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“段取り8割、仕事2割”。大手ゼネコンから転職した現場監督がめざす、建築ゼネラリストへの道

▲愛犬のために作った犬小屋で、あらためてものづくりの楽しさに気づく

2021年京王建設に中途で入社した山口 明徳。彼は、自分がやるべき建築の道と向き合う時期があり、そのときに出会った京王建設に転職しました。そんな山口が建設業をめざしたきっかけ、最初の現場経験とそこから転職に至った経緯、そして山口がこれからめざすキャリアプランについて語ってもらいました。【talentbookで読む】

小さなころから大好きだったものづくり。展望台は自分の居場所。

現在、山口は建築本部 建築工事第1部 工事第2課に所属しています。幼少期はDIYが趣味の家族と一緒に、ものづくりに没頭する日々でした。

「田舎育ちで、父親がDIYが得意だったこともあり、小学生ぐらいから丸太を切り出しては、椅子や動物(鹿)などを作ったりして創作活動をしていました。

あるとき、知り合いから犬を引き取ることになって、その犬小屋を作ることになりました。ただこの犬小屋に関しては、父の力を借りずに自分と妹と2人で作りました。もちろん子どもがする作業ですから、寸法通りに断裁してもうまく組み上がらなかったり、手をハンマーで叩いたり(笑)。今でも苦労したことを思い起こします。

でもその分、完成したときには達成感がありましたし、ものを創る大きな喜びはこれがきっかけで生まれた気がします」

ものづくりへの想いは日に日に大きくなり、山口は大学も建築学科を専攻。とくに高い建物に強い憧れを抱きます。

「学生のころから展望台に上るのが趣味で、デートコースに1日3つの展望台を詰めこんで彼女を困らせてしまったこともありました(笑)。六本木ヒルズに東京タワー、スカイツリー、東京都庁など、関東近郊の展望台はほぼ登ったと思います。観覧車もですね。高いところから景色を見るのが本当に好きなんです」

さらに学生時代、長期休暇のときには建築現場に足しげく通い、進んで建設の世界を理解することに務めました。

「あるご縁があって建築現場の短期アルバイトをしたことがあります。そこで知り合った現場の方々とも仲良くなりました。職人さんや現場監督さんの中には、休みの日にバイクでツーリングしているお話を聞いたときは、仕事と私生活の両立をしている方もいらっしゃるんだと意外に思ったものです。

実際の現場では、学校で勉強している内容と作業がリンクしているところもあれば、新たに学べるところもあり、建設業により興味が湧きました。さらに作業をこなしていく中で、とくに管理の業務に関心を持ちました。

現場の職人さんはその道のプロフェッショナル。現場を作り上げるのになくてはならないパズルのピースのような存在であるならば、施工管理の仕事は、職人さんを束ねて現場をスムーズに進行させ、パズルを完成させるプロデューサーのような役割です。俯瞰して物事を把握しながら、ものづくりができる仕事に強く惹かれました」

大手ゼネコン就職で感じた、建設業のダイナミズム

▲最初の就職先について語る山口

大学卒業後、山口は全国展開する大手建設会社に就職します。研修後すぐに九州に転勤。その後、多くの現場に立ち会ってきました。

「一年目から転勤で九州に異動となりました。ずっと関東に住んでいたので、最初はホームシックにもなりました(笑)。ただ、現地の皆さんとすぐに打ち解けることができたので、転勤中も楽しく過ごすことができました」

地方転勤後に最初に立ち会った現場は公共官庁の仕事でした。

「裁判所を新築する仕事でしたが、とにかく写真撮影の物量に驚きました。現場に搬入するすべての工具や材料を写真に撮って記録し、それを現場から搬出するときも同じことを実施します。

スーパーで例えるなら、商品を品出しするときにすべての品を写真に撮って、お客さんがレジを通って支払いするときに再度すべての商品を写真に撮って記録する作業のようなものです(笑)。税金が使われている事業は、より報告が重要視されるので、その点は理解して現場に臨んでいました」

さらには、工場や商業施設とも違う特殊建築物という案件にも携わりました。

「スポーツジムの建設現場にいたときなんですが、建築物の特性上、特殊な工種が本当に多かったんです。職人さんもその道の専門家の方が集まり、材料も多種多様な珍しいものばかりでした。

たとえば施設に併設するサウナは、設置場所は福岡であるにも関わらず、わざわざ関西から施工会社さんがいらっしゃいましたし、プールの業者さんはこの現場が終わるとまた別の地方へ移動して全国的に仕事をしているなど、普段では接することができない方々とご一緒できた現場でした。常に発見や学びがあって刺激的でした」

順風満帆のように見えた山口のキャリアパスでしたが、さまざまな経験を積むにつれ、思い悩む部分もありました。

「地元の関東に身を固めたいという想いはありました。前の会社は全国勤務が当然で、一度転勤するとそのままの方もいらっしゃいました。大手ゼネコンに勤める宿命みたいなものかもしれません。私はたまたま九州から東京に転勤で戻れるタイミングがあったので、その際に一級建築士の勉強にも力を入れようと思っていました。

しかし当時の会社はかなり忙しく、勉強と仕事を両立するのが現実的ではありませんでした。そんな環境が自分を見つめ直すきっかけとなりました」

一級建築士の勉強にも本腰を入れるために前の職場を離れ、次の仕事を探していたときに出会ったのが、京王建設でした。

「いろいろな会社の面接を受けましたが、地域密着型という印象を一番受けたのが京王建設でした。

また以前勤めていたスーパーゼネコンだと、仕事が縦割りになりがちで、左官なら左官、塗装なら塗装など、施工管理の中でもプロフェッショナル的な役割を与えられることが多いんです。そういう環境でキャリアを積んでも専門家的なところで止まってしまうイメージがありました。

そういう点で京王建設はすべての業務を横断的に任せてもらえる、裁量が多い印象があって、もともとなりたかった施工管理士のイメージと合致したんです。それが再就職の決め手でした」

物事は俯瞰で見る。段取り8分仕事2分の建築ゼネラリストに

▲京王建設で最初に携わったイエローハット府中西原店

山口が京王建設に就職して最初に就いた現場は、商業施設の施工でした。

「イエローハット府中西原店を担当しました。ほぼ最初から現場には入れたので、混乱が少なくてよかったです。入社間もない私に対して当時の所長がフォローをしてくれて、現場を勉強する環境づくりをしっかりやってもらいました。

所長は、私の経験が足らない部分をあえて担当させて、苦手分野を克服させていくといったスタンスでした。ハードな現場ではありましたが、愛のある厳しさだったと今は思います。職人さんたちもいい方ばかりでしたし、やりやすい部分もありました。自分の直属の上司にであった主任にも、かなりの部分でカバーしてもらったことにも感謝しています。本当に勉強になった現場です」

京王建設の現場仕事を通して、それまでの仕事と変わった部分もみえてきました。

「やはり今までと違うのは、さまざまな仕事を複合的に見て動くという点でしょうか。何かに特化した形ではなくて、現場監督の人間も所長と一緒に物事を俯瞰で見て仕事をしていくやり方ですね。

今までは、段取りが組まれたらそれ中心で物事が進行していくことが多くありました。現場自体が大きいので、イレギュラーが起こっても、組織の力をもって段取りから物事を考えていく体制でした。

それと変わって今は、どちらかというとイレギュラーが起きたとき、どうしたらうまく凌いでいけるか、現状の中で有効な手立ては何なのかを考えることが主眼になっていると感じます。

その分仕事は時間的にも作業的にもタイトになり、緊張感も増しますが、やりがいもあります」

また、別の現場で体験した、“コミュニケーションが活発”なことや、“フラットな組織運営”も京王建設の魅力だと言います。

「たとえば設備室の方は少数精鋭で、他の現場に行っても連絡する方は同じ方になることもあり、親近感が湧きました。

東芝府中の現場を担当したときは、設備更新業務の現場監督という立場で作業したのですが、コミュニケーションが多く発生する現場で、さまざまな報告などを設備の課長補佐や課長の方とやり取りしました。

立場的にも通常の業務だとそこまでお話できない皆さんだったので、知り合いになれてよかったと思っていますし、貴重な経験でした。新参者の私でも、こういったチャンスに恵まれるのが京王建設の特徴かもしれません」

山口には建設の仕事をしていく上で、一貫してめざしている資格、身につけたい心構えがありました。職場が変わった今も、それに向かってチャレンジし続けています。

「一級施工管理技士の資格は施工管理を行う上で必須だと思います。ただ私は一級建築士にこだわっています。

前の会社では取得が義務のような雰囲気もあったこともありますが、自分の箔付けにもなりますし、会社の価値にも貢献できる資格と認識しています。ぜひチャレンジしていきたいですね。

ほかにも特殊なもので小型移動式クレーンやフォークリフト技能の資格も持っています。現場の職人さんとお話する際に、指示するのに仕組みを理解していないのがいやだったんです(笑)。実際には資格を持っていなくても作業は進むと思いますが、取得してよかったと感じています。

それと、資格とは別のマインド的な要素ですが、知らないことを吸収し、それを反映して計画や実行して仕事をしていく気持ちを常に持つことは重要だと思っています。自分が大事にしている言葉の中に“段取り8分仕事2分”というのがあります。前の所長の口癖で、常に心がけて行動していますし、ついついプライベートでもそういった側面がつい出てしまうことがあります(笑)。

タスクはたくさん用意して、省くところは省く、そういったやり方が自分に向いてるのかもしれません。今後はより良い建物を作れるように、技術力の向上と経験を重ねて、広い視野を持ってゼネラリストとして仕事をこなせるようになりたいと思っています。

目標は強大な建築物。自分が登って屋上から景色を見られるような施設を造りたいです」

楽しさとは裏腹に、きついイメージが先行する建設現場。それを覆すためにできること

▲職人さんと手を携えて、より大きな建築物に挑んでいく

今まで数々の現場をこなしてきた山口にあらためて建築業の魅力を振り返ってもらいました。

「主に二つあります。一つは多くの職人さんと出会えて、皆さんと仕事ができること。職人の方は本当に情が厚い方が多いです。一度会った職人さんと何度もご一緒することもあって、実際今日もあったんです(笑)。

仕事はうまくいくことも失敗することももちろん両方ありますが、職人さんたちはその現場ごとに見守りつつ、ひとつの現場が終われば次の現場ではどう成長しているかを見てくれる部分がありますね。こちらが仕事で応えようとしたものに対して、しっかり受け止めてもくれます。建設業は“情”で仕事が動いていく部分結構あると実感しています。

もう一つはものができあがる、自分が携わったものが形に残るということです。完成した物件はよく見に行きます(笑)。建物の完成間近に足場が解体されて全容が見えてくると思わず興奮しますね。

さまざまな物件を任せてもらいましたが、昔携わった九州の物件などは、現地に行く機会があれば寄るようにしています。建物を通して人々が笑顔で使っている姿を見たり、自分がこだわった部分を見直すと感慨深いです。

また、違う観点から見れば、建物自体が便利だったり美しかったりすることで、人々に感動を与えられる仕事でもあると思います」

そんな心をつかまれた建設業界をより発展させるべく、山口心がけていることがあります。

「建設業は労働環境が厳しいイメージがありますが、きつい、厳しい、帰れないなどということは確実に少なくなっています。技術革新、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって業務改善は行われていて、たとえば鉄筋とかもロボットで組んだりもしていますよね。そういう現実の中で、企業も現場も職人さんたちも大きく変わってきています。

業務改善については何が正解というのは難しく、自分自身常に試行錯誤中です。できるだけ作業の効率化を考えて行動するようにしています。たとえば後輩の手が止まってしまったら声をかけてあげて次の作業を指示してあげるとか。小さなことですが、彼ら彼女らの経験にもなるし作業のスピードも上がる。そういったことの積み重ねが大事だと今は思っています」

実際、京王建設に勤めてみて、メリットだった部分は何だったんでしょうか?

「あらためてになりますが、転勤が少なくて、自分の住んでいるエリアで腰を据えて仕事ができることは本当に一番大きいこと。そして、自分が仕事をする上で、ただの“歯車”になるといった感じがないことです。一つのパーツではなくて、全体を見ながら物事を組み上げていく仕事は魅力的ですね。大手ゼネコンだと、どうしても縦割りになりがちですから」

そして、これから京王建設をめざす仲間たちに贈るメッセージがあります。

「昔に比べれば残業は少なくなり、休暇も増えています。学生のときに考え、気づいたことは、面接時や就職後などで自分の意見として会社の人や関係者の人にどんどんぶつけてほしいです。ちゃんと受け止める環境はあります。

私は学生時代から建設現場で働く人や設計事務所で働いている人と関わることがあり、それが人生の選択肢が広がるきっかけになりました。誰だってこれら働く場所をより知りたいと思うのが当然なことだと思います。

建設業をめざすなら、京王建設のインターンなども視野に入れてみたらどうでしょうか?もし一緒に仕事するときはお互いに頑張りましょう!」

京王建設に勤めて3年目になる山口。これからも俯瞰の視点を持って現場に臨み、仕事に励んでいきます。そしていつか、自らが建てた“広大な景色を見下ろせる建築物”ができるまで、彼のものづくりは続いていくに違いありません。

※ 記載内容は2023年6月時点のものです

京王建設株式会社

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