“ブラック厚労省”職員の悲哀 国会待機で深夜4時まで残業、「働き方改革」はどこへ
厚労省の業務のなかでも、大きな負担になっているのが「国会対応」だ。委員会や国会での議員の答弁作成は霞が関の役人が担っているが、特別委員会などは開催が決まるのが前日ということも多く全ての議員からの質問通告が出揃う全省庁の平均時刻は20時56分。通告を受けた質問について、担当課室の割り振りが確定するのが、平均22時36分という内閣人事局の調査(2016年)もある。そのため、日付をまたいで答弁の資料を揃え、朝に大臣へ説明をするまで、省庁職員の業務が続くことも珍しくないようだ。
一般的な民間企業なら残業代などで報われることもあるだろうが、「国家公務員は労働基準法の適用外のため、残業代の抑制は合法的に行うことが可能です。(超過勤務を命じていないといった時点でそれまでです)勤務時間については、本省勤務はそれ自体仕事の合間に私生活をたまに行うような人生になりますし、外部部局でも業務内容によっては休日出勤を避けられない場合もあります」(その他 30代前半 男性 430万円)という声がなんとも同情を誘う。
「国会対応で非常に残業時間が多い。しかも国民からの電話対応もあり、自分の業務に全く集中できない。そのため残業時間が増え、また、休日出勤もしなければならない。しかし予算の上限があるので残業代は満額出ることはない。国会閉会中は唯一少し早く帰れるかもしれないが、そもそも人が少ないので、なかなか仕事が終わらない」(その他 20代前半 男性 300万円)
「国会待機により、深夜4時ごろまで残業することが1年の間に数回あった。基本的には夜11時から深夜2時の間に帰宅していた。残業代は特別会計を持っている課室には多くつくが、予算を持たない課室にはあまりつかないという構造になっており、サービス残業がほとんどという状態である」(その他 20代前半 男性 320万円)
「残業時間はかなり多いと感じていた。多い時は1日4時間以上残業する日もあり、身体的にも精神的にもかなり負担をかんじていた。休日出勤はなんとか自分は免れたが、管理職やそれに近い立場になるとやらざるを得ない状況になると思う。有給休暇は全部消化するのは困難だと思います」(その他 30代前半 男性 350万円)
一方で「男性の育児休暇取得も奨励」出産・育児への配慮は手厚い
ただ厚労省は良くも悪くも日本型雇用の象徴的存在でもある。給与は年功序列で上がっていき、平均年収は600万円。新卒で300万ちょっと、40歳くらいなら800万といった話もあり、就活サイトなどでは”厚労省の待遇は手当も含め良いほう”と認識されているのも、一面の事実だ。
「一般的な公務員そのものの給与水準。給与表に従って毎年特に問題がなければ4号(数千円程度)あがっていく。たまに6号あがるときもあるが大体、入職◯年目の人が一律で上がっていくような感じであり、若手~中堅くらいまではあまり差がつかないような気がしました」(その他 30代前半 男性 350万円)
また、女性の働きやすさに関する口コミも多い。「出産・育児・介護については、女性も多く働いているため、人事異動による対処が定着している。ただ、出産・育児・介護が発生すると深夜残業がしにくくなるため出先機関などに行くことが多くなる。そうした面で昇進面では遅くなると思う。花形の部署(企画ライン)には行きにくくなる。ただ昇給はする。最近は花形の部署にも女性を登用する動きがある」(財務・会計関連職 20代後半 男性 420万円)など、手放しに高い満足度とは言えないまでも、一定の評価を得ている。
「出産や育児については積極的に休暇の取得等を勧めており、実情に応じつつ勤務することは可能と思われます(男性の育児休業取得に対しても積極的です)ただし、圧倒的な業務量をさばかなければならない部署にいる場合、フル+深夜勤務+休日出勤を前提に回っている職場もあるため、そのような部署の場合、また対応は異なってくるものと思われます」(その他 30代前半 男性 430万円)
「少子化対策や女性の就労を前面に出す官庁なので出産・育児への配慮は手厚いと思います。また最近は、男性の育児休暇取得も奨励され僕の上司も取得しました。時短出勤を利用する女性もままいます。省内に保育所も設置されますます子育て環境が良くなっていると思います」(財務・会計関連職 20代前半 男性 385万円)
果たして厚労省内の働き方改革がどこまで成果をあげられるのか、その行く末を見守りたい。