優先席で「席を譲るべき」という人が減少 「譲ろうとしたら断られた」経験が影響か
譲っても譲らなくても相手の気分を害してしまうとなると困ってしまうが、そんな折、乗り換え案内サービスを提供するヴァル研究所が28日、「公共交通機関を利用するときの意識調査」の結果を発表していた。3年前の調査と比べ、「優先席では席を譲るべき」が17.1%減少。対して「どちらともいえない」が9.5%増加したという。
調査は9月に、10代から70代の男女3413人を対象にネット上で実施。約6割の人が、目の前にお年寄りや妊婦がいると気づいても、何かしらの理由で席を譲れなかったことがあると答えている。
理由として、「断られると思って譲らなかった」「降りる駅が近いので譲らなかった」「譲る気がなかった」などがあった。また、約6割の人が「席を譲ろうとして断られてしまった経験がある」とも答えており、こうした要因もあって席を譲る意識が低下したものと推測されている。
高齢者は転倒が怖いから譲ってあげて
さらに調査は、成功した座席の譲り方も質問している。秘訣は「さりげなさ」「押し付けないこと」だとして、成功例として
「次の駅で降りるようなフリをして、黙ってその場から立ち去ると、席が空いたと思って座って貰えます。お礼の言葉を期待しないのがコツ」(60代男性)
「よかったらどうぞ、と声を掛けてそのままドア付近に移動しました」(10代男性)
といった声を紹介している。
筆者はかつて、60代の上司から「年寄りはいざって時に踏ん張りがきかなくて転倒しちゃう危険があるんだよ」と聞いてから、電車内では席を譲る派になった。
筆者は普段、見知らぬ他人に話しかける社交性もなく親切でもないが、一方で非常に気が弱い。目の前の高齢者をスルーして、もし電車が急停止し、その人が転倒し骨折でもしたら私のせいかも…という妄想が沸いてきてしまい、席を譲らずにはいられないのだ。
ちなみに譲るときは、「お掛けになりますか?」と聞くようにしている。最大限に相手を尊重しつつ、「座るかどうか」聞いているだけなので、嫌な顔をされたことはないし断られても傷つかない。何も言わずさりげなく席を立ったのでは、関係ない人が座ってしまう恐れもあるので、「あなたに」という意思表示は必要だと思う。
しかしまあ、こんなに気を使って譲る・譲らないを考えるくらいならスマホに夢中になっているふりをしてスルーしてしまう気持ちも分かる。勇気を出して「どうぞ」と言って断られたら、握手しようとした手を振り払われたように傷ついてしまうだろう。
だが席を譲ったほうが良い人はお年寄りだけでなく、妊婦や足の悪い人などたくさんいる。「譲れ」と上から命令するのは違う気がするが、健康な人にはなるべく席を譲ってもらいたいと思う。