パワハラの録音にもピッタリ! 「ICレコーダー」は電池の持ちとコンパクトさで選べ
エステサロン大手「たかの友梨ビューティークリニック」の社長が、「誰も知らないでしょ、36協定なんてね」など労働法規を軽視する失言を従業員に録音され、朝日新聞デジタルがその抜粋を公開した。
音声は非常にクリアで、これは自分の発言ではないと言い逃れができないほど生々しいものだった。最近の「ICレコーダー」は性能が向上し、いざというとき十分使えるものになっているようだ。そこでIT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に、職場で使えそうなICレコーダー選びのポイントについて聞いてみた。
パナソニックのペンスタイルなら33グラムの軽量
これまで職場の卑劣なハラスメントは「証拠がない」などとして、加害者が処罰されないことも少なくありませんでした。しかしICレコーダーの性能向上と低価格化により、被害者が音声を証拠として録音し、泣き寝入りせずに済んだケースも出ています。
最近のICレコーダーは使い勝手がかなり向上しており、モデルごとの差は大きくなくなってきました。とはいえ、内部告発を目的として考えると、会議用などとは違う機種ごとの特徴を踏まえた選び方が必要となってきます。
なお、ICレコーダーで録音した音声を、企業の機密漏えいや恐喝などの犯罪に使うと、言うまでもなく法令で罰せられますのでお断りしておきます。
まず重要になるのは、十分な「バッテリー駆動時間」があることです。いざというときに電池が切れていては使えませんし、長時間のハラスメントなどにも対応できます。
メモリー容量は2GBでもOK ですが、4GBあれば安心。その上で、バッテリーの連続駆動がどれだけ可能かを重視した方がいいでしょう。「とにかく長時間録音が可能」という点では、オリンパスの「Voice-Trek VN-722PC」がひとつの選択肢になります。
単4アルカリ乾電池2本で、最長約100時間もの連続録音が可能です。内蔵4GBに加えてmicroSDHCカードも利用できるので、高音質モードでもたっぷり録音できます。
ハラスメントの録音の場合、機器を机の上に置くことは難しいこともありますが、コンパクトさを求めるのであれば、いまはペンタイプのICレコーダーもあります。
パナソニック「RR-XP007」は、ペンスタイルでコンパクト、かつ軽量(約33g)なICレコーダーなので、どこにでも忍ばせられます。メモリー容量も4GBと充実し、モノラル録音で最大約59.5時間の連続録音が可能です。
スマホの音声録音アプリは限界踏まえて利用
ICレコーダーで録音した音声を保存する場合には、パソコンとの連携が欠かせません。データを活用しやすいのは、USB端子がワンタッチで出てくるダイレクト接続タイプのレコーダーです。
ソニーの「ICD-PX440」は、単4アルカリ乾電池2本で最長約96時間もの連続録音が可能で、直接パソコンと接続できるスライド式USB端子を搭載しています。これならすぐにパソコンに音声データを転送して管理できます。
このほか、いま注目されているのがスマートフォンの音声録音アプリです。身につけていても違和感がないというメリットがあり、すでに多くの種類が出ていますが、専用ICレコーダーと比べるといくつかの限界があることに留意して使うべきです。
まず、マイクがスマホ内蔵マイクになるため、専用のステレオマイクやトリプルマイクなどを搭載するICレコーダーに比べて音質が劣ります。周囲の音をまんべんなく拾う用途であればほとんど問題ないレベルだと思いますが、「特定の発言者の音声がはっきり聞き取れない」となると、証拠として弱くなるおそれがあります。
それからスマホの場合には、ICレコーダーのインジケーターのような録音状態を示す表示がありません。そのため、録音が続いているかどうか、バッテリーやメモリー残量が十分かどうかなどを一目で確認できないというデメリットもあります。
しかしこれは一方で、相手に気づかれずに録音しやすいというメリットにもなります。スマホならテーブルやデスクの上に置いておいても違和感がないですし、ICレコーダーで万が一録音できなかった場合のバックアップには有効です。
なお、音質とデータ容量のバランスを踏まえると、圧縮形式のMP3やCAFで128kbps程度を選ぶのが最も良いと考えられます。非圧縮のWAVしか選べないというものもありますが、これだとMP3の5~10倍ほどの容量になってしまい、データ容量の小さなスマホだと十分な時間の録音ができないおそれがあるので注意です。
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