安定した雇用で働ける正社員だが、中には、非正規労働者に羨望の視線を向ける人もいる。ガールズちゃんねるに5月26日、「【時給換算】パートの方が高い現実…」というスレッドが立った。
クリニックに正社員として勤務しているスレ主は、毎日1~2時間ほどのサービス残業が発生しており、「時給換算したらパートさんの方が全然高い」と嘆く。さらに、
「時間になったら帰れて、希望の日には休めて。正直、凄く羨ましいです。勿論、現状独身だし、正社員の方がいいのは分かってますが、今の仕事は何だかな~…と思ってしまうのは確かです」
と転職を検討している。(文:石川祐介)
「正社員の方がローン組むとき有利じゃん」
スレ主の嘆きに、「あるあるだね。正社員でも派遣の方が給料高くてモヤモヤする」と共感の声が見られた。「勤務先に時給1800円で働いているパートがいる」というコメントもあり、時給換算すると非正規労働者以下で働く正規労働者は珍しくないようだ。
「正社員の方がローン組むとき有利じゃん」
「パートさんが自分で社会保険入ってるなら、その分を引いて考えないと」
一方、給与だけで非正規労働者の方が優遇されていると判断するのは、安直だと指摘する人も多い。手取りだと非正規のほうが高いかもしれないが、そこから保険や年金などが引かれることを加味する必要がある。
また、ローンが組みやすいのも正規労働者だ。結婚相手としても、一般的に非正規より正規労働者がいいという人が少なくはないだろう。正規・非正規雇用のメリット・デメリットを考慮する際は、このような給与明細に記載されない項目も考慮すべきだろう。
シフトを大幅に減らし、パートからの「辞めます」待ちも
ほかにも、コメント欄には非正規雇用のデメリットが次々と綴られている。
「職種にもよるけれど、アルバイトやパートって(雇い主側の仕事が減り)暇になれば平気でシフト減らしてきたりするよ。更には辞めて欲しい人は月に2回くらいしかシフトに入れず『辞めます』って向こうから言ってくるのを待ってる」
非正規労働者を”雇用の調整弁”と考える企業は多い。会社の経営状況次第で勤務日数を減らされてしまい、将来どころか今月の見通しすら立てることが難しくなることもある。
正社員のサービス残業と非正規雇用の問題は本来別々に扱わなければいけない話だが、スレ主に対し「非正規に比べたらまし」といった声が相次ぐ事態になってしまった。
非正規雇用については、2018年から有期労働契約が更新され、通算5年を超えると、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるルールが施行開始された。待遇格差の解消を目的とした「同一労働同一賃金」も大手企業では来年4月から施行される。雇用状況による格差は今後なくなっていくだろうか。