偏見や決め付けにとどまらず、立場を利用してマウントを取るケースもある。技術職の40代女性は、以前働いていた職場での理不尽な一幕を明かす。
「初めての作業内容で二度三度やってダメだと判断され、社長に『帰っていい』と言われたこともありました。昼休憩のときに弁当の中身を笑われたこともありました」
仕事とは直接関係のない弁当の中身まで笑われたら、不快な思いをするのは当然だ。
「いらっしゃいませ」に対し、クレーマーが「馬鹿にしてるのか」と罵声
販売・サービス職の40代男性は、同じ会社で働いていた妻との離婚をきっかけに、退職を考え始めたという。前妻とは部署が違ったことから、離婚後もしばらくはそのままの生活を続けていた。
「私は1年半後に辞めると決めていました。妻より先に仕事を辞めて、新天地でのスタートをと考えていました。しかし、それを知った妻は同じ時期に辞めると言いだし、そのまますんなり退職」
男性は、会社に前もって退職の旨を伝えていたにもかかわらず、妻が先に退職する形になったのだ。その結果、会社は男性の退職を拒否。「私が先に辞めたいと言ったのに辞めさせてもらえず、仕事がやりにくい」とこぼしている。
会社を辞めたいと考える瞬間は、社内だけとは限らない。販売・サービス職の30代女性は、クレーマーの集中攻撃に心が折れた。店舗に訪れた高齢客の横柄な態度を語る。
「『いらっしゃいませ』と普通に接客しただけなのに、いきなり『馬鹿にしてるのか』と罵声を浴びせられました。それだけじゃ気持ちが収まらず、『上を出せ』と大騒動。上司が対応するも高齢者クレーマーは『自分は被害者だ』と言いだし、結局は私が悪いということで終わりました」
その後も高齢客は来店しているという。しかし、相変わらずスタッフに対する罵声はやむことなく、挙句の果て「俺が教育する」と威張り散らす始末。女性は「今、シニアクレーマーがすごく多いです。上もわかってくれないと現場で働くスタッフはやってられません」と訴えている。