少子化対策には「世帯年収700万円」? 20代の57%が「子ども2人ならこれくらい必要」
「新・三本の矢」で出生率1.8を目標に掲げる政府は、さまざまな少子化対策を講じている。しかし根本的に必要なのは「20代を中心とする若者世代の収入アップ」であるということは、すでに各方面から指摘されているところだ。
SMBCコンシューマーファイナンスが20代の男女1000人に「どれくらいの世帯年収があれば結婚や出産・子育てをしたいか」を尋ねたところ、結婚は「年収400万円」(50.3%)、1人目の出産は「年収500万円」(56.4%)、2人目の出産は「年収700万円」(57.1%)が最多となった。少なくともその程度の収入がないと踏み切れないということだ。
世帯年収500万円なら「結婚に踏み切れる」66.7%
世帯年収500万円の場合にどこまで踏み切れるかとの問いには、「結婚」が66.7%、「1人目の出産」が56.4%と半数を超えたが、「2人目の出産」は35.2%にとどまった。
なお昨年と比較すると、同じ世帯年収500万円でも、結婚が71.2%から4.5ポイント減、1人目の出産は59.2%から2.8ポイント減、2人目の出産は39.3%から4.1ポイント減っている。この結果に、調査元は次のように分析している。
「結婚や出産・子育てに対して、金銭的な不安を感じている方が増えている状況にあるといえそうです」
厚生労働省が10月に発表した調査でも、若者世代が出産・子育てにより前向きになるために必要なこと、大事だと思うこととして「安定した雇用と収入」をあげた人が72.4%を占めた。ネットには「当たり前」「調査するまでもない」という声も見られる。
すでに子育て中の人は、少しでも負担を減らしたいと考えているようだ。冒頭の調査では、消費税の「軽減税率の適用対象」を自身で選べるとしたら、どんなものに適用するかという質問に、子どもがいる人の68.1%が「子育て・出産用品」を選択している。
共働きしたいけど、現実は片働き「家庭と仕事の両立難しい」
ただし「世帯年収500万円」といえども、20代では共働きでないと達成が難しい人もいるだろう。そのためか冒頭の調査では、未婚者に「結婚後は共働きか片働きどちらを選択するか」との問いに「共働き」と答えた人が80.0%と大多数を占めている。
しかし、現実は甘くない。既婚者(188人)に聞いたところ、実際は「どちらか一方の片働き」(55.3%)となる人が少なくないのが現実のようだ。調査元は「家庭と仕事の両立が難しい」ことがこの原因になっていると推測している。
正社員として高収入を得るためには、長時間労働にも耐えなければならず、長時間労働を容認すれば出産や育児も難しくなってしまう。やはり生産性を向上させて、できるだけ残業をせずに業績を上げる工夫をする働き方もポイントとなりそうだ。
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