ヘッジファンドから人材業界へ ──人が大好きを原点に、メンバーの成長を促す女性リーダー | キャリコネニュース
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ヘッジファンドから人材業界へ ──人が大好きを原点に、メンバーの成長を促す女性リーダー

高校までを韓国・蔚山で過ごし、米国の大学で会計学を修めた辛 周映。NYで公認会計士の資格を取得してヘッジファンドなどに勤務した後、金融業界でキャリアを積んだ辛は、駐在員として来日後、人と関わる仕事を求めてランスタッドに転職。人を成長させて文化を醸成し、ともに組織を発展させるチームをつくっています。【talentbookで読む】

画面で数字を追う仕事から、人との関わりを求めて

アメリカの大学で会計学の修士課程を卒業、ニューヨークで公認会計士の資格を取得した辛は、デロイトで外部監査役として働き、主に金融関係のクライアントを担当。その後はヘッジファンドに移り、駐在員として日本に移り住みました。

辛 「以前は画面で数字だけを見ていることが多く、人とあまり話さない仕事でした。“ヒューマン”の部分がなかったんです。もともと人のことがとても好きなので、業界を変えてみようと思い、ランスタッドに相談しました」

転職活動を始めた当初はランスタッドの人材紹介サービスに登録していましたが、コンサルタントとの面談で思わぬ誘いを受けます。それは、ランスタッド経理管理部門へのマネージャーとしてのスカウトでした。

辛 「人材サービス業界は未経験でしたが、考えてみたら経済を動かしているのは人だということに気づいたんです。どの業界が成長し、採用が増えているか、そのような情報が、人材サービス会社なら経済に影響する前からわかり、会社から経済への流れがマクロとミクロで全部見えるようになる。そう思うとすごく興味が湧き、おもしろいと感じたんです」

面接で出会ったランスタッドの人たちと一緒に働きたいと思ったことも入社の決め手となりました。人柄の良い人が多いという印象で、このような人々が働くランスタッドなら、日本でのシェアを伸ばしていくことは間違いないと確信したと辛は言います。

こうしてランスタッドに入社した辛。以前は企業の財務諸表や事業内容ばかりを見ていましたが、今は「この会社には誰がいて、どの部署で何をやっているのか」を含め企業を見るようになりました。

辛 「もちろん数字は見なければいけませんが、それは事実の一面に過ぎません。実際に会社を運営しているのは人。ヒューマンの部分を考えるようになり、今では数字プラス“human forward”、人材の将来性の部分まで一緒に見えるようになりました。視野がすごく広がり、とても楽しいです」

女性管理職を増やし、グラスシーリングをなくしたい

▲赤坂オフィスの経営管理部のチームが集まり、クリスマスランチパーティでWhite Elephant(プレゼント交換)を開催したときの写真(2022年12月)

辛がマネジメントする経理部門には、多彩な国籍の社員が働いています。日本、韓国、オランダ、アメリカ、オーストラリア、フランス、ポーランド、台湾とジャマイカからのインターンもいます。

辛 「日本企業のバックオフィスで外国人が多いのは珍しいと思います。経営管理部は戦略も立案します。『オランダはこう考え、アメリカはこの考え、韓国はちょっと文化が違うからこの形』など、いろいろな角度で物事を捉えます。既成概念に捉われないので、戦略部門や幅広いアイデアが必要な部署には多国籍メンバーの登用ががおすすめです」

そんな多様なメンバーと働いている辛は、女性のキャリアについて課題を感じています。女性管理職が圧倒的に少ない日本やアジアの現状。アメリカで働いていたときですら感じていた、性別や国籍などにより正当な評価がされない「グラスシーリング」を、日本に来てからより鮮明に感じるようになったのです。

辛 「最近ある大学で人材業界の説明会があり、多くの学生たちと話しました。すごく優秀で将来性のある女子学生たちなのに、あまりキャリアに関心がない。『私はマネージャーになれないと思う』と話していて、本当に驚いたし悲しかったです」

キャリア教育は社会人になってからでは遅い。学生時代からキャリアについて考え、大学を卒業しても自分のキャリアや人生のために学びを継続してほしい。辛はそんなメッセージを伝えていく機会を、これからもつくっていきたいと考えています。

辛 「アジアではキャリアウーマンにまだあまり良いイメージがないのかもしれません。でも学生時代から性別関係なく、自分のキャリアを探して自分の人生を生きられるように、ということを伝えています。人材業界ならそれができるし、ランスタッドはそれができる会社です。今後ランスタッドでも、女性管理職を今以上に増やしていこうと考えているところです」

メンバーの成長を促し、見守る「お母さん」のような存在に

女性がもっと活躍できる社会を思い描く辛は、自身のマネジメントスタイルを「お母さん」と表現します。自分の子どもがさまざまな経験をしながら、自分よりも大きく成長していくことを願う親を目指していると言う辛。チームのメンバーたちが自分よりも成長し、ステップアップしていく過程を手伝いたいという想いを抱いています。

辛 「自分の子どもが間違っている部分があれば、その部分を指摘しきちんと説明するのも成長するための教育ですよね。そういう部分も含めて、私はお母さんみたいなマネージャーかなと思います(笑)」

そんな辛のチームはフラットで対等な関係を築いています。役職に関係なく、アイデアがあればインターンでもマネージャーでも、同じ一つの意見として発信することを求めています。たとえインターンでも、上司からその上司へと報告を上げるのではなく、CFOに話があるときには、本人から直接伝えるようにしています。

そしてマネージャーになりたいという希望があれば、積極的にその機会つくり、「管理する」という経験を積めるよう、2~3人程度の小規模なチームを次々と増やしています。

辛 「役職者が転職や昇進をしないと下の人が昇進できないという構図がアジアではよくあります。それで、能力や希望があっても長年同じポジションから動けなということも少なくありません。離職率も上がるので、できれば社内でマネージャーを育てたいと思っています。一度小さなチームを管理してみれば、自分はマネジメントが好きなのかプレイヤーが好きなのか、まずはそれが判断できます」

他部署との交流も活性化させ、チームワークと企業文化を醸成しています。業務とは関係ない言語交換プログラムなどで接点を増やし、相互理解を深めています。

辛 「言語交換プログラムは人事と行いましたが、すごく楽しかったので他の部署にも広げたいですね。そこで他部署の方たちにも会いたいし、英語力向上のための機会も用意したいです。私はランスタッドに入社するまで日本語がしゃべれませんでした。たくさんの優しい人たちにたくさんの機会を与えてもらったので、今度は私が恩を返したいと思っています」

仕事は生活するためのツールではなく、人生の一部

辛が目指すのは、他部署と一丸となって大きな発展を目指していく組織。本当にビジネスを成長させたいのであれば、一つの部署だけでなく会社全体が優れている必要があると指摘します。共同で取り組むプロジェクトなどを数多く重ね、その成果も感じています。

辛 「他の部署との結束が強くなったと思います。とくに人事とは多くのプロジェクトに取り組んでいるので、私たちも人事のことを理解できて、人事もファイナンス業務を理解できている。ともにランスタッドのために成長していると感じます。

学校や研修でスキルはアップできても、チームワークがなければうまく機能しません。これまでの経験から、スキルよりもそれぞれの『協力したい』という気持ちが大事だと考えています」

メンバーが発揮する一人ひとりのスキルにチームワークが加わることで、ハイパフォーミングチームへと進化していけるのです。

辛 「他のチームメンバーと活動することで、お互いの距離を縮めたり、社内に知り合いが増えたりします。先日はランスタッドの仲間とサバイバルゲームのイベントに参加しました。会社のチャリティーイベントも行っています。今後はオンラインゲームで、たとえば地方の支店チームと経営管理部チームで対戦してみたいですね」

経営管理部の部長として数字を追い求めるのではなく、文化をつくろうとする辛。かつて身を置いていた金融業界にいたころとは、見える世界が違っていると言います。

辛 「『このマインドセットなら、将来は成長する可能性が高い』という支店がいくつもあります。これは数字だけ見ていては見えなかった部分です。文化が数字をつくっていくし、マインドセットがないと数字もつくれない。だから私は文化をつくっていきたいですね。みなさんと交流してチームとして強くなってくことで、数字がついてくると思います」

かつて、辛は仕事を“生活するためのツール”と認識していました。しかし今、仕事は人生の一部になったと言います。

辛 「自分のキャリアと人生は一つにできる。ランスタッドの皆さんが、それを私に教えてくれました」

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