吉野家が奨学金制度導入、卒業後に就職すれば返済免除 「札束で学生買収」という指摘もあるけど、どうなの?
同制度は、大学生のアルバイトに入学金や学費を貸与するというもの。在学中は週に3時間以上働くことが条件だ。卒業後、同社に入社して4年間勤務した場合は、返済が全額免除され、同業他社に就職した場合でも半額が免除される。年間10人を上限としており、2018年に大学入学予定の学生から募集を開始する。
同社の広報担当者は、
「奨学金を借りている学生は増え続けています。そうした学生さんたちのお手伝いをするために今回の奨学金制度の導入を決定しました」
と制度導入の背景を語った。なお、在学中にアルバイトを辞めたり、入社後4年間続かなかった場合は、それまでに貸与された奨学金を全額返済する必要がある。
この報道を受け、
「さすがッ!吉野家さんッ!」「入社すれば全額免除というのはけっこう太っ腹だと思う」
と称賛の声が相次いだ。経済的な問題で大学進学を躊躇する学生には、ありがたい制度だろう。
また同業他社に入社しても返済が半額免除になることに対し「『外食業界を支える人材を育てる』という姿勢が素晴らしいですね」と評価する人もいた。卒業後、同社で働かないといけないことについても「4年間働いて合わないと思えば転職すればいいわけだし」と楽観的だ。
「やめたくてもやめれない状態は、社畜の温床」?
その一方で、「やめたくてもやめれない状態は、社畜の温床」と批判の目を向ける人もいた。全額免除を獲得するためには、4年間は働かなければならない。その間は、例え理不尽な職場環境に直面しても退職できない危険がある。
他にも、「札束で学生を買収しているような気もする」という声もあった。奨学金を餌に会社に縛り付けられたることに抵抗感がある人もいるようだ。
こうした奨学金制度を設けているのは吉野家だけではない。ブライダル事業を展開するノバレーゼも、2012年から奨学金返済支援制度を設けている。奨学金を借りている正社員の勤続年数が5年と10年になっときに、未返済分に対してそれぞれ100万円を上限に支給する。他にも、メガネチェーンのオンデーズや、WEB制作会社のGOSPAが奨学金を肩代わりする制度を導入している。
奨学金の返済にあえぐ学生にとって、こうした制度は本当にありがたい。しかし公的な奨学金が充実したり、学費が安くなったりすることで、制度に縛られずに会社選びができるようになるのが一番望ましいのではないか。日本の国内総生産に占める教育機関への公的支出の割合は、33か国中、下から2番目となっている。
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