自問自答を繰り返した6年間──少しずつ見えてきた広報としての働き方 | キャリコネニュース
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自問自答を繰り返した6年間──少しずつ見えてきた広報としての働き方

▲ お世話になった教授との卒業式での一枚

2017年に新卒で独立系SIerである株式会社ジェーエムエーシステムズ(以下、JMAS)に広報担当として入社した遠藤 文美。入社当時、JMASには広報という組織はなく、自ら広報としての働き方を構築していく必要があった。自問自答を繰り返す中で感じた広報という仕事の楽しさと難しさについて語る。【talentbookで読む】

“伝える”をカタチにする楽しさを学び、広報という仕事に興味を持つ

遠藤は、大学時代に社会が抱える諸問題を考察し、その解決案を映像やメディアを通じて発信するための知識や技術、プロセスについて研究していた。その研究を通して、自身の想いや考えを“伝える”ことの楽しさを学ぶ。これが、遠藤が広報という仕事に関心を持つ原点となる。

遠藤 「学生のころは、インターネットやスマートフォンが社会生活のあらゆるシーンに浸透していて、TwitterやFacebook、YouTubeといったSNSを、個人も企業も積極的に活用していました。私自身、当時所属していた軽音楽部のSNSを運用していたときに、投稿を見てくれた地元のラジオ局が取材に来て、番組内で紹介してくれたことがあり、とても印象に残っています。

だれでも簡単に、さまざまな方法で自分の想いや考えを発信できること、そしてSNSが持つ影響力の大きさに驚きを感じました」

その一方で、遠藤はインターネットを活用した情報発信の難しさも学んだという。

遠藤 「私が所属していたゼミの教授が、写真・美術・映像・デザインの専門図書館と、写真教室を運営していました。私はアルバイトとして、SNSの運用やチラシ・POPの制作、お客様からの問い合わせ対応などを担当していたのですが、集客を目的にSNSを運用してみると、私たちが伝えたい情報がターゲットに届かないことを痛感しました。

インターネットには膨大な情報があり、私たちの情報が埋もれてしまうんです。より多くの方に来館してもらうためには、どのような情報を発信すれば興味を持ってもらえるのかと悩みながらSNSへの投稿内容を考えました」

また、インターネットで想いや考えを発信していく上で、表現力、デザインに関する知見の重要性も感じたという遠藤。情報を正しく、わかりやすく伝えていくためにはデザインに関する知見も必須だと考え、ダブルスクールでグラフィックデザインやアートディレクションの基礎についても身につけた。

企業の想いや考えを、メディアを通して伝えていく広報という仕事に就きたい──大学での研究やアルバイト経験を通じて、そう考えるようになった遠藤は、教授から紹介され、広報担当者を募集していたJMASに就職する。

「これって広報の仕事?」自問自答を繰り返しながら、一歩ずつ階段を上がる

2017年にJMASに入社すると、最初に配属されたのは事業企画部。JMAS独自の製品を企画し、開発から販売までをワンストップで担当する部門だ。当時、JMASには広報チームがなく、事業企画部内のマーケティングチームが広報も担当していた。

マーケティングチームでは、マーケティングオートメーションツールを導入し、Webマーケティングの実践と最適化を推進。ネットとリアル両面でのリード獲得から、JMASへの関心度を高めるリードナーチャリング、インサイドセールス、セールス担当への引渡しプロセスまでの整備を進めていた。このプロジェクトに遠藤も携わることになる。

遠藤 「入社の面接で、『当面は広報という枠にとらわれずに、さまざまな業務を担当してほしい』と言われていました。広報専門のチームがないことも聞いてはいたのですが、最初の業務がWebマーケティングやインサイドセールスに関するものだったので、驚きました。同時に、経験のない領域で自分に務まるのか不安もありました」

遠藤が担当することになったのは、メルマガ発行や、JMASの製品やサービスに問い合わせがあったお客様のフォロー(インサイドセールス)といった業務。

遠藤 「広報らしい業務はなく、今の仕事が広報担当者として成長していく上で役に立つのか悩んだ時期もありました。でも、振り返ってみると、とても重要な経験をしたと思います。情報を発信する際、相手の立場によって内容や書き方を変えることの重要性を学べたからです。

たとえば、セキュリティ関連の製品であれば、その製品を使う現場の社員、製品を管理する社内の情報システム部門、最終的に導入を決裁する経営層という3人に情報を届ける必要があります。立場が違う3人に同じメッセージで想いを伝えても、心を動かすことはできません。それぞれ課題や実現したいことが変わるので、同じ情報でも内容や書き方を変更することが重要です」

また、学生時代にデザインの重要性を実感していた遠藤は、JMASが得意領域としているUX/UI、デザイン思考の考え方についても積極的に学ぶ。

遠藤 「新サービスの是非や解決すべき課題の取捨選択を4日間で導き出すデザイン・スプリント、製品・サービスのユーザビリティやUXをユーザー目線でチェックするユーザーテストなども知りました。こういったデザイン思考が身についたことで、相手の心を動かすための情報をどのように選ぶかという整理術も学ぶことができ、広報担当者の“初めの一歩”として良い経験を積めました」

自ら考えて行動し、広報として仕事の幅を広げる

入社して1年が経つと、一般的な広報としての業務が増加。ニュースリリースの作成・配信、配信後の効果検証、さらにメディアリレーション構築のためのメディアキャラバンやSNSの運用、インナーブランディングに関する取り組みなどの業務を担当するようになった遠藤。

遠藤 「事業企画部は、常に新しいサービスを検討していて、既存製品のバージョンアップなども計画しています。新サービスや新規機能を提供する際には、ニュースリリースを作成し、そのリリースを持参して、各メディアの記者の方たちと話をするようにしました。

忙しい中で時間を割いてもらうので、私たちの情報をなぜ聞いてもらいたいのか、どのように読者の役に立つのかを明確にしなければいけません。事前の準備や検討に時間はかかりましたが、多くの記者の方たちが話を聞いてくださり、さまざまなメディアとのネットワークを構築できました」

さらに遠藤は、JMASの広報活動の質をより向上させるために、プレスリリースの配信結果をレポートにまとめ、関係者に共有する取り組みも開始した。

遠藤 「私はまだ広報として駆け出しですが、企業サイドが書きたい情報とメディアが必要とする情報が同じとは限らないということを知りました。企業としては、サービスの機能や導入の結果などを伝えたい。でも、メディアはその企業やサービスを宣伝したいわけではなく、社会的意義や読者にとって価値のある情報を掲載したいんです。そのため、実際に出したリリースがどのようにメディアに取り上げられたのか、どの程度閲覧されたのかを社内の関係者に展開することが重要だと考えました。

ニュースリリースは、そのサービスや製品に携わった人の熱い想いがあってこそ書けるもの。その想いを少しでも多くの人に知ってもらうために、文字というカタチにして届けるのが広報の仕事だと思っています」

遠藤はほかにも、インナーブランディング強化に関する取り組みや、PRプランナー資格の取得、広報の勉強会への参加、他社の広報担当者との交流など、広報担当者として成長するために、さまざまな挑戦をする。

遠藤 「JMASは、チャレンジ精神を重視する風土があります。もともと広報という組織がなかったからこそ、私もいろいろなことにチャレンジできました。もちろん、難しい局面も多々ありましたが、同じチームのメンバーはもちろん、他部門の方も私のチャレンジを後押ししてくれたのです。うまくいったものも、いかなかったものも、すべてが良い経験です」

独立系SIerであるJMASを成長させる広報担当者をめざして

手探りしながらの広報活動に、自問自答の日々を過ごした遠藤。幾度となく壁に阻まれても怯まず、広報としてのスキルを磨き続けた。2023年4月現在は、「独立系SIerであるJMASにとって最適な広報活動とは?」をテーマに掲げている。

遠藤 「JMASは、大手上場企業と比べると、広報として対応する領域は広くありません。現状は受託開発事業と自社製品開発がメインですから、事業として訴求する領域も限られています。その中で、どのような情報を発信していくことが会社の成長に貢献できるかを常に考えています。

たとえば、JMASには“集団天才”という言葉があります。個人の能力に限界はあっても、個々人の能力と知力を結集できれば、全体としてより大きな力を発揮できるという考え方です。JMASはこの考えをもとに、ベテランと若手が融合し、常に新しいことにチャレンジして難しい局面を打破しています。この文化、風土を多くの人に知ってもらいたいと思っています」

そこで遠藤は、働く人にフォーカスを当ててJMASを紹介できるtalentbookの運用を開始した。

遠藤 「国内だけでも独立系SIerはたくさんあります。その中で、私たちの存在を認知してもらうために、事業領域という外面だけでなく、“JMASで働く人”という内面も表現していくべきだと考えました。JMASに在籍する多彩なエンジニア一人ひとりの内面を紹介することで、JMASの良さや技術力の高さを感じてもらえるのではないかと考えました」

広報のためにtalentbookの利用を開始した遠藤だが、人材獲得という面でもプラスの効果を感じている。

遠藤 「採用チームから、『talentbookの記事でJMASの文化、風土、一緒に働く人のイメージができたから志望したという人が増えている』という話を聞きました。今までは媒体掲載数やホームページのPV数などで仕事の反響を感じていましたが、社員の声として結果を受け取れたことが、すごく嬉しかったんです。

転職活動には、エージェントやスカウト、リファラルなどさまざまな方法がありますが、応募する企業が自分に合うかどうかを、じっくり調べる時間がない方も多いはず。そこで、talentbookに掲載した情報をはじめ、JMASの最新情報をまとめたメルマガを定期的に配信する取り組みを始められるよう、採用チームと連携したいと思っています。広報活動の一環として、採用領域におけるコンシェルジュのような取り組みができるとおもしろいですよね」

さらに、今後の目標として、JMASも所属する日本能率協会グループ(以下、JMAグループ)の各法人と連携した情報発信を強化していきたいと話す。

遠藤 「JMAグループの各法人には、それぞれに突出したノウハウがあり、多彩な人材が在籍しています。ですが、各法人が独自で実施する広報活動には、配信できる情報量という意味で限界があります。JMAグループ全体で広報活動を推進することができれば、各社が独自で実施する“点”の広報を、“線”にも“面”にもできると考えています。

クライアントのビジネスを推進する上で重要なシステム、コンサルティング、調査、人材育成をグループで保有していることが、JMAグループの強みです。連携を強化して、グループ全体でシナジーを生めることをめざします」

株式会社ジェーエムエーシステムズ

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