「働き方改革で残業減少」手放しで喜べない理由 「持ち帰り仕事で埋め合わせ」「時短ハラスメントでプレッシャー」
「基本的に暦通りに休むことができます。残業も厳しくなり、あまり遅い時間までやっていません」(代理店営業 40代後半男性 正社員 年収600万円)
「残業は会社全体として減らしていく方針のため、上司からは早く帰るよう言われる。月平均10時間程度で、残業はかなり少ない。出退勤はシステム及び自己申告にて管理されており、残業代は全て支給される」(代理店営業 20代前半女性 正社員 年収350万円)
「社会情勢にあわせて残業削減、効率化の取り組みが推進されつつあるが、営業現場においては長時間労働もありえる」(販売促進 20代後半男性 正社員 年収800万円)
働き方改革が叫ばれる中で、残業を減らして長時間労働をなくそうと工夫する会社が増えている。実際に口コミでも、「残業の取り締まりが厳しくなり、帰宅時間が早まった」という声があがっている。
1日8時間、週40時間のフルタイム労働者には、「残業は1か月45時間、1年間360時間まで」という決まりがあるが、これまでは、「特別条項」で無制限に労働時間を延長することができた。
しかし今回の働き方改革では、休日労働を含む残業時間が「1か月100時間、2~6ヵ月平均80時間」に制限され、これを超えると企業は罰せられてしまう。そのため、企業は社員の労働時間に厳しくなり、残業削減に取り組んでいる。
業務の効率化をはかり、早めに仕事を切り上げることができれば、社員はプライベートの時間を大切にすることができるうえ、企業は無駄な残業代を払わずにすむ。まさに一石二鳥というわけだ。
「個人にノートパソコンを付与して残業代をカット」
しかしこの長時間労働の是正が、ただの「残業代カット」になっている場合もあるようだ。
「現在、働き方改革を推進している。労働時間を削減するのは良いが、平行して報酬改革が行われないため、非管理職の年収は単に残業代が削減されるだけ。下がる一方」(その他 40代前半男性 正社員 年収800万円)
「売上が減ると、とにかく残業を減らせ減らせと時短ハラスメントの典型的な例。仕事があるのに早く終わらせないといけないプレッシャーに疲れます」(その他 30代後半男性 正社員 年収400万円)
「残業は働き方改革と名付けて取り組んではいましたが一時的な物であり、結局は各個人にノートパソコンを付与され残業代をカットする方法でした。家へ帰ってからの作業で埋め合わせる形となっていました」(代理店営業 20代後半男性 正社員 年収500万円)
企業には、基本給が低く、残業しないと生活できないほど安月給のところもある。その場合、残業時間が減ると単純に減給につながる。
みなし残業代を採用している企業では、決められた時間までは変わらない給料で残業できてしまう。「労働時間が減っても家に仕事を持ち帰ってやらざるを得ない」といった口コミも寄せられた。これでは、ただのサービス残業だ。「研修の準備など、時間がかかるものについては勤務時間内にやらず、仕事を持ち帰っている人が多くいた」という声もあり、社員の負担は減っていないようだ。
本当の意味で働き方改革を浸透させ、労働者が快適な環境で働くためには、残業に左右されない給与の保証や、持ち帰り仕事が増えないような分配を徹底しなければならない。
表面的に労働時間だけを減らしても、それは真の効率化にはつながらない。企業は現場の現状を知り、その部署や人員に合った効率的な働き方をともに考えていくべきだ。