大企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は日本のメガベンチャーの代表格となったサイバーエージェント(東京・渋谷区)をとりあげます。
サイバーエージェント社員の平均年収は681万円
最新データ(2019年9月期)によると、サイバーエージェント社員の平均年間給与は681万7000円。3期前と比較すると、100万円近く下がっています。
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれていると見られますが、企業口コミサイトのキャリコネによると、サイバーエージェントではここ数年、賞与が支給されていないようです。
・2015年9月期:772.4万円
・2016年9月期:779.5万円
・2017年9月期:703.4万円
・2018年9月期:709.2万円
・2019年9月期:681.7万円
なお、このデータはサイバーエージェント単体のもので、連結子会社などのグループ会社は含まれていません。伝統的な大企業と比べると意外と低いという印象を受けますが、その背景が気になるところです。
サイバーエージェント社員の平均年齢は32.6歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
サイバーエージェント社員の平均年齢は32.6歳。ざっくり言うと、30歳ちょっとで700万円弱をもらっている人が多いということになるでしょう。
例えば、富士通社員の平均年間給与は803.7万円ですが、平均年齢は43.3歳。サイバーエージェントは20代、30代が多くを占める若い会社であることを踏まえると、見劣りするものではありません。
・2015年9月期:1,663人(30.7歳・4.5年)
・2016年9月期:1,572人(31.1歳・4.9年)
・2017年9月期:1,500人(31.9歳・5.1年)
・2018年9月期:1,540人(32.2歳・5.2年)
・2019年9月期:1,589人(32.6歳・5.4年)
従業員数はここ数期でやや増加傾向にあり、年齢はやや上がっています。単純に見ると、30代前半で年収700万円弱の中途入社組が増えた可能性があります。
なお、サイバーエージェントというと新卒入社のイメージが強いですが、実はキャリア採用が59.4%を占めており、社員に占める30代の割合も44.4%(20代は40.0%)と高い会社です。
サイバーエージェントでキャリアアップを目指すなら
最後に、サイバーエージェントの今後の見通しについてまとめてみましょう。
グループ連結従業員5000人超、子会社115社を擁するサイバーエージェントは、もはやベンチャー企業ではなく、日本のインターネットビジネスをけん引する大企業のひとつとなっています。
創業者で現社長の藤田晋氏は「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを掲げ、攻めの経営を続けています。特に2016年4月からはテレビ朝日と合弁でネット放送「AbemaTV(現ABEMA)」を開始し、毎期巨額の投資を行っています。
賞与が支給されないことが気になる人もいるかもしれませんが、会社としては将来の大きな成長に向けた投資を最優先しているということでしょう。サイバーエージェントで働く際には、新しい分野で経験を積むことを重視した方がいいかもしれません。
2020年9月期の第3四半期決算では、新型コロナ禍の影響にもかかわらずインターネット広告事業が健闘し、ゲーム事業も堅調に推移する中で、ABEMAを始めとするメディア事業も赤字ながら好調に推移しています。
ABEMAの収益化のメドがつけば、全社的な収益力が飛躍的に高まります。サイバーエージェントへの転職で大きなキャリアアップを図るとすれば、メディア事業の収益化に貢献する仕事が狙い目となるのではないでしょうか。