外国人技能実習制度がコンビニにも対象拡大か 「低賃金労働者を確保するために悪用される」と弁護士は指摘
「外国人技能実習制度」は、外国人に日本で働いて技能を習得してもらい、自国の経済発展に役立ててもらうことを目的としている。あくまでも技能を身に付けることが目的のため、現在の制度では技能実習生がレジ打ちのような単純作業に就くことは認められていない。
伊藤専務理事は、
「コンビニでは、接客や商品陳列、発注、在庫管理といった仕事を覚える必要があり、単純作業とは言えません。それを認めてもらうため、年内の申請を目指して準備中です」
と話した。
ネットでは、背景にコンビニの「人手不足」があるのではないかという声も相次いでいる。しかし伊藤専務理事は「人手不足が理由ではない」という。
「コンビニは24時間365日稼働しており、特定の曜日や時間帯しか働けない人でもシフトに入りやすくなっています。また業務内容はマニュアル化されて単純になっているため、誰でもすぐに慣れることができます。そのため人手不足には陥っていません」
「海外法人を作って現地で人を雇い、日本に転勤させて研修することもできるはず」
18日には共同通信が報道しているが、はてなブックマークのコメント欄では、
「母国に帰った後有益な技能が身に着くかというと甚だ疑問」
「技能実習制度という名を借りて低賃金労働者を外国から獲得しようとするのをやめませんかね」
といった批判が相次いでいる。コンビニの仕事では技能が身に着かず、結局は低賃金労働者として働くことになるだけなのではないかと危惧している人が相当数いるようだ。
外国人技能実習生問題弁護士連絡会の指宿昭一弁護士も、同制度の対象拡大に警鐘を鳴らす。
「外国人技能実習制度そのものが人権侵害の危険を含んでいるため、この制度を利用することには賛成できません。もし海外でコンビニチェーンを展開するために人材が必要なのであれば、海外法人を作って現地で人を雇い、日本に転勤させて研修することもできるはずです。結局、低賃金労働者を確保するために悪用される可能性が高いと思います」
海外からも、同制度が人権侵害の温床になっていると繰り返し批判されてきた。移住者の人権に関する国連の特別報告者ホルヘ・ブスタマンテ氏は2010年、
「研修生・技能実習生の心身の健康、身体的尊厳、表現・移動の自由などの権利侵害となるような条件の下、搾取的で安価な労働力を供給し、奴隷的状態にまで発展している場合さえある。このような制度を廃止し、雇用制度に変更すべきである」
と実習制度を批判。
アムネスティ・インターナショナル日本も2015年、「技能実習制度の現状は、安価な労働力の確保になっていると国連の諸委員会などから繰り返し報告されている」と指摘していた。