女性が勤務していた居酒屋は「カウンターが7席、4人テーブルが1つ」という、こじんまりした店だった。経営者は主に料理のみ担当しており「バイトが1人でカウンター、アルコール類・料理を運ぶ、バッシング(※皿やグラスを下げること)、食器洗い機、片付け、会計、店頭までの見送りを全てする体制」だったという。
経営者とアルバイトの2人体制で店を回していたそうだが、アルバイト1人で料理以外のすべてを担当するのは至難の業だ。
「私が(バイトに)入るときに限って、オープンから予約や立ち寄りなど満席で、閉店までサイクルが絶えず、アルコールや料理の追加やシンクには洗い物が溜まり、注文も待ってもらう(忘れてしまう)。……が、閉店時間過ぎても帰らない客もいて……」
この体制の場合、客が複数に来店すれば回らなくなることも予想できそうだが……。
「そんな動きが気に入らないのか、店主である経営者は『料理ができとんや!はよ持ってけや』『さっさと動かんか!役立たずが!』とか。カットレモンがないので『出してください』と頼むと、投げつけてきたり、乱暴に物を扱い」
と、ひどい扱いを受けたうえに客前で罵倒されることもあったという。
客の前でも平気で女性に暴言を吐く経営者。しかし常連客はそんな光景を見慣れていたという。
「『いつから勤めだしたの?ここはすぐにバイトが変わるから』『みんな続かないんだよ』と言われました。(経営者は)機嫌が常に悪いので、鬼のような形相が染み付いていて、帰りのバイト代もカウンターに叩きつけられました。常連客たちは物見遊山で時々来ては、そんなバイトと経営者とのやりとりを楽しみに来ている感じでした」
逃げたバイトの分も勤務に「生ビールを注ぎながら『これはもう無理だ』」
そんな中、バイトの1人が理由もなく連絡が途絶えてしまい、グループLINEも消えてしまった。
「その穴埋めに、週末の3連勤、また同じパターンが続き、精も根も尽き果て、手足も筋肉痛で、ビールサーバーから生ビールを注ぎながら『これはもう無理だ』と思い限界を感じました」
バイトが“飛んで”しまい、代わりに入った3連勤で退職を決意した女性。バイト先としては「“即日現金手渡し”で条件的には良かった」と振り返るが、「パワハラ、モラハラで辞めました」と語る。
「あんな劣悪な経営者の元で、誰も続かないことが身をもってよくわかりました。見送るお客さんはみんな口を揃えたかのように『あんなこと言われても気にしないで頑張ってね』。……結果、続きませんでした」
3か月で店を去った女性は「パワハラは言葉の暴力です。傷や怪我は癒えますが、言葉の暴力はいつまでも映像と共に記憶に一生残ります」と綴っている。
【即行退職シリーズ】