より良く「変化」するきっかけを──広い世界へ飛び込む挑戦のJourney
株式会社グロービスのコーポレート・ソリューション部門で、人・組織の視点から企業の変革を支援している岡本 佳那子。 彼女のルーツは、幼少期の体験と、ダンストレーナーとして活躍した大学時代の経験にあります。 探究心を持って学び続けるようになった経緯とこれからのビジョンとは──【talentbookで読む】
幼少期に醸成された価値観──多様性を理解する大切さ
岡本 佳那子は、2020年1月から株式会社グロービス(以下、グロービス)で人材組織コンサルタントとして、クライアントの組織開発に携わっています。
2021年現在は、鉄鋼・建設・医療メーカー・飲料メーカーを中心とした経営リーダー育成が主な業務です。
岡本 「経営における組織課題をソフト面から変えていくことが私のミッションです。組織全体の変化を見ながら、社員である受講者一人ひとりがどのように変わっていったら良いかというところまで考え仕事をしています。
また、お客様だけでなく、私たち自身の組織やチームもより良くしていくために、組織作り会議というプロジェクトにも参加したり、エンゲージメント担当としてチームの声を聴く機会をつくるなど、定期的にメンバーと対話もしています」
主にやり取りするクライアントの人事担当者や研修の受講者、そして一緒に働く一人ひとりのメンバーが持つ、「より良く変わりたい」という想いを大切にしたいという岡本。そのために常に自問自答を繰り返していると語ります。
岡本 「人それぞれ、見えていることは違います。私自身、見ている範囲(視野)は限られているので、なるべく相手が何を見て、何を考えているのか、自分へ問いかけを繰り返しながら向き合うようにしています」
岡本がこう考えるようになったのは、幼少期のとある体験がきっかけでした。
自分が常識だと思っていたこととは全く違う──。
幼少期は小さな田舎で暮らし、一方で、旅行好きの両親の勧めで海外へ出かけることが多かった岡本。そこで感じたことが、今に続く価値観の礎となりました。
岡本 「海外に出てみると、自分が常識だと思っていたことが常識ではなかったんです。自分は小さなコミュニティに暮らしていて、世界にはこんなに広くさまざまな価値観があるんだ、と驚きましたね 」
とくに、小学校中学年で訪れた中国やヨーロッパ、アメリカでの経験は強く印象に残っていると振り返ります。
岡本「その国が持つ歴史的背景や、国の豊かさ、お店の閉店時間から食事時間といった習慣に至るまで、国によって生活や考え方が全く違うんですよね。そこから、相手のバックグラウンドや、その人がどういう視点で物事を捉えているのかを、深く考えるようになりました」
学生時代の原体験──働きかけることで人が変わる喜び
大学時代の経験も岡本の現在の仕事感に大きな影響を与えています。
岡本 「中学校までずっとテニスを続けていたのですが、病気が原因で高校ではダンスに転向したんです。テニスは一人競技なので、黙々と練習を続けていたのですが、ダンスも同じように上手くなりたくて、一人で練習を繰り返していました」
岡本はダンスにひたすら打ち込み、在学中トレーナーになるまでに実力を伸ばしました。そうした中で、ある気づきがあったと言います。
岡本「ダンスを極めて仕事にしたいという思いで打ち込んでいましたが、実はサークルでは人間関係がうまくいきませんでした。というのも、ダンスでは役割やメンバーとの関係性も大事なのに、私は一人で突き進んでしまっていたんです。そのことに、トレーナーになって初めて気が付きました」
ダンスをきっかけに、人との関わり方を考えるようになった岡本。その後トレーナーとしての経験が、岡本の価値観に更なる変化をもたらします。
岡本 「老人ホームでダンスを教えたり、ダウン症の子どもたちと一緒に踊った時間がとくに印象に残っています。お年寄りや子どもって、本当に素直なんです。こちらが思っていることは口に出さなくてもすぐに伝わってしまう。だからこそ、教える側、教えられる側ではなく対等に一緒により良く生きることの大切さを教わりました。
誰もがより良く生きたいと思っているからこそ、今一緒にいる時間を大切にすることで、一緒に変わることができるんです。自分が本気で向き合ったら、人の心は動きます」
自分の言葉や行動が、人を変えるきっかけになりえる。この経験こそが岡本の仕事における原動力になっています。
岡本 「ダウン症の子どもたちに限らずですが、みんな対等で、一人ひとり愛されるべき存在です。彼ら彼女らに真剣に向き合い、一緒に『今を生きる楽しさ』を創り上げた時間は、本当に良い経験で、私の宝物です」
自分自身の成長のために──グロービスではじまる新たな生き方
大学卒業後は、社会に出ることを決心した岡本。大手印刷会社に入社し、社会人としてのキャリアをスタートさせます。営業を経験後、企画・セールスプロモーションを担当しました。
岡本 「7年程在籍していて、営業職だったときの関係者は100人に及ぶと思います。また、その当時はプロジェクトの立ち上げ時期で、自ら各部門に働きかけて人を動かす難しさや面白さを感じていました。
その後の、企画での広告の仕事では、日本人全員をターゲットとして、”言葉”を通して人を動かすというインパクトの大きい経験をさせてもらいました。自分の意見を聞いてもらいやすい環境で、色々なチャレンジをさせてもらったことに感謝しています」
居心地良い環境で仕事に力を注いできた岡本ですが、立ち止まって自分自身を見つめ直したときに、自身の成長に限界を感じたと言います。
岡本「この環境でも成長は出来る。でも、より自身が社会にインパクトを与えられる仕事ができるようになるために、外を見て経営視点で物事を考えられるようになりたいと思ったんです。
そして、『より自分の可能性を広げるために、外に出て、広い世界を知ることも大事なのではないか』という思いが強くなり、転職を決意しました」
そんな中で出会ったグロービスの印象を、「人を大切にしたいという自分の価値観と近かった」と振り返ります。
岡本 「面接では価値観を知る質問が多くありました。たとえば『前職で一番育ててくれた人は誰ですか』という質問では、クライアントや職場の上司、仲間とのエピソードを伝えたのですが、面接の最中に思わず涙ぐんでしまったほど、真剣に聞いてもらえました」
こういった面接を通して、能力だけでなく「人」をしっかり見てくれる会社という印象を受け、岡本はグロービスに入社しました。
岡本 「人の成長と変化に関わる仕事は、ダンストレーナーの経験ともつながっています。人を大切にする価値観の中で、同じ方向性で仕事をしたい。同時に自分の可能性を広げていきたい。そんな思いから、勇気を持って新しい組織・人材コンサルタントの世界に飛び込むことにしたんです」
あえて心地よい環境から、未経験の業界にチャレンジした岡本。慣れないことに難しさを感じながらも、前職との共通点も見出しながら、これまでの経験を活かしています。
岡本 「マーケティングでも人材育成でも、ターゲットがどういう人なのか、どこをゴールに設定し、そのためにどんなステップを踏んでもらうかと考えることが大切で、そのプロセスは前職の経験を活かせていると思います。
人材育成の場合、『学びたい』という欲求を刺激しつつ、スキル向上につなげなければなりません。二重の意味で難しい部分はありますが、その分やりがいを感じています」
一般消費者をターゲットにしたマーケティングと、企業に所属する社員をターゲットとした人材育成の大きな違いは、対象者が“想い”を持っていることだと岡本は言います。
岡本「私個人としての見解もありますが、企業の社員の皆さんは、様々な期待はありつつも、最終的には、毎日イキイキと働くことを願っているのではないでしょうか。会社というコミュニティに属しているということは、幾分かそのコミュニティを愛している部分もあると思うんです。
ですが、戦略に矛盾を感じたり、自分がしっかり評価されていないと感じることで、コンフリクトが生じることもあります。私の役割は、講師の方と一緒に、戦略と組織、企業と個人の溝を埋めていくことなんだと思っています」
より良い変化のきっかけを──共に学び続け、自分と組織をアップデートする
岡本にとって一番嬉しいのは、「この研修を受けて変わった」「チャンスをつかめた」という言葉を聞けたとき。それは、その人のキャリアや人生をより良くするきっかけになれたと感じる瞬間です。
入社当初はグロービスの提供価値が点でしか見えず、岡本の目には、“教える人”と“教えられる人”の対立構造があるように映りました。人と人が対等であることを大切にする岡本は、教育ビジネスそのものに懐疑的だったと振り返っています。
しかし、実際に受講者である社員の方々と話をする機会を経てから、グロービスの育成は、ただ教えられる受動的なものではないことに気づいたのです。
岡本 「先輩が声をかけてくれて、受講者の方がいる飲み会に参加させてもらいました。そこで、受講者の方からこんな言葉をいただきました。
『研修の仲間は戦友でもありライバルで、行動のドライブになる』『あいつもやってるな、自分もやらなきゃとなる』『明日研修が終わるのが寂しい』『後は行動するだけ』。
自分がやっていることの意味を肌で感じ、とても感動しました」
岡本が携わっているのは、企業が描く戦略と、現場の組織や人のあいだを繋ぐこと。自身の仕事について、「教育」ではなく「変わるための機会を提供すること」だと捉えています。
岡本 「人は変わることが出来ます。でも、変わるためには自身が変わりたいと思うことが必要だと思っています。だからこそ、『変われるかもしれない』や『変わりたい』というきっかけをまず提供することを大切にしています。そして受講者の方にはそのチャンスを是非つかんでほしいと考えています」
岡本自身も学びながら変化する中で、これからのビジョンをこのように描いています。
岡本 「自身の成長は勿論のこと、経営視点でどれだけ社会にインパクトを与えられる仕事かを考え入社しています。人材育成は経営マターです。人を動かしていく経営者やリーダーが変われば、会社や社会は変わります。また戦略も変われば、人・組織も変わらないといけません。
今は点でのプロジェクトが多いですが、いつか組織全体を変革していくというプロジェクトで成果を出せたら良いな、と思っています」
そのために必要なのは、新しいことを学び続けること。
岡本 「単に学ぶだけではなく、実践し自分の中で定着させるという流れが活躍につながっていくのではないでしょうか。お客様も変わっていくので、常に自分をアップデートし続けることが大切だと思います」
情熱や思いの向くままに努力を重ね、動きながら新しい道を創ってきた岡本のJourney。
今を生きる楽しみを、周りの人と一緒に創ることを大事にする岡本の価値観は、より良く生きるきっかけを提供する仕事に直結しているのです。
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