その勧誘が始まったのは、「教育担当の上長が行った研修会」でのことだった。
「二人きりで始まった研修だったが、資料を開き始めて数分後に 『これはもういい。君は輪廻ってあると思うかな?』 と話が思わぬ方向へ。適当に話を合わせていると『同志』と思われたようで、執拗に家に来るように迫られた」
男性は職場の上長という相手の立場を尊重し、適当に話を合わせてしまったのだろう。
「後で他の同僚達に聞いたらとある新興宗教の熱心な信者のようで、研修にかこつけて勧誘行為を社内で繰り返し行っているのだという」
どうやら社内では有名な人物だったようだ。しかし会社として何か対処している様子はなく、
「その後も仕事中、事あるごとに『運命』の説法などを耳打ちしてきたり、休憩中には『カルマ』について一方的に話し続けられたり。完全に狙われていました」
と当時を振り返る男性。これでは仕事どころではなかっただろう。結局、「さすがに気味が悪くなり、退職せざるを得なかった」と辛い選択を報告していた。