“未経験”が最大の強み──逆境も失敗も糧にする私のIT業界の歩き方
プログラミング未経験でアイシン・インフォテックス株式会社に入社した河西 瞳美。1年に及ぶ研修期間を経て、2022年2月現在は原価管理システム開発要員として、設計を担当するまでに成長しました。持ち前の芯の強さと好奇心を武器に努力を重ねてきた彼女が、入社してからこれまでを振り返ります。【talentbookで読む】
チームの一員としての役割に徹することが、やりがいにつながる
2020年4月に入社し、DX1部のソリューション2グループに所属する河西 瞳美。現在は部品などの原価を計算するシステムの開発や維持を主に担当しています。
河西 「DX1部は、会計や人事といった領域、いわゆるバックオフィスに所属する人たちが使用するようなシステムを取り扱っています。私がいるのは、会計の中でも原価に特化した部署。お客様から『こういう機能を加えたい』『こういう不具合があるので直してほしい』といった依頼を受けて、設計書を起こしたり修正したりしています。新しいものを一から作るというよりは、今あるものを使いやすくアップデートするのが主な仕事ですね」
入社3年目を迎え、担当する業務の領域も徐々に広がってきたと頬を緩めます。
河西 「設計を担当するようになってから、お客様の対応を任される機会も増えてきました。同じ部署の先輩たちに比べるとまだまだできることは少ないですが、年次に応じた経験を積ませてもらっていると感じています」
最近になってチームの一員として役に立っていることを実感できていると話す河西。そのことがやりがいにつながってもいるといいます。
河西 「できる仕事が増えたことで、最近は先輩に代わって作業を担当することも。自分のキャパシティやこなせる業務の幅が広がれば、それだけ先輩がほかの作業に割ける時間が増え、結果的に顧客の課題解決につながります。当社のようなユーザ系システム企業の場合、お客様とのそうしたやりとりを間近で見られることが、やりがいにもなっていますね」
IT未経験からの挑戦──充実した教育体制に惹かれ、AIXへの門戸を叩く
IT機能専門会社としてアイシン・グループのものづくりを支えるアイシン・インフォテックス株式会社ですが、IT未経験者が採用されるケースが少なくありません。実は、河西もそんな畑違いの業界に挑戦したひとり。
河西 「大学では農学部に在籍し、食品、特にヨーグルトの研究をしていました。食べ物が体にどう影響するかに興味があって、ヨーグルトの保存期間を延長する粉末化の技術や、おいしさを損なうことなく元の状態に戻す方法などを考察していました」
大学では研究に没頭する一方、学生時代を通じてスポーツにも力を注いできたという河西。アクシデントがきっかけで水泳を続けられなくなったことが転機になったといいます。
河西 「大きなケガをしてしまって、選手からマネージャーに転向したんです。ケガの直後は選手を続けたい気持ちが強く、やり残したことを悔やむ思いもあったんですが、選手を支援することに徐々に意義を感じるようになって……。担当する領域が違うだけで、できることはたくさんあると思えるようになっていったんです」
そんな河西がIT業界に関心を持つようになったのは、アルバイト中のある出来事がきっかけでした。
河西 「当時働いていたお店では、勤怠管理を紙ベースでやっていて。月末になると社員の人が手作業で集計するんですが、毎度、打刻情報の集計や残業時間の計算に時間を取られていました。それがあるときデジタル化され、タブレットで管理するようになった途端、リアルタイムで勤怠情報が確認できるようになり、月末の集計工数が大幅に削減されたんです。
電子化やITの技術があれば、作業を驚くほど効率化できることを知り、非常に興味深い分野だなと感じました」
その後、友人に誘われてIT業界による合同説明会に参加した河西は、本格的にIT業界を目指すようになります。
河西 「就活を始めたころは、いろいろな業界に目を向けていたんです。なかなか興味が持てる業種・職種がない中、合同説明会でSEやプログラマーといった職種の存在を知り、ようやく自分がやりたい仕事に出会えたと感じました」
企業研究を進めるうちに、IT業界の中でもアイシン・インフォテックスが河西の目に留まります。手厚い教育体制が整っていることが理由でした。
河西 「1年間という長く充実した研修期間があることが魅力でしたね。ここなら入社後に必要な知識やスキルが身につけられ、未経験でも努力次第で活躍することができると思ったんです。IT技術が役立つと身をもって感じた勤怠管理や、人事、会計といった基幹系のシステムに携わりたいという気持ちがありました」
自分の未熟さを受け入れ、できることをひとつずつ
未経験でIT業界に飛び込んだ河西。入社後は人一倍努力したといいます。
河西 「ほかの内定者と会う機会があったんですが、情報系の学部出身者がたまたま多い年だったこともあり、不安は大きかったですね。実際、研修が始まったころは全然ついていけなくて、講師の方や同期に助けてもらう日々が続きました。
当時心がけていたのは、焦らずにできることをひとつずつ増やしていくこと。みんなよりもできないことが多いかもしれないけれど、『昨日できなかったことが今日はできる』と自分を信じ、着実にステップアップしていることを実感するようにしていました」
入社して半年、研修の場が現場に移ってからも河西の奮闘は続きますが、先輩社員に助けられる場面が多かったと振り返ります。
河西 「現場研修では、実際にプログラムを書くだけでなく、業務全般について学ぶんですが、先輩たちが親身になって話を聞いてくれて……話しやすい方が多く、人間関係に恵まれていたと思います。おかげで研修を終えるころには、仕事の流れがきちんとつかめるようになっていました」
そんな河西にとって、ある失敗の経験が今も記憶に残っています。
河西 「自分の失敗が原因でシステムが異常終了してしまったことがあって。慣れてきたことで、作業が雑になっていたところがあったと反省しています。それ以来、細部まできちんとチェックしたりダブルチェックを徹底したりしています。基本的な業務のプロセスを見直す良いきっかけになりました。
正常終了させる手順や、関係各所への連絡フロー、再発防止策の策定など……ひと通り経験できたことも、その後の役に立っています」
研修期間中は上司や先輩社員に頼ることが多かったという河西。失敗したことを機に、責任感を持って仕事ができるようになったと話します。
河西 「それまでは、わからないことがあったらすぐ先輩に聞いたり確認してもらったりすることが多かったんですが、最初から最後まで、ひとりでやりきるようになりました。研修期間が終わってお客様と関わる機会が増えたことで社会人としての自覚も芽生え、自分の担当する業務に責任を持って取り組めるようになったと思います」
好奇心と成長を後押しする環境を味方につけ、今もこれからも、前だけを見て
入社以来、不安を抱えながらもポジティブな姿勢を貫いてきた河西が、とくに大切にしてきたことのひとつが、“好奇心”でした。
河西 「『できるかどうか』ではなく、『やってみたい』という気持ちを大事にしてきました。『どうしてだろう』『これはどうなっているんだろう』という素朴な疑問が、システム開発には必要だと考えていて。好奇心を持って取り組んできたことが良い具合に作用したと思っています」
また、ITに関する知識やスキルがない中ここまでやってこられたのは、成長を後押しする環境に身を置けたからこそだと強調します。
河西 「ここまでやってこられたのは、未経験の私でも成長させてくれる機会を与えられたからだと思っています。今もさまざまなシステムの開発に参加し、勉強させてもらう毎日です」
持ち前の芯の強さを発揮しながら、着実に前進し続けてきた河西。今、自分がこれから進むべき道がクリアになりつつあるといいます。
河西 「お客様から質問されて即座に正しい答えを返せないことがあるんです。スムーズなコミュニケーションを実現するためには、よりいっそう業務への理解を深める必要があると思っていて。年に数回開催されるお客様主催の研修に参加するなど、業務の流れや会計に関する実践的な知識の習得に努めています。
いずれは、お客様の要望を聞き出せるようになったり、現行システムの状況から最適な再構築の方法を判断できるようになったりしたいですね」
未経験ながら、関心がおもむくままIT業界に身を投じた河西。日々の業務に愚直に向き合い成長を続ける彼女の物語は、まだ始まったばかりです。