女性が働く会社には、「新卒採用の若手正社員だけに『係』と称して、仕事外の役割分担をさせる風習」があったという。この風習、想像以上にタチの悪いものだった。
「もちろん仕事外の役割なので、時間外にやらなければなりません。通常の勤務が終わったあとや、休憩時間、休みの日など、身を削って社内の福利厚生に関わる表彰やお祝い、防災グッズの入れ替えなどの手配を行わないといけないのが当たり前でした」
つまり本来は総務や庶務などがやるべきバックオフィスの仕事を、新卒者というだけで時間を犠牲にして押し付けられていたのだ。しかしある日、そんな横暴に耐えかねた若手たちの反乱が起きた。
「そしてついに、我慢の限界が来たのです」
「ある日、若手社員数人が突然まとまって辞めると言い出しました」と女性は振り返る。
「通常業務内でもノルマや成果を求められているのに、若手が会社の雑務を時間外にやっている中、ベテラン社員達は手伝う様子もない。しかも、ベテラン社員達は定時で帰ったり、飲み歩いていたり、あきらかに余裕のある状態でした」
「そしてついに、我慢の限界が来たのです。35歳から下の若手社員全てが、一斉に辞めてしまったのです」
若手がすべて辞めてしまうとは、会社の存続にかかわる由々しき事態だ。
「しかし、反省し改善する気はない様です。今も、新入社員が入るたびに、パシリよろしく使い、半年や一年で次々と辞めていきます。辞めるたびに採用するので、ベテラン社員本人たちに影響は無く、問題が公にならないまま、全体が高齢化してしまいました」
現在は「新卒採用自体が無い」ため、「比較的年齢の若い社員に押し付けられている」と女性は相変わらずの社内事情を綴っていた。