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「新卒で農業」という選択肢 初心者でも成功する農業ベンチャー、ミニトマトの責任者は内定者のアルバイト

新卒で就農という選択肢もあるのです

新卒で就農という選択肢もあるのです

神奈川県藤沢市、元は耕作放棄地だったという約3600平米の農地が、今や大きなビニールハウスが立ち並ぶ農園になっている。

昨年、そのハウスの1つに大学を卒業して1年目の女性が初めてキュウリを作付けした。販売量は神奈川県が設定する農家の目標を上回ったという。

「1年前は素人だったのにここまでできるようになったんだなと、感慨深いです」

と、女性は手ごたえを笑顔で語る。ほかにも、大学4年生のアルバイトが管理している600平米のミニトマトのハウスもあった。

実は彼らは、東京・港区麻布に本社を構える農業ベンチャー企業seak(シーク)の社員だという。アルバイトは内定者だ。社員16人のほとんどが農業未経験者で、3年前に起業した代表の栗田紘氏(34歳)も、元は大手広告代理店勤務で農業初心者だった。

コンセプトは、「誰でもできる農業」とのことで、独自配合の土袋やオリジナルの液体肥料などによって、おいしい野菜が土壌に関係なく簡単に栽培可能だという。独自の販路を確保しており、一部は東京の高級スーパーへ「ゆる野菜」というブランド名で出荷している。

ハウスの苗の状態は、いつでもスマホで数値が確認できるシステムになっているし、元農業学者が最高開発責任者に就いており、的確なアドバイスをもらえる安心感もある。seakはこれを、初期費用などを参加者に負担してもらうことですべて用意し、誰でも参加しやすいビジネスモデルとして全国に広めたい考えだ。

新しく農業を始めたい人が、ぶつかる壁が低くなる?

筆者はこれを見て、垣谷美雨の小説「農ガール、農ライフ」(祥伝社)を思い出した。大卒33歳・派遣社員の独身女性が、結婚を逃げ道とせず不安定な立場から脱しようと、新規就農者として奮闘する物語だ。フィクションとはいえ、単身女性が新規就農することの並々ならぬ苦労を感じて恐れ入ったものだ。

新しく農業を始めたい人がぶつかる壁は、農地の確保や栽培ノウハウ、農業機械の調達や販路の開拓など多岐に渡る。その支援は農協が行っているはずだが、ここまで手厚いフォローやITを活用した運用は珍しいだろう。

大浜平太郎キャスターは「これだけ支援してくれれば副業でやろうという人が出てきてもおかしくないですね」と感想を話していたが、自分に農業が向いているか確かめる意味でもハードルが低くて良いのではと感じた。魅力あるビジネスとして育っていけば、大学を出た後に職業の選択肢として農業を考える人が増えるかもしれない。

視聴者がツイッターに寄せた反応は、「農業なめるな~!! by 百姓の息子」など多少の批判もあったが、「ベンチャー農業 ビジネスモデル面白いね。やってみたいかも」「WBSの農業ベンチャーの特集面白かったし、藤沢ってのが興味惹かれた」など、概ね好評のようだった。

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