運営会社STRKの佐藤隆史朗代表は「一般的に賞味期限が残り3分の2または3分の1になると、小売店に商品が行く前に卸やメーカーで廃棄されます。つまり、まだ賞味期限が3分の2あるのに一般流通から弾かれてしまう食品がたくさん存在しているんです」と話す。
「トクポチでは、賞味期限が残っているのに廃棄されている商品を扱い、低価格や最小0円での販売を実施します。どうせ廃棄処分されるならタダでもいいから誰かの役に立つサービスになれば、という思いからスタートしています」
トクポチに掲載される商品は、缶詰、レトルト食品、飲料、お菓子や乾物、調味料、ペットフード、サプリメントなど。「物流を確保し次第、冷蔵・冷凍商品も開始します。すぐに商品が購入されるのであれば、今後は生鮮食品も扱いたいですね」と意気込む。
“消費期限”と”賞味期限”の違いにも注目する。劣化が早い弁当や総菜などは”消費期限”が設けられており、期限内に食べるよう勧められている。一方、レトルト食品や缶詰など比較的劣化が遅い商品はあくまで”賞味期限”になるので、期限を超えても必ずしも食べられない訳ではない。
「缶詰メーカーの方に話を聞くと、賞味期限切れのものを2~3年寝かしたくらいが美味しいという声も挙がっています。購入はユーザーの判断に委ねますが、仕入先の許可を得た上で賞味期限切れ商品も扱っていきたいと思っています」
食材入手コストが下がれば人々の働き方も変わる?
購入費と送料がかかるものの、月額130円から利用できるトクポチ。会員費を低価格に抑えた理由を「月額500円や1000円でも会員は集まってくれると思います。でも、その価格だと年間600万トン超の食品ロスは無くせないと思うんです」と説明する。
「ボランティアは素晴らしいけど限界があります。でも光熱費やスマホってボランティアで提供されているわけじゃないのに普及してるじゃないですか。広く利用されるには”お得感”がポイント。そう感じてもらえないと、食品ロスは無くせないと感じています」
フードロス削減を掲げる一方で、貧困にも目を向ける。2019年国民生活基礎調査によると、相対的貧困率は15.4%。6世帯中1世帯は貧困となる。佐藤代表は「誰しもが『食いっぱぐれるんじゃないか』という恐怖があると思うんです」と話す。
「貧困世帯じゃなくても、その恐怖があるから働いている人も多いんじゃないかと。一般的に肉だと100グラム100円以下の商品は割安な印象がありますが、トクポチだと配送先や重さによって送料は異なるものの10キロ購入したら100グラム10円、13円になる場合もあります。トクポチだと50円程度でお腹いっぱい肉を食べられるということになります」
さらに、格安で食材を手に入れられるようになれば、人々の労働観も変わる可能性があるとする。
「月額130円で食いっぱぐれる心配やストレスが解消されたなら、『嫌だけどこの仕事をする』じゃなくて、『食べていけるから好きなことで働こう』と考えられるようになるはず。僕たちもこのサービスを利用するので、実践していけたらと思います」
今後について、「まずは会員2万人突破。それがこのビジネスを継続できるか否かのラインです。最終的には1000万人を突破したいですね」と語った。