銀行、証券会社ともに同社がピックアップした各社の口コミをみると、
「若いうちから海外へ行かせてもらえるチャンスが他メガ対比圧倒的。実際、自分も海外へ、入社3年目で行かせてもらった。非常に勉強になった」(部長代理補、女性、三井住友銀行)
「入社時の2ヶ月の研修から、年に2回ほど集合研修、更には日々動画を視聴してテストをするなど基礎知識から応用知識の習得まで面倒をみてくれます。また、入社後AFPを取得するようカリキュラムが組まれています」(営業、女性、大和証券)
とどちらの業界も資格取得奨励や研修制度などが整っており、若手の教育に力を入れていることが分かる。
また、20代の成長環境スコアが4.4と非常に高い野村證券の口コミでは
「絵に描いたような体育会系。数字が人格。働きやすい環境は自分で結果を出して周りを認めさせることでしか作れない。成績も中の中では仕事が出来ない認定を下される」(営業、男性)
「若手の育成に力を入れているため、やる気があれば沢山の事を学び教えてもらうことができる。そして若手であっても実績があればいくらでも伸ばしてもらえる環境です」(営業、女性)
と成果主義の組織風土を挙げる声が多く、厳しいながらも若手のうちから実力を発揮すれば、相応の評価を得られる環境が成長実感につながっていることがうかがえる。
“ジョブローテション”が長期キャリア開発の足かせに
一方で「人材の長期育成」については銀行、証券会社ともにスコアが2.8と低かった。口コミからは
「銀行の人事は完全にブラックボックス。いつどこに移動になり、どうしてそこに移動になったのかは当事者は知ることができない。そんな中キャリアの開発ができるとは到底思わない」(法人営業、女性、大手銀行)
「一部の部門や雇用形態を除けば、ジョブローテーションが前提となるため、1つの分野で同じことを積み上げるプロフェッショナル型のキャリアを長期に築いていくことは比較的評価されにくい」(投資銀行本部、男性、大手証券会社)
と金融業界特有の3年程度で異動する”ジョブローテーション”が専門性を高めにくくしている、決定経緯が不明瞭な”ブラックボックス人事”によってキャリア開発が難しい、といった意見がみられた。
ジョブローテーションについては金融庁が見直しを始めており、今後はより長期的なキャリアを描きやすくなることが期待されている。企業の中には、優秀な人材を惹きつけ育てるため、自分の意思によるキャリア開発を促す公募制度などの導入を始めるところも出てきている。