少子化が進むなか、新卒就活は応募者に有利な「売り手市場」と言われている。だが楽々と就職先が決まる人ばかりではない。それどころか「就活うつ」になる学生もいるようだ。
ABABAは11月27日、「就活うつに関するアンケート調査」のの結果を発表した。調査は10月下旬〜11月上旬にインターネット上で実施した。
調査対象は、「就活うつを自覚したことがある」という2025年3月卒業予定の大学4年生 300人。その約半数が「就活中に死にたいと思った」と回答するなど、追い詰められている様子が見えてきた。(文:天音琴葉)
うつで「就活を一時的に止めた」深刻な学生も
同社は2025年3月卒業予定の就活生1277人に、「就活うつ」の自覚があるか聞いた。すると、46.3%が「就活うつになった」、「就活うつっぽいと感じた」と回答。以下は、「就活うつ」を自覚する学生300人の調査結果である。49.3%が「就活中に死にたいと思ったことがある」と回答。ほとんどが一時的な衝動だったかもしれないが、深刻であることに変わりない。
次に、「就活うつ」への対処方法を聞いた。すると「親や友人に打ち明けて相談に乗ってもらった」という回答が40.3%と最も多かった。だが、次に多かった回答は「特に何もしなかった」で、32.3%。一人で抱え込む人が思いのほか多いようだ。
症状が深刻だったのだろうか、「就職活動を一時的に止めた」(18.7%)という意見もあった一方、考える時間がないくらい動くために「面接やエントリーの数を増やした」(14.7%)という回答も見られた。「専門機関でカウンセリングや診断を受けた」は14.3%にとどまった。
「内定が決まっていない自分自身には価値がない」
就活のどんなところに、つらさを感じているのか。「期間が長く、先が見えにくいから」(40.7%)、「選考に落ちたから、または選考落ちが続いたから」(40%)が多かった。ほかには、「周りの友人と比べてしまった(内定数、内定先など)」(32%)、「面接に落ちて自分を否定された気がしたから」(31.7%)などの回答も見られた。
就活うつによる影響について聞くと、最も多かった回答は「内定が決まっていない自分自身には価値がないと感じるようになった」(42.7%)だった。自己肯定感が下がったようだ。
ほかには、「内定が決まっている友人と気まずくなった」(19.3%)「仲がいい友人や親とも会いたくなくなった」(16.0%)と、交友関係に影響した学生もいる。その後の就活にも支障が出たようだ。「就活セミナーや勉強会に行く気が失せた」(20.0%)という回答も見られた。
「就活うつ」を患っていた期間は、最も多かったのは「1週間以上、2週間未満」(23.3%)、次に「2週間以上、1か月未満」(19.7%)、「1か月以上、3か月未満」(21%)と続いた。一方で、「3か月以上、6か月未満」(11%)、「6か月以上」(7%)と、長期間、苦しんでいる学生も一定数いることがわかった。
つらい「就活うつ」だが、そもそも原因は何だったのか。すると、「自分の頑張りが足りないから」という回答が62.7%と圧倒的に多かった。まじめな学生ほど「就活うつ」を患う傾向がうかがえる。
就活を支援するキャリアセンター内で、メンタルヘルスケアを行なう大学もあるようだ。だが利用したくない学生も一定数いるだろうから、難しい問題だ。そもそも、学生を追い詰めているのは、「新卒就活に失敗したら人生おしまい」という考え方だ。決してそのようなことはないと、大人たちが身を以て示していく必要もあるのでは。