知識ゼロからの入社。大手企業と渡り合い成長する女性初営業職のモチベーションの根源 | キャリコネニュース - Page 2
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知識ゼロからの入社。大手企業と渡り合い成長する女性初営業職のモチベーションの根源

よく笑い、よくしゃべり、よく飲む。明るくオープンな性格で、社内・社外問わず多くの人を惹きつける丹下 千穂は、前職とは全くの異業種であるアイベステクノで、女性初の営業職として活躍しています。知識ゼロの状態から、大手企業相手に製品を売り込むまでの苦難と成長の道のりに迫ります。【talentbookで読む】

和やかさも魅力のチームで、オーダーメイドで受注する責務を果たしていく

兵庫県姫路市に本社を構える制御盤メーカーであるアイベステクノは、2008年に神戸事業所を開設。丹下は2017年10月に中途採用で当社へと入社し、神戸事業所勤務となりました。5年目となる2022年9月現在の仕事や職場をこのように語ります。

丹下 「神戸事業所は、JR神戸駅から徒歩3分の好立地にあり、盤設計やソフトプログラミングに従事する男性14名と、CADオペレーターの女性3名、営業職である私の計18名の職場です。設計やプログラミングというと、静まり返った雰囲気を想像されがちですが、明るく賑やかで、笑い声が響くこともある楽しい職場です。

おもな仕事は営業活動と、受注に至るまでの見積り業務です。当社の営業スタイルはルート営業に近く、顧客から見積り依頼をいただき、正確かつ迅速に回答することが受注への第一歩。オーダーメイドで設計する製品がほとんどであるため、顧客からの資料を熟読したうえで見積り業務に取り掛かります。

また、こちらからお客様に対して、より良い施策やシステムを提案する技術営業も目指しているので、日々知識を習得することが欠かせません。厳しい個人ノルマはありませんが、事業所としての年間目標金額が設定されているため、受注や売上達成を目標にベストを尽くしています」

営業職である以上は受注が最優先ですが、お客様に喜んでいただけるよう、より一歩踏み込んだ営業を丹下は心がけています。

上辺だけでごまかさない。持ち前の度胸と実直さで学び取ってきた5年間

前職は、会社経営者や大企業の支部のトップたちが集う会を主催する団体に勤務していた丹下。そのときの経験や人脈が、現職に大きな影響を与えているといいます。

丹下 「前職の上司からも、『君は営業に向いている。どこに行ってもしっかりやれるよ』とことあるごとに営業職をすすめられていました。確かに私は初対面の方と話すことは全く苦にならないタイプです。そうして営業職を視野に入れはじめたときに出会ったのが、アイベステクノ代表取締役の梅田でした。

前職とは全く畑違いの業界で知識もゼロ、営業職の経験もゼロだったので不安もありましたが、梅田曰く、未経験者も多いので気にしなくて大丈夫、とあっけらかんとした答えでした。私も深く考えない性格なので、『そんなものか~』とほぼ気負うことなく入社を決めることができました(笑)」

しかし、やはり入社後は未知の業界や、飛び交う専門用語に苦戦しました。

丹下 「先輩社員と客先との打合せに同行する予定が、急遽私一人で参加することになったんです。打合せ中、内容を必死にメモしたのですが、帰社後に読み返しても自分が書いた言葉が理解できず、議事録も満足に作成できませんでした。その時は焦りや不安もありましたね」

顧客からの見積り依頼にも、頭を抱えることがありました。

丹下 「電気関係の図面なんて、今までに一度も見たことがなかったんです。しかし、見積をする上では図面や仕様書などの資料が必須で、それに記載されている部品の記号や、筐体・配線に関する情報などを読み解き、価格を積み上げていくのです。資料内の情報を見落としたり誤解してしまうと、最終的に提示する見積り価格に大きく影響します。それが原因で受注機会を逃すこともありますし、受注後に利益を低減させる原因にもなりますので、重責を感じることもありました」

ところが、ここでも丹下の前向きで負けず嫌いな性格が奏功します。

丹下 「分からないことに焦ったり下を向くよりは、今の私にできることをしようと考えました。それは、雑談で相手の人となりをつかむこと。分からないことを知ったかぶりして上辺で話をしていても仕方ないし、分からないことを率直に質問できる関係性を築いていくことが大切だと思ったんです。

そして、迅速に対応することも常に心がけています。自分自身が電気的な内容に入りこむことはまだできませんが、できることを『すぐやる、必ずやる、できるまでやる』を実践していれば、顧客の信頼を得ることにつながると思います。

また、見積りに関しても、同じフロアのメンバーに助けてもらいました。オフィスで周りを見渡せば、常に設計者やCADオペレータなどその道のプロがいて、質問すれば丁寧に教えてもらえる環境でした。これは小さいオフィスならではのメリットだと思いました」

先輩社員のノウハウをまねたり、自分なりの接し方も交え、営業職としてのスキルを磨いていった丹下。通常は新人営業マンが担当するには重責すぎる大手顧客も、丹下は担当することになりました。

丹下「大手企業だからといって、特に緊張したり戸惑うことはなかったです。前職で接してきた中にも大手企業の方が多くいらっしゃいましたし、仕事を進めるうえでは、大手企業のシステマティックなやり方や、正確で詳細な情報提供をありがたく思うこともあります」

自身の前向きな性格と行動力、そして前職での経験を活かした丹下は、徐々に営業職を楽しめるようになりました。

仕事を取るだけが営業じゃない。成長を得たと感じるふたつの出来事

自身が担当した中で、特に印象深い案件がふたつあるという丹下。

丹下 「ひとつは、見積額を大きく下回る価格で受注した案件です。当社の製品価格は、部品や筐体などの『購入費』と、盤の設計やプログラミング、配線、製品検査などの『人件費』の合算で見積り金額を提示したのち、顧客との協議で最終決定します。

特に『人権費』は、通常より効率化を強化し、徹底的にムダを省けば、ある程度削減可能な費用でもあるので、上司とも相談のうえ、見積額を下回る価格で受注を決定しました。大赤字になったらどうしようと、内心ではヒヤヒヤしていましたが(苦笑)。

人件費の部分で私が対処できることは少ないのですが、購入費は私が行動すれば多少低減できるのではないかと考えました。通常、購入に関することは全て購買担当者に任せるのですが、この案件は自ら仕入先に対して粘り強く価格交渉し、安く購入することができました。

また、設計者とも緊密に連絡を取り、効率重視の作業を意識づけたり、顧客への追加費用を算出するなど一丸となって取り組んだ結果、赤字どころか利益を残すことに成功したのです」

自らの行動と、社内の連携でピンチを脱した案件がある一方で、大変苦い想いをした案件もありました。

丹下 「私の見積りのミスで、大赤字を出してしまった案件もあります。見積りは通常、顧客からの資料の中でも、特にどんな部品をいくつ使うかに注目しがちなのですが、その部品と部品をつなぐ電線などの配線材料も、お金に関わる重要なポイントとなります。ところが、配線材料に関しては資料に明示されていない場合が多く、当社のようなメーカー側で勘案しなければなりません。

しかし、私の知識や経験不足により、配線材料を非常に安い価格で計算してしまったんです。その案件を受注し、製作した末の最終原価は、目も当てられないほどの大赤字になってしまいました。完全に私のミスでしたね」

この一件は、会社全体の問題として大きく取り上げられることになりました。しかし、それは丹下の責を問うためでなく、今後同様のミスを繰り返さないため、さらには他の社員に対する注意喚起のためでもありました。

丹下 「大失敗でしたが、単なる失敗で終わらせず、今後に活かすきっかけにもなりました。上司にも『高い勉強代だったな』といわれましたが、本当にその通りで、同じミスは繰り返さないことはもちろん、どんな仕事にも気を引き締めて取り組もうと誓いました」

仕事を取るだけが営業じゃない。取ってからどう動くかが重要だ、と丹下は身をもって経験しました。

今後への視野が広がった、顧客とともにタイへ渡航した経験

2022年8月、丹下は顧客とともにタイへ渡航しました。アイベステクノの子会社である『アイベス・アジア・タイランド』やその協力会社の視察と、顧客への紹介が目的でした。

丹下 「営業として口頭でタイの子会社の紹介はするものの、実態はほとんど理解できておらず、軽い説明にとどまっていました。また、正直にいうと、東南アジアでのものづくりは、品質面で大丈夫だろうかという、先入観による懸念も抱いていました。

しかし、実際に視察すると、日本と同等レベルの管理体制の下で進められており、品質にも何ら問題ないことを実感しました。顧客の方々からも高い評価を頂き、今後の受注に向けた視野がグンと広がる体験でした。自分の目で見て知ることが、大きな力になりましたし、実際に受注して、再度タイへ渡航したいと思いました」

チャレンジしたいことに対してはどんどん後押ししてくれる社風の中で、丹下のモチベーションもまだまだ上がっています。

丹下 「営業として、いつかトップを取りたいです。また、アイベステクノには女性営業職は私1人だけですが、今後女性営業職が増えたときのために道筋をつくることも大切な役割だと感じています」

強く、しなやかに。時にアップダウンも経験しながらも、丹下はまだ見ぬ世界へと着実に歩みを進めていきます。

アイベステクノ株式会社

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