう仕事ができなくなり、しまいにはベッドから起き上がれなくなった。出かけると言っても、せいぜい駅前のコンビニまでくらい。そうこうしていると、今度は声も出すことができなくなった。

仕事の関係者からみれば、音信不通状態だった。失声症で誰に連絡することもできず、パニックになったこともあって、部屋に引きこもって何をしない日々を2か月ほど過ごした。

その期間、何も考えていなかったわけではない。これまでの自分の選択に対する後悔がこみ上げてきたり、あるいは「これからどうしよう」という漠然とした不安に苛まれたり……。それで、ようやく「引きこもり」がどういうものなのか、身を持って知ったのだ。

音信不通になった知人の家を訪ねてみると……

筆者の場合は幸いにして通院後の経過がよく、再び仕事をすることができるようになった。だが、いつまた引きこもりに戻らないとも限らない。以前のように、シャカリキになって仕事をしないよう気を遣ってはいるが、それでもまだ不安は残ったままだ。

筆者だけでなく、特に就職氷河期世代には、激務や転職活動の不調によるメンタルヘルスの失調に陥るケースが多いように感じる。以前は、知人が突然音信不通になったので、自宅に行ってみると、布団を被ってぶるぶる震えていた、ということもあった。

引きこもりになる理由は、人それぞれだ。求職活動の失敗や職場でのいじめ、ゲーム依存などがその典型だろう。だが、病気は誰しもが身近に感じるのではないだろうか。今はまるっきり他人事でも、突然当事者になる可能性を秘めていることが、引きこもりの怖さと言える。

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