就活で「やりたいこと」が分からなくても大丈夫。入社10年目、働きながら見つけた充実と自信 | キャリコネニュース
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就活で「やりたいこと」が分からなくても大丈夫。入社10年目、働きながら見つけた充実と自信

▲大学時代、卒業制作のワンシーン

▲大学時代、卒業制作のワンシーン

2011年に美大を卒業、新卒デザイナーとして入社した齋藤 陽歩。2021年現在、開発部門でUIデザインを担当しています。今でこそ仕事の面白さを語る彼ですが、就活時も入社後も「何をしたいか分からなかった」と振り返ります。入社10年目を迎えた新卒社員の成長ストーリーをご覧ください。【talentbookで読む】

何がしたいかわからない。迷いから生まれた道

私は2021年現在、開発デザインチームで「ダーツライブ」というコンテンツ開発を担当しています。具体的に言うと、ダーツマシンの画面内のデザインで、表示のレイアウトや遷移の設計をしていくUI(ユーザーインターフェース)デザインを担当しています。

今でこそ開発デザインに携わり、その面白さにやりがいを感じていますが、最初からこの道を心に決めていたわけではありません。

さかのぼってみると、大学時代は油絵や彫刻をはじめ、工芸、プロダクトデザイン、インテリアデザインなど幅広く学びましたが、将来的に「自分は何をしたいのか」と自問自答しても答えは出せませんでした。

漠然とした「モノづくりに携わりたい」という想いから、いろいろな分野を見てはみるものの、自分には合わないと感じる部分も多くあって……。結局、在学中に本当に携わりたいと思える分野を見つけることはできませんでした。

就活を始めてからも、自分が何をしたいかイマイチ分からない状態。そこで子どものころから好きだった、おもちゃやゲーム業界に候補を絞って探し始めました。

こうして振り返ってみると、学生時代も就活中も、それこそ入社した後も、正直なところ「やりたいこと」が明確には分かりませんでした。ですがそんな中でも、上司や先輩が常に「何をやりたいか」と問い続けてくれました。その繰り返しの中で「せっかくメーカーにいるのなら、サービスを生み出すデザインをやってみたい」と思うようになったのです。

自社製品に携わる中で見つけた仕事の充実感

▲2020年には海外進出を果たした「ダーツライブ3」

▲2020年には海外進出を果たした「ダーツライブ3」

うちの会社は自社でサービスを作っているメーカーのため、どこかから発注を受けるのではありません。新サービスのプロジェクトが立ち上がると、プランナー・プログラマー・デザイナーの3部門が集まり、一つのサービスを手掛けていきます。

ゲーム会社のデザイナーというと、グラフィックなど「見た目」に関する仕事と思われがちなのですが、開発デザインで心がけているのは、ユーザーにとっての「わかりやすさ」。

スコア画面など、ゲーム画面の見やすさはもちろん、実際にプレイするユーザー目線になって、「こういう遷移で、この流れでゲームボタンを押していくだろう」という設計をしていきます。

そのためにはプランナーとの密なやり取りが重要になります。場合によっては企画の欠点を指摘し、別のアイデアを提案しなければならないことも出てきますね。

特にダーツは、ひとりでも大勢でも遊べますし、ルールも種目も多いのが特徴。多様化するニーズに応えながら、初めて遊んだ人にも良い体験が得られるようにしていきたいので、ゲームに集中できるスムーズなUIデザインの提供は大切にしたいと考えています。

数年前からUIデザインは、「ユーザーの体験における重要度が高い」と注目されていて、ゲームやWeb、アプリなどでも重視されています。

しかし「このUIデザインが素晴らしい!」と注目されることはなかなかありません(笑)。専門家の目には留まることはあっても、一般ユーザーの目に留まるものではないからです。しかし、一般ユーザーに「これ、分かりにくいな」と思われてしまうと、一気に悪目立ちしてしまう。

そう考えてみると、UIデザインの正解はいい意味で空気のような存在になること。ユーザーにとって何一つ不便がなくゲームに集中できることが最も重要になってくるデザインで、そこに面白さを感じています。

そういった奥の深いデザインに仕事の充実を感じられるようになったのは、入社して数年が経ったころでした。

開発デザインで直面した難しさ。自信が2度の功労賞につながった

▲開発デザインに留まらず社内広報のデザインも

▲開発デザインに留まらず社内広報のデザインも

入社当初は、Webバナーやチラシの制作など広告系のプロモーションデザインを担当していました。当時の業務は、極端な言い方をすれば単発的な案件が多く「こういう告知を出してこんな風に感じさせたい」というオーダーのもと、デザインすることが多かったです。

一方で開発デザインは、そのデザイン(情報)を見せて終わりではありません。ゲーム全体の流れやゲーム演出など「ユーザーがプレイしている間」という、ユーザーがコンテンツに触れている間のことを考慮しなくてはなりません。そうした全体設計に難しさを感じました。

それに最も直面したのは、2018年にリリースした「ダーツライブ3」というダーツマシンのUIデザインです。

ダーツライブ3は、全世界で1万台以上設置があるダーツライブ2の後継機。業界からもユーザーからも注目度が高く、会社にとっても9年振りの新マシーンとなる、ビッグプロジェクトでした。

そのため部の垣根を超えて、営業部やプロモーション、プロダクト部門などさまざまな部署メンバーが関係者として集合。意見を出し合い、多種多様なアイデアから取捨選択してデザインに落とし込んでいく必要がありました。

もともと私は自己主張が強いタイプではなく、波風を立てないような性格だったので(笑)、自分なりの考えや理論、根拠を明確にし「絶対にこっちが良い」と相手に伝えることは根気のいることでしたね。

でもこの仕事を通して、「違う意見があるのは当たり前」という前提をもとに、自分の考えをまとめること、主張していく経験を詰めました。さまざまな意見を吸い上げながら選び取っていかなくてはなりませんでしたし、幹部や役員へプレゼンする場面もありました。

日々、開発デザインの難しさや自分の未熟さを痛感させられる大変な仕事でしたが、その年の功労賞に選んでいただき、私にとって思い出深い出来事になっています。

このことが自分の自信の一つにもなり、直近では2年前にも功労賞を受賞しました。これは、普段の業務とは違う社内広報活動での取り組みを評価してもらったものです。企業文化を社内に浸透させようというプロジェクトメンバーの一人として、ときに意見を主張し共に試行錯誤しながらモノづくりを楽しみました。

やりたいことがなくても焦らずに。就活では視野を広く

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これから社会へ出ていく新卒の方に伝えたいのは「すぐにやりたいことを見つけなければならないと焦る必要はない」ということです。

同級生には優秀な人がたくさんいたので、在学中から大きなデザイン案件に携わっていたり、社会人になった後も海外で仕事をしていたりと、劣等感を感じることが多々ありました。

しかし、今となっては必ずしも周りと自分を比較する必要はなかったのかなと思います。

「こうしたら良いのではないか」、「こうしてみたい」という小さなことでも、ゆくゆくは自分のやりたいことにつながっていくと感じます。それらを積み上げていくことによって、やりたいことが見つかる人もいるので、焦る必要はないと思うのです。

就活では、視野を広く持つことも大切ですね。たとえば、ゲームの会社へ就職したらゲームに関する仕事しかできないと考える人もいます。しかし、ゲームの会社でもさまざまな部署があり、その中には知見を活かせる部署や、やりがいを感じられる部署があるかもしれません。働きながらキャリアについて再考するのも良いんじゃないでしょうか。

新卒で入ると、与えられた仕事をこなしていくという受け身になりがちだと思います。私の場合は「どうしていきたいのか」と意見を求めてくれる会社と出会えたのも幸運でした。

新卒時代も今も、意見をないがしろにされたことがありません。先輩方は「もっといいたいことを言っていいよ」と後押ししてくれる存在でした。

だからこそ、後輩やこれから入ってくる新入社員のみなさんには、自分がしてもらったように見守りながら、ときに背中を押してあげたいです。そして私自身も、自分のデザインの充実を日々見つめていきたいと思います。

株式会社ダーツライブ

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