Tポイント7000万のデータから「小さな幸せを増やす」事業を創出 CCCマーケティンググループが導き出したビッグデータ活用の解 | キャリコネニュース
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Tポイント7000万のデータから「小さな幸せを増やす」事業を創出 CCCマーケティンググループが導き出したビッグデータ活用の解

CCCマーケティング株式会社 取締役 彦坂理枝子さん(右)と、株式会社Tポイント・ジャパンHR Division /HR Unit萬代達也さん

CCCマーケティンググループは、データを活用した企業のマーケティング支援を中心に、さまざまな社会課題解決に向けた取り組みにも注力している。

T会員は約7,000万人と日本の人口の半数を数え、提携企業数は5,700社、店舗数では165,000店舗にものぼる。CCCマーケティンググループは、ユニークデータから何を生み出すのか。同グループの事業を支える“人”の役割とは。CCCマーケティング株式会社および株式会社Tポイント・ジャパンで人事を管掌する取締役 彦坂理枝子さんと、株式会社Tポイント・ジャパンHR Division /HR Unit萬代達也さんに伺った。(文:千葉郁美)

会員数7000万人のデータをもとにビジネスを展開

――御社の親会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)とそのグループ会社は、「蔦屋書店」や「TSUTAYA」の運営のほか買い物などでポイントが貯まる「Tカード(Tポイント)」、電子マネーの「Tマネー」など、幅広くサービス展開しておられます。
とりわけ、CCCマーケティンググループが提供する「Tポイント」のサービスは、コンビニやドラッグストア、ガソリンスタンドのほかネットショッピングなど、生活のさまざまな場面でTポイントを貯めたり使ったりできる場所があり、一般的にも非常に広く認知されているサービスですが、実際にどのような事業を行っているのでしょうか。

(彦坂さん)CCCマーケティンググループは、「UNIQUE DATA, SMALL HAPPY.(ユニークデータ・スモールハッピー)」をグループミッションに掲げ、「個人のライフスタイル」とそれを取り巻く「社会」をつないで、一人ひとりの、毎日のささやかな幸せをつくっていくことを使命としています。グループは、「CCCマーケティング株式会社」「株式会社Tポイント・ジャパン」「株式会社Tマネー」の3社からなり、3社共通して、ポイントサービスをはじめとするお客様へのサービス提供をしながら、クライアント企業様の課題に対してデータを中心にマーケティングのご支援を行っています。

主な事業活動としては、Tポイント・ジャパン株式会社ではアライアンス様でのポイントサービスの展開とアライアンス企業様の本業のご支援を、CCCマーケティング株式会社では、Tポイントサービスのご利用によってお預かりしたデータに新たな価値を付加して、最適な広告をお届するなど、クライアント様のマーケティングのご支援をしています。株式会社Tマネーは、電子マネーや銀行代理業など金融領域のビジネス展開をしています。また、全社をあげて、次なる価値創造に向けた取り組みを行っています。

――7000万人が会員となると、膨大な量のデータになりますね。具体的にどのようなデータを、どのように活用されるのでしょうか。

T会員になっていただいた際にご登録いただく属性情報をはじめ、提携するアライアンス企業様の店頭でTカードを提示していただいた場合にお預かりするのは「いつ、どこで、何を、どのくらい買ったのか」という購買に関するデータや、テレビの視聴データ、アンケートにお答えいただいたデータなどがあります。

このようなデータを組み合わせて、お客さまの嗜好や特徴を示す分類、例えば「新商品好き」、「アウトドア好き」といった新たな付加価値のあるデータを、クライアント企業様のご要望や課題をお聞きして、マーケティングのご提案をしています。例えば、新商品発売に合わせた最適な広告のご支援だけでなく、それを実際に店頭で購買したかがわかるサイクルまで検証できることが特徴です。

「データがあることで生活が豊かになる」そんな社会を目指す取り組み

――CCCマーケティンググループでは、データを社会価値還元していこうと非常に注力されていますね。具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか。

Tポイントを社会に価値を還元する取り組みは、データで社会を豊かにしたい、人々の小さな幸せに貢献したいという考えのもとで企画し、実施してまいりました。我々がこういう考え方をより意識するようになった、そのきっかけは2011年の東日本大震災があります。震災当時もT会員数は6000万人ほどあり、我々の持つこの基盤を生かしてなにか社会に還元できるのではないかという思いが強くなりました。

最初に取り組んだのが児童館プロジェクトです。被災地の沿岸部にあった児童館は津波に遭い、流されてしまったところもありましたが、そうした子どもに関する施設の再建は他の施設に比べると後回しになっていました。児童館を再建するために我々も支援できるのではないか、ということでT会員のみなさまからTポイントを寄付いただき、建築費用に充てさせていただきました。

その後も子どもや家族が集うことができるコミュニティの場を作る「Tカード みんなの遊び場プロジェクト」や、子どもたちの未来と地域コミュニティをつなぐ「Reborn-Art Festival×Tカード」などを実施しました。

Tポイントの活用事例

Tポイントの活用事例

こうしたT会員基盤を活用した取り組みがさらに発展して、データをもとにした社会課題の解決に寄与していきたいと考え、進めたのが「三陸の牡蠣プロジェクト」と「五島の魚プロジェクト」というものです。

日本の一次生産者が抱える課題を継続した6次産業として実現すべく取り組んだ「三陸の牡蠣プロジェクト」、サイズが不揃い・魚種がマイナー・一定のロットに満たないなどさまざまな理由により流通されない“未利用魚”に付加価値をつけることで、生活者の共感を得ながら“未利用魚”を活用していく「五島の魚プロジェクト」をもとに商品開発を行ってきました。Tカードのデータをもとに新しい商品を作ろうというものです。Tカードをご利用いただいている方の中からこのプロジェクトに参加したい人たちに呼びかけて、T会員の皆様も一緒になってプロジェクトを進めていく取り組みを実施しました。

この取り組みに対しては非常に期待をしていただいていまして、その後も発展系として続いている企画です。

――そのほかに、データはどのように活用されているのでしょうか。

社会貢献性の高い取り組みのひとつとしては、地方創生やスマートシティ構想にも我々のデータの力で貢献しようと動き出しています。福島県会津若松市で取り組んでいる「スマートシティ構想」に2021年8月より参画し、我々の持つ会員基盤から導き出されるライフスタイルデータをもとに街づくりに貢献していきたいと考えています。

テーマが壮大な取り組みですので、何年もかけてやっていくことになりますが、官と民のデータを融合させることで新たな価値を創出していけるのではないかと考えています。

――御社の有する会員基盤とデータから生まれる可能性は無限大ですね。今後ますますデータの価値は高まっていくと思いますが、事業の発展に向けた意気込みを教えてください。

CCCはレンタル店の「TSUTAYA」から始まり、「Tポイント」というポイントサービスが生まれ、そこからデータがどんどん集まってまいりました。Tポイントが始まった2003年から19年間で分析手法や技術はどんどんと高度化してきましたし、その価値も非常に高まってきたと思いますが、我々が最終ゴールにおいているのは「UNIQUE DATA, SMALL HAPPY.」というグループの目指す方向性にもあるように、私達がお預かりしているデータを少しでも皆様方の小さな幸せに繋がるような形として使いたいということです。

企業が利益を上げるだけのためにデータを使う、ということではなく、利用していただいている皆様方がちょっとでも「よかったな」「こういういいことがあるんだ」と思ってもらえるような、「スモールハッピー」につながるデータの使い方をしていきたいと考えています。

■ 事業を推進するのは「主体性を持ち自ら考えて行動する力」

 

――さまざまな事例を挙げていただきましたが、領域や産業などに偏らずに企業そして行政と連携されていますね。こうしたプロジェクトを実現していく上では、携わる人、そして組織づくりも重要かと思います。

そうですね。当グループのメンバーは主体性を持って、今あるものを大切にしながら、次なる価値を生み出す意欲のある人材が集まっています。CCCグループ全体で「世界一の企画会社」をビジョンに掲げていますので、グループ全体で新たな企画を生み出そうというマインドを持つことがベースとなっています。

CCCマーケティンググループのビジョン「UNIQUE DATA, SMALL HAPPY.」は社内でも浸透していますが、今後目指す方向への共感する仲間とともに、それぞれが活躍する組織でありたいと思っています。

また、ビジネス変革を目的として、一人ひとりも変わっていこうという宣言のもと、個人のアイディアを相談できる仲間づくりから、新規事業にチャレンジできる環境やサポートを用意し、後押ししています。一方で、事業として推進する意志決定をした場合は、PJ化するなど迅速な体制づくりをしています。

オフィスは開放的なエントランスが特徴的(同社提供)

――多彩な企画を作り上げていく上では、さまざまな知見を身につける必要もあるのではないかと思いますが、社員のスキル向上や教育の観点ではいかがでしょうか。

データを取り扱う事業を担っていますので、個人情報の取り扱いに関するリテラシーの高さは当然のこととして、全社員がデータ分析の領域で基本的な知識を身につけることを目的としたプログラムを用意しています。ですが、こうしたプログラムにおいても強制的に参加するものではなく、主体性をもって取り組むことを大事にしています。インプット型の研修プログラムを手厚く用意されているというよりも、「あなた次第で活用できるプログラムがありますよ」という具合ですね。

また、ビジネススキル向上を目的とする、学習プログラムの活用促進を図る上では、マネジメントの立場にある人に対し、メンバー育成のために活用するよう促しています。メンバーにどうなってほしいのか、そのために必要なことは何なのか。それを分解していくなかで、一つの方法として活用してほしいと考えています。

――御社の有するデータの可能性に魅力を感じ、入社を志望される人も多いかと思います。御社が求める人材像とはどのような人なのでしょうか。

(萬代さん)当グループでは、様々な取り組みを行っておりますが、次なる事業化に向けた過渡期の状態にあると考えています。その中で弊社が求めている人材としては、多種多様なな経験をバックグラウンドに持ちながら、自ら主体的にアクションを起こせる方となります。

こうした「自ら率先して動く」ことは、当社の自由な社風にフィットすることから、重要な要素だと思っています。

具体的な職種は、特に新規事業の領域では幅広い募集枠があります。営業職から企画職、エンジニアの領域まで、我々のビジョン・ミッションに共感し、この先の事業を共に創り上げる意欲のある方にぜひ期待しています。

【プロフィール】
彦坂理枝子(ひこさか・りえこ)
CCCマーケティング株式会社 取締役
【経歴】
1997年カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に新卒入社。TSUTAYAの店舗勤務、出店企画、ITを経て、2010年よりCCCマーケティング株式会社に異動。Tポイントサービスの導入、システム企画/開発/運用など事業基盤の運営を中心に従事。2019年4月から取締役。2020年より人事総務部門を管掌、現職。

萬代達也(ばんだい・たつや)
株式会社Tポイント・ジャパン HR Division HR Unit
【経歴】
新卒で人材広告会社に入社し、大手・中小問わず、約150社の採用支援を行う。 その後、CCCグループに入社し、採用を中心とした人事業務に従事している。

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