中間・期末試験などの定期テストを廃止する中学校が出ている。昨年春からテストを廃止した東京都の千代田区立麹町中学校に続き、世田谷区立桜丘中学校でも今春から廃止になった。代わりに小テストの頻度を増やし、子供に学習習慣をつけさせる狙いがあるようだ。
ただ、7月4日の「モーニングCROSS」(MX系)では、教育コンサルタントの中土井鉄信氏が定期テスト廃止のデメリットを指摘した。定期テスト廃止は、勉強が好きな子供や自主的に取り組める子供にとっては自身の裁量でどこまでも学び進むことができるが、そうではない子供にとっては非常に厳しく、子供の教育格差を大きくすると警鐘を鳴らした。(文:石川祐介)
義務教育では学びの「型」を教えるべき
中土井氏は、「よく芸事で言うじゃないですか、”型なし”と”型破り”って。今の教育は段々と型なしになっている」と話す。子供は好奇心に身を任せて”学び”を探求することができるが、そのためにはまず「学びの”型”」を学校教育で教える必要があると主張する。最近は、学校でその型を教えなくなってきているという。
「『年にテストが5回ある』『遅刻を取り締まる』とか、1980年代にちゃんと普遍されていた管理教育が”ハードパワー”だったけど、『今はそういう管理はしません』『子供の自主性に任せる』という”ソフトパワー”にシフトしている」
そもそも最初から自主性のある子供はおらず、学校から勉強をやらされて初めて育まれる感性であるとも解説。今のままでは自主的に学べない子供を置き去りにするリスクがあると話す。
「不自由を経験させないで自由を与えてはいけない」
と、まずは学びの型を義務教育の中で教えることが重要だと語った。
ネット「知識ゼロの人が想像力を発揮できるとは思わない」
子供の創造性を育むのは「高等学校からだと思っている」とも主張していた。公教育が子どもの創造性を殺している、などという言説は「レアケース」と一蹴している。
「子供の自主性を大切にする教育」という言葉は非常に耳障りが良いが、盲目的に「自由=良いこと」と捉えるのも、かなり危険な考え方と言えそうだ。
ネット上でも、「自由なことやっていいよって言っても、計算や言語能力といった基礎部分ツールを持たないとできない」、「知識がゼロの人が創造力を発揮できるとは思わない。応用は基礎があってこそで詰め込み教育が必要だと思う」と中土井氏に同意する声が多く寄せられた。