なぜバイトリーダーはいちいち偉そうなのか 「過剰なプロ意識」に周囲も困惑
「社会のルールや社会人としての礼儀に関してやたら口うるさいんですよ。”社会人としてありえない”というのが口癖でした」
とは、1年前から某大手カフェチェーンで働くAさん。20代後半のバイトリーダーは就活に躓き、学生時代からのバイトを今日まで続けている。バイトリーダーは店長よりも経歴が長いそうで、そんなキャリアと矜持がアダとなってしまっているようだ。
「バイトリーダーさんに対しての言葉遣いはもちろんですが、学生同士のコミュニケーションにまで口を出さないでほしいです。歳が離れていても少しフランクな感じでうまくやれているなら、それでもいいんじゃないかと思うんですけどね」
そのためリーダーがいる時は休憩中でも会話が自然と減ってしまったという。
「そもそもバイトリーダーさんって社会人経験ありましたっけ……?と何度も出かかりました。もちろん、バイト先も社会的な場ではありますけど、所詮は”アルバイト”だと思います……」
とバイトリーダーへの評価は手厳しい。
「人に教えるの苦手だから」と丸投げし、社員に成果アピール
「自分ではトレーニングしないくせに、『新人君どんな感じ??』と何度も状況をいちいち聞いてくるんですよ」
Bさんは現在フリーター歴4年目。全国で300店舗以上を構える居酒屋チェーン店で働いている。入れ替わりの激しい学生バイトが多いため、バイトリーダーはフリーターが勤めているという。
しかし、そんなBさんは「おれ、人に教えるの苦手だから」と、教育係りの仕事を丸投げしてくるバイトリーダーに、辟易としているようだ。何よりも許せないのは、そんな教育係としての成果を横取りされることだという。
「新人君が使えるようになったら、自分が育てた感を正社員にガンガン出しているんですよね。自分が仕事できてもそれを他人に教えるコミュ力がないと、正社員にはなれないと思いますが。あと、プロ意識という意味では、裏でスタッフ同士話している時、『お客さん』のこと『お客様』って言わないといちいち注意してくるんですよね。まあ、確かに正しいのかもしれないですけど、バイト仲間として信頼できないっす」
学生バイトに指示だけして自分はバックヤードで一人作業
プロ意識の高すぎるバイトリーダーも困りものだが、逆にその立場を利用して職務怠慢を図るバイトリーダーもいる。
「本屋ってけっこう肉体労働が多いんですけど、自分は指示だけ出して品出しや配置換えの肉体労働をサボっているんです」
数年前に古本チェーン店のオープニングスタッフとして、アルバイトをした経験があるというCさん。大学1年生だった当時、そのオープニングスタッフの中には大学を卒業したばかりのフリーターがいた。
「その人はオープンするまでにすごく熱心にアニュアルを覚えてきて、実際に開店するときには部門のバイトリーダーに。最初は頼もしい人だなと思ったんですけど、オープンしてからは少しでも忙しくなるとすぐテンパる。それだけならまだしも、次第に『考える人』のポーズで何かを考えているような素振りを見せつつ、僕たち学生バイトに指示だけ出して、自分はバックヤードに行って自称”作業”をするだけになっていきました。同じバイト、同期のオープンメンバーですよ? もっとお前も学生と一緒に肉体労働しろよ!とムカつきましたね」
スタートダッシュでリーダーになって手早くサボりはじめるあたり、世渡り上手な感じもするが、あまりに長引くひとり”作業”に、結局ラクをしているだけじゃないのか?とCさんや同僚たちが疑問を抱くも当然だ。
バイトリーダーの共通の口癖としては、「休みたいけど、(私が)休んだら回らない」といった発言が多く、「リーダーだってバイトなんだから、希望のシフト出したらいいのに…」と、従業員はみな心の内で思っているようだ。
たとえ当人にその気がなくても、希望通り休みたいバイト仲間たちに罪悪感を抱かせる文、余計に厄介だ。
しかし、そもそもこうした職場のギスギスや”イタさ”の根元には、現場で働く人たちの意欲や待遇の矛盾があるはず。バイトの負担が増し、余裕のない職場も多い昨今、日本のサービス業を取り巻くこれらの矛盾が解消される日は来るのだろうか。
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