筆者は今年の1月、8年半住んでいた海外を離れて日本に完全帰国しました。安くて美味しい日本食や、公共交通機関の正確さに感嘆する一方で、「あれっ、日本ってこんなに大変な国だったっけ!?」と驚くことも少なからずありました。
今回の記事では、筆者が日本人でありながらもびっくりしてしまった、日本社会の「逆カルチャーショック」についてお伝えします。(文:元海外プログラマ はっしー)
役所での手続きが多い
日本での新生活を始めるにあたって、引っ越しの手間が多いことに面食らいました。
まず、どこに住むにしても、役所に行ってたくさんの事務手続きをしなければいけません。転入届に、健康保険に、年金の手続き。住む市町村が変わったら、そのたびに役所に行ってまた手続きの繰り返しです。
民間サービスの住所変更にも住民票が必要な場合があるので、住民票を取るためだけに役所に足を運ばなければいけないのも地味に手間でした。わたしは日本に戻ってきてから3ヶ月ほどの間に2回住所が変わったので、余計に大変に感じましたね。
以前わたしが住んでいたニュージーランドでは、引っ越し後の住所変更はすべてオンライン上で完結できました。
「マイナンバーカード」の導入などで日本の行政手続きもIT化が進みつつありますが、自宅からパソコンやスマホだけで手続きが済むようになればもっと便利なのにな〜と思ってしまいます。
家具や家電を買い揃えるのが大変
新居で暮らし始めるまでに大変なのが、家具や家電の調達です。家具屋や家電量販店を何軒も回った経験が、皆さんにも一度はあるのではないでしょうか。
日本では新居用の家財道具を一から買い揃えるのが一般的ですが、海外では必ずしもそうではありません。英語では「Fully Furnished」と言って、家具や家電が備えつけになっている賃貸物件も多いのです。
わたしが海外で暮らしていた賃貸物件はほとんど家具家電つきだったので、ベッドやデスク、テレビなども買う必要がありませんでした。入居までの初期費用が安くすむ上に、荷物を増やさず身軽に引っ越しできるのでとても便利だったのを覚えています。
日本のほうが自分の好きなように部屋をカスタマイズできるというメリットはあるものの、テーブルやソファなどを探しにあちこち買い物に出かけるのは、やはり大変でしたね。
人がとにかく多い
日本に暮らしていると、「どこにいっても人がたくさんいるな〜」とよく感じます。東京だけではなく、日本には人口100万人を超える大都市が10個以上あるので、ちょっと大きな街に遊びに行くと人であふれているんですよね。
これも決して当たり前のことではなく、日本が世界有数の人口を抱える大国だからこそです。2022年の統計では、日本の人口は世界で11番目となっています。その割に国土面積は世界で60番目の大きさしかないので、狭いところに多くの人々がぎゅっと集まっているのが日本という国なのです。
わたしの住んでいたニュージーランドでは、全体で人口がたったの500万人しかいません。「人間よりも羊の数が多い」のが有名で、都市部から1時間も車を走らせれば、人のほとんどいない平原が広がっているような国です。
そんなのどかな世界で長年暮らしていたので、先日のゴールデンウィークに東京に遊びに行ったときには、あまりの人の多さにやられて体調を崩してしまいました。旅の途中で高熱を発してしまい、なんとか帰ってはきたものの、うっすら体調が悪い状態が2週間程度続きました。人混みはしばらくこりごりですね……。
以前は当たり前に感じていた日本の光景も、数年離れてみるとまったく印象が違って見えるものだな〜と感じながら日々暮らしています。完全に体が慣れるには、まだしばらく時間がかかりそうです。