今後、自分の会社で働きながら他社でインターンをしたり、海外でインターンをしたりする人が増えていくかもしれない。人材会社や人事部の若手が作る有志団体「one HR」は10月30日、「大人のインターンサミット~人生100年時代の越境学習&社外活動のはじめ方~」というイベントを都内のオープンオフィスで開催した。
イベントでは、インターンやスタディツアーを提供する6社からそれぞれ1人が登壇し、自社のサービスを紹介。経済産業省からも、働き方改革を担当する産業人材政策室所属の田岡一樹さんが参加し、「大人のインターン」が求められる背景について説明した。
「社員が社外で経験を積むことで、新しい価値創造につながる」
他社の業務体験ができるサービス「ナナサン」を提供する人材会社「エッセンス」の、代表取締役・米田瑛紀氏は、
「『ナナサン』では、7割は現在の仕事に打ち込み、3割は社外の仕事に関わる。他社に留学することで、現在の仕事でもっとできることがあると気が付く」
と意義を語る。これまで東京電力ホールディングスの社員(50代)やカクヤスの社員(20代)が同サービスを通じて他社で研修を積んだという。
海外でのインターンを展開するのは「Tiger Mov(タイガーモブ)」。代表取締役の菊地恵理子氏は、
「新興国のベンチャー企業でのインターンが中心。例えば、インドで毎日インド人100人に対して広告営業を行うといった様々なプログラムを用意している。これまで約900人の学生や若手社会人を世界27か国に送り出してきた」
と語った。参加者からは、「得られるスキルや成長は何物にも代えがたい」といった喜びの声が寄せられており、サントリーやハウス、アフラックといった大手企業からの利用もあるという。
「Ridilover(リディラバ)」代表を務める安部敏樹氏は、社会問題を解決するため、「都会に潜む貧困。~池袋でホームレス事情を知るツアー」といったスタディツアーを提供している。こうしたツアーに参加することで、「問題や課題を発見し、それを社会化していく力を培うことができる」(安部氏)という。
社外留学やインターンは、本人だけでなく、企業にとってもメリットがある。「社員が社外で経験を積むことで、新しい価値創造につながる」と語ったのは、「Loan DEAL(ローンディール)」代表取締役の原田未来氏。同社では、大手企業の社員がベンチャー企業のプロジェクトに参加する「レンタル移籍」を提供している。
「人生すごろく型のキャリア」から「ポケモンGO型のキャリア」へ
イベントには、経済産業省の田岡一樹さんも登壇。新しいサービスが誕生している背景には、働き方や家族像の変化があると指摘した。
「大学を卒業して就職、結婚し、定年まで同じ企業で勤めて、退職後は年金で生活するといった『人生すごろく』が崩壊しつつあります。男性が終身雇用で働き、女性は専業主婦といった従来の家族像も揺らいでいます。これからは、ライフイベントに合わせて教育や多様な働き方を組み合わせる『ポケモンGO型』のキャリア形成が主流になっていくでしょう」
参加者の男性(20代)は、イベント終了後、
「今後働き方の多様性が増していくと思う。ただ、良くも悪くも未開拓な領域なので、そこで新しいサービスを作っている人たちの話を聞けて良かった」
と語っていた。
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