「みなし残業代」とは、基本給とは別に一定時間残業したとみなして毎月決まった額を支払われる残業代だ。「固定残業代」とも呼ばれている。労働基準法上、みなし残業時間を超えた分については別途支給しなければならないが、
「規定時間を超えても残業代は出ない」(40代男性/技術職)
という会社も見られる。今回はみなし残業の制度を悪用したブラック企業の経験談を紹介する(文:林加奈)
「固定残業代のみで追加分が支払われることはなかった」
みなし残業時間を超えているにもかかわらず、別途支給されなかった声は少なくない。
「固定残業代という2万円の手当があるだけで、実際に勤務した分の残業代がもらえなかった」(20代女性/クリエイティブ職)
「1か月当たりの残業時間は90時間だったが、固定残業代のみで追加分が支払われることはなかった」(30代男性/教育・保険・公務員)
また、本来みなし残業の範囲内でも、深夜労働をした場合は別途手当を支給しなければならない。それにも関わらず、
「一度緊急対応で朝の4時まで残業したが、みなし労働時間内ということで、深夜割増分がつかなかった」(40代女性/企画・マーケティング・管理)
という声も寄せられている。人件費を抑えたいブラック企業としては、残業代や深夜手当などを抑えたいからか、「みなし残業代以外払えない」という主張を押し通す傾向があるようだ。
「残業が月100時間以上で、残業代が休日出勤を含めて月固定3万円」
みなし残業時間とその金額を書いた回答も寄せられている。
「みなし残業60時間、みなし残業代は1万円ぽっきり」(20代男性/技術職)
「30時間のみなし残業で手当てが2万5000円。時給に換算すると830円程度」(30代男性/営業職)
技能工の40代男性は
「残業が月100時間以上で、残業代が休日出勤を含めて月固定3万円。時給にすると300円以下」
とその惨状を綴る。いずれの経験談も明らかに労働時間と見合っていないし、時給換算するとアルバイトと同等かそれ以下の低い金額で働かされている。社員を安くこき使おうとするブラック企業の思惑が垣間見える。
みなし残業制度自体は違法ではないものの、労働時間に見合った金額を支払わなければならないのは自明の理だ。これからは「みなし残業の時間を超えても残業代は払われない」(20代女性/販売・サービス職)という会社がなくなることを期待したい。
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