高橋留美子、漫画家に向いている3つの特徴を語る「身体が強い人」「ひとつのアイディアに固執しない人」
漫画界の巨匠、高橋留美子さんが5月17日からツイッターで読者の質問に答えている。現在『週刊少年サンデー』で連載中の『MAO』の新刊発売に合わせた企画で、匿名で質問を送ることができる「Peing 質問箱」で受け付け、担当編集者経由で回答する。
最初の質問は高橋さんの1日のタイムスケジュールについて。作画期間だと、午前中はキャラクターのペン入れを7~8枚行い、正午から昼食や読書や家事、19時頃から夕食や家事を行い、21時から翌日9時まで作画を行うという。
12時頃まで眠ると、昼食や家事を行い、16時から作画を再開。19時に休憩・夕食をはさみ、20時から作画を再開し、翌日9時に終えることが多いという。作画期間は1日3時間睡眠のようだ。
「漫画を描くことはとても楽しいことです。苦しみながら描くものではないと思います」
漫画家に向いている人について聞かれると、「難しい質問ですが」とした上で、3つの傾向を挙げた。1つ目は「身体が強い人です。まあまあで大丈夫ですよ」、2つ目は「ひとつのアイディアに固執しない人です」という。
「漫画を描いていて詰まることはもちろんあります。その時に違う方向から物事をよく見たり、何か使えるものはないかなと探すことも重要です。その中で面白いものが見つかった時、サッと方向転換できる人はむいていますね」
そして最後は「当たり前ですが、漫画が好きな人です。漫画を描くことはとても楽しいことです。苦しみながら描くものではないと思います。心からそう思える人がやっぱりむいているのではないでしょうか」と答えている。漫画界の一線で40年以上も活躍し、過去には2作品の同時連載もこなしていた高橋さんならではの回答と言えるだろう。
「君は絵の練習をしなさい」と言われ「えー私って絵が上手くないんだ」
また、高橋さんの作品の中で、両思いなのに主人公もヒロインも「好き」とはっきり言い合わないというコメントに対しては、
「私の感覚ですが漫画において主人公とヒロインが互いに『好き』と言ってしまうとその瞬間、彼らの物語が終わってしまう印象があります。ですから、大切なのは”言葉にしない事”です」
と綴っている。そうすると2人はすれ違いや勘違いを起こすという。
これを聞いて『めぞん一刻』が思い浮かんだファンも多そうだ。実質的に両思いのような関係になっても、すれ違いがあるからドラマが生まれる、ということなのだろう。
高橋さんは回答の中で、
「『好き』という表現は言葉だけじゃないです。2人は好き同士であると読者に気づいてもらう。けれど、当の本人たちにはわからない仕掛けにする。そんな工夫をうんうん言いながら考える日々ですね」
と明かしている。
ほかにもデビュー前に当時の担当者から真剣な表情で「君は絵の練習をしなさい」と言われ「えー私って絵が上手くないんだ」と気付かされたことや、可愛いと思った芸能人については「最近だと吉岡里帆のどんぎつねさんはすごく可愛いですね」と答えている。
ツイッターでは「高橋留美子先生すごくいろんな質問に答えてくださってて面白い」「今回の留美子先生の質疑応答、雑誌でたまーに特集されるものよりももっと知りたかったことを答えてくれている感じがしている」と喜びの声が寄せられている。