ライブエンジニアの働き方FAQ──現場の様子をお伝えします | キャリコネニュース
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ライブエンジニアの働き方FAQ──現場の様子をお伝えします

前編(年間2,600件のライブ配信を支えるライブエンジニアの醍醐味)では、3人のエンジニアに登場してもらいライブエンジニアの業務内容、魅力について語りました。後編では、よく質問いただく「ライブエンジニアの働き方」について、3人が一問一答いたします。【talentbookで読む】

Q1.ライブ現場対応に関する1カ月の稼働はどのくらいですか?

池田:株主総会や学会シーズンや年末などの繁忙期と通常期はありますが、一人あたりの現場対応は通常期で月10回くらい、繁忙期で月12回です。

現場判断でなく、組織として社員の稼働数を決め、パートナー企業の協力体制含めた業務コントロールを行っています。正直、以前は1週間出ずっぱりということもありましたが、今はなくなってきましたね。

Q2.現場は何名くらいの体制で動くのでしょうか?

K.N. :案件全体でいうと、まず最少で、ライブエンジニアが1名とライブディレクター1名の計2名体制です。案件により営業担当や顧客対応担当が同行することもあります。

医薬業界系での一般的なWeb講演会ですと、ライブエンジニアは1、2名で対応することが多いです。映像のスイッチングと音声のミキサー調整、ライブエンコーダーの監視などを一人で設定・設営します。ここは、役割分担が明確な映像制作業界とは大きく違うところですね。

大規模なもの、複雑な構成になるものは増員します。たとえば、複数会場で出演者が大勢いたりとか、あとは会場以外の場所から出演者がいてオペレーションを遠隔操作したりするようなケースです。この場合は、現地の映像伝送、遠隔の会場操作、音声管理などで必要な箇所に専任エンジニアがつくことになります。

Q3.一人でのエンジニアリング業務は、正直、荷が重くありませんか?

細川: 一人で何役もこなすのは、責任も重大ですし、緊張しますので楽なことではありません。でも組織だけでなく、個人にとってもメリットは大きいんですよ。一人ひとりがオールラウンドに成長するからこそ、逆に案件全体を理解しながら各工程のつながりを考えて確実に進めることができます。

そして、「この案件一人じゃ無理だな」という判断も各自で的確にできます。その場合は、組織全体で再考します。それにより組織全体でのスピード感もあげることができます。

Q4.案件があるときは、終日現場対応に集中するのでしょうか?

池田:案件次第です。近郊の案件であれば、フレックス勤務で時間調整をしつつ午前中の業務をこなし、夕方ぐらいに現場に入りライブ対応を行い、20時か21時には撤収して帰宅。医薬業界系の講演会ですと、基本的に18時や19時くらいからのスタートが多いです。それ以降の遅い開始であればシフト出社みたいなこともあります。

遠方になると、移動が入りますので一日がかりになりますね。朝、飛行機に乗って、夜ライブ対応が終わりホテル宿泊し、翌朝戻るというのが基本的なスケジュールです。コロナ禍での現場対応では、感染対策としてタクシー移動が推奨されていました。

月にもよりますが、出張はコンスタントにありますね。国内だけでなく海外出張もあります。各地のパートナー会社さんとも連携しながら、遠方の案件対応も効率的にできるような動きを進めています。

Q5.マニュアルやナレッジ共有はどの程度されていますか?

K.N. :ライブ現場の基本的な仕様やサーバ設定などはマニュアル化し、OJTで確実に習得していきます。たとえば、基本の機材構成や、冗長化の仕組みなどです。エンコーダーやサーバは必ず冗長化をしていて、メインが落ちてもバックアップを継続するので、視聴者側には瞬断することなくライブ映像を届けられるようにしています。

全案件に共通するような大きなルールは即座に変わるものではありませんが、現場での情報共有はたえず行われています。個人レベルで共有していたものが、その後公式マニュアルに反映されることも多々あります。現場でのヒヤリハットと対処法、現場のチェックシートなども、随時手を加えています。

本部全体には、ライブエンジニアをはじめ多様なエンジニアが所属しており勉強会も活発です。幅広い職種の専門家がいますので、学びのテーマもさまざまです。周知や参加はもちろん、講師への立候補も含め職種の垣根はありません。その他、自己研鑽や資格取得への補助制度や交流型のビジネススキル勉強会などもあります。

Q6.普段のコミュニケーションはどのような感じですか?

細川:まず、業務関連でのコミュニケーションですが、テレワークの導入でWebでの会議やコミュニケーションが進み、スピード感は上がっていると思います。毎週ある部会は、今は完全オンラインです。そのため、移動しながら「聞く専門」で情報のキャッチアップすることも多いです。出社メンバーともTeamsなどでやりとりして、移動先など外からでも問題なく進められています。

雑談を含めたコミュニケーションについては、結構活発だと思います。ライブエンジニアだけで集まって機材構成についてディスカッションしたり、ノウハウを共有したりすることは多いですね。私自身も、新規性のある案件レポートや、見積もりや図面などをTeamsなどで共有していますね。

コロナ禍前は、ライブ機材倉庫がコミュニケーション広場みたいなものでした。大阪勤務の私も東京出張の際は本社の倉庫に入って、倉庫メンバーと「元気?」「新しい機材入ったの? もう触った?」みたいな話をよくしていました。その他にも本部全体での懇親会などもあり、最近はオンライン開催も取り入れています。

Q7.社内の雰囲気はどうですか?

細川 :本部全体の雰囲気としては、教えたがりでコミュニケーション好きな人が多いですね。

私が入社した時に、同じ部署にネットのスペシャリストがいまして、質問したら山ほど回答が出てくるのですが、当時の自分には内容の八割方わからなくて……。

でも根ほり葉ほり聞くと、その人は言葉を何度も変換して丁寧に教えてくれ、私の疑問が解消するまで徹底的に付き合ってくれました。同じようなマインドを持つ人は多いと思います。

その同僚は、今は部門が違いますが、最近では「J-Cloud」という自社の共通開発基盤の構築にも関わっています。当時とても助けられた記憶があります。

Q8.入社してからライブエンジニアになるまでのフローを教えてください。

池田:新卒入社ですと、まず1、2年目は現場のオペレーションを一人できることを目指します。具体的には、機材の準備から始まり、メンテナンス、機材組み上げなどをOJTで経験していきます。内容により社内で行うOJTもあれば、メンターと一緒に現場へ赴き行うものもあります。6月に本配属後、10月にはライブエンジニアとして一本立ちです。

知識だけでは現場は乗り切れませんので、最初の1カ月はみっちりOJTです。私は新卒入社してライブエンジニアを担当しましたが、特に最初は大変でした。週の半分くらいは現場に出て、機材のことなどを実務面から覚えていきました。

3、4年目になると、先輩から引き継いだ案件や定例案件などを中心に自身の担当案件を持つようになります。仕様に関する打ち合わせや会場の下見も一人で行います。

5年目以降からは、新規案件を一から要件定義するところから担当します。そのほかにも、新しい機材やシステムの導入や検証なども手掛けます。

中途入社の場合は、必ずしも上記の通りとは限りません。前職までの経験やスキルを最大限生かせるように、担当業務や実施体制を適宜相談しながら進めていきます。私やK.N.さんも動画配信については未経験の新卒入社でした。毎年新入社員も配属され、随時中途社員も加わっていますので、すぐになじんで業務のスタートを切ることができると思いますよ。

現在、ライブエンジニア、ディレクター、プロデュースなどのライブ現場を担当する社員は新卒・中途含め約30名で、女性も活躍しています。

──今回は、前後編の2回にわたりライブエンジニアについてご紹介しました。

珍しい職種の一つだと思いますが、ライブエンジニアの魅力とやりがい、そして未来を作るために動き出している楽しさを少しでも感じていただけたらうれしく思います。

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