睡眠によって人生は輝く。寝具ブランドの新任オーナー、その挑戦と想い | キャリコネニュース - Page 2
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睡眠によって人生は輝く。寝具ブランドの新任オーナー、その挑戦と想い

▲ビジネスリーダーシップデパートメント本部長の稲垣みずほ

▲ビジネスリーダーシップデパートメント本部長の稲垣みずほ

販売数600万枚超、そして2017年度マットレス市場売り上げ金額NO.1の実績を築きあげてきた寝具ブランド「トゥルースリーパー」。2016年から同ブランドのオーナーを担当しているのが、ブランドビジネスリーダーシップデパートメント本部長の稲垣みずほ。その挑戦とプロダクトにかける想いに迫ります。【talentbookで読む】

自分の代でこのブランドを絶やしてはいけない。新任オーナーの決意

オークローンマーケティングが運営する「ショップジャパン」では、エクササイズ用品や寝具、キッチン用品など、ユニークな商品を世界中から様々にラインアップしています。

そして数多くある商品のなかでも最も歴史の長いロングセラーブランドが、2003年から販売を開始したトゥルースリーパーです。ブランドビジネスリーダーシップデパートメント本部長の稲垣みずほは、このブランドの進化に貢献してきました。

稲垣 「朝の目覚めのよさは、睡眠の質が深く関係しています。一日の始まりが気持ちいいものだと、その日一日が明るいものになり、人生が輝いていくと思うんです。トゥルースリーパーは寝具を通して、お客様にこの価値を提供しています」

そう語る稲垣は、2004年に新卒で入社。最初の2年間を除き、一貫してマーケティングに携わってきました。そんな稲垣がトゥルースリーパーの担当に着任したのは2016年のこと。

稲垣 「それまで様々な商品のマーケティングに携わってきましたが、トゥルースリーパーに関わり始めた当初は規模感の違いに驚きました」

そもそもトゥルースリーパーは稲垣が着任した時点で、ショップジャパンのメインブランド。発売以来お客様満足度は90%以上を保ち、400万人以上のお客様に愛され続けています。他の商品と比べ、会社から期待される売り上げや予算規模は全く違いました。

トゥルースリーパーはショップジャパンにとって大切なブランド。会社の20年の歴史のなかで、16年以上にわたり販売し続けているロングセラーです。それは即ち、これまで多くの社員がこのブランドに携わり、様々な想いや苦労を積み重ねながら、このブランドを育ててきたということでもあります。

だからこそ稲垣は、自分の代でこのブランドを絶やしてはいけないし、お客様に満足いただけるものをお届けし続けなければいけないと決意しました。

あらゆるお客様の睡眠を解決するために。取り組んだ組織体制づくり

▲開発に着手したまくら「トゥルースリーパー セブンスピロー」は、発売から1年あまりで出荷数50万個を突破した人気商品に

▲開発に着手したまくら「トゥルースリーパー セブンスピロー」は、発売から1年あまりで出荷数50万個を突破した人気商品に

ブランドに携わってから、稲垣がまず最初に取り組んだのが組織体制づくり。ブランドを統括するタイミングで、マーケティング部門とプロダクト開発部門を同じ組織に置くことを上司にお願いしました。

稲垣 「マーケティングとプロダクト開発が同じ組織内というのは、メーカーや事業会社ではかなり珍しいと思います。マーケティング側からマーケットリサーチや顧客データに基づいた斬新な商品コンセプトを、プロダクト開発に落とし込むとき、コストや開発時間が原因で当初案よりコモディティ化した製品になってしまうことがあります。
しかし両方の責任者となることで、差別化のポイントは残しながらどう本製品に落とし込むか、スケジュールも含めて両者の意見を十分聞き判断できます」

とはいえ稲垣は新卒で入社して以来、ずっとマーケティング畑で働いてきた人間。そのためプロダクト開発に関する専門知識は、イチから勉強し直したと言います。

稲垣 「私自身の成長にもつながりましたし、トゥルースリーパーが寝具の総合ブランドとして成長するきっかけにもなったと思います」

この組織編成が具体的な成功に結びついたのが、まくらの開発でした。稲垣がトゥルースリーパーのブランド責任者につくまで、トゥルースリーパーが注力していたのはマットレスブランドとしてラインナップを充実させること。

しかし稲垣は、それだけではお客様のあらゆる睡眠の悩みに応えられないと考えます。

稲垣 「直営店での接客経験だったり、ご購入いただいたお客様からのアンケートを読み漁ったり、お客様のリアルな声に触れれば触れるほど、マットレスだけではお悩みを解決できないのではと思い始めました。
消費者ニーズを調査していくと、合わない寝具の解決策として、マットレスよりまくらを探しているお客様のほうがたくさんいることに気づいたんです。また、市場規模もマットレスよりまくらの方が大きい」

そうした外部環境を稲垣は、すぐにプロダクト開発に反映。マーケティング組織とプロダクト開発組織を統括したことにより、マーケターとして気づいたこのお客様の睡眠に関する悩みを、すぐにプロダクト開発に生かせるようになりました。

2019年現在トゥルースリーパーではマットレスはもちろんのこと、まくらも大きな柱になっています。

稲垣 「プロダクト開発とマーケティングの両軸でブランドを見れるようになったことで中長期的な目線になり自身のキャリア成長につながってると感じます。フレキシブルに組織の相談ができる会社に感謝しています」

時間は限られている。やる気あるメンバーに囲まれるなか、感じる困難とやりがい

▲科学のチカラで羽毛を超える暖かさを実現した掛け布団「トゥルースリーパー ホオンテック掛け布団」

▲科学のチカラで羽毛を超える暖かさを実現した掛け布団「トゥルースリーパー ホオンテック掛け布団」

ブランド担当に就任してから、チームを取り仕切る立場として困難もありました。

稲垣 「ショップジャパンのメンバーたちは、お客様の期待以上のものをお届けできるよう、頑張りすぎる癖があります。特に、商品の訴求開発に関しては妥協をしません。その訴求の根拠となるデータ収集は、スケジュールを遅延する・しないの瀬戸際まで粘りますし、むしろそれで遅延することもあります。
なので『どこまで粘るか』『粘るなら何を捨てるか』、時には彼らの頑張りとは別に、冷静なジャッジが必要な場合があります」

その難しさに直面したのが、2017年にホオンテック掛布団を販売したとき。こちらの商品は当初、「羽毛の1.6倍の暖かさ」という訴求で販売していたのですが、他社の掛布団でも同じ訴求があることがわかったのです。

稲垣「何としてでも、もっと魅力的なマーケティングメッセージを打ち出したい。マーケティング担当者もプロダクト担当者も、検証を続けましたが、なかなか良い結果がでず、時間だけが過ぎていきました。
その時も天秤にかけたのはやはりスケジュールと訴求の強さです。2017年に販売が振るわなかった掛け布団の再起をかけるには、スケジュール(季節性)より訴求の強さだと判断しスケジュールを数週間遅らせる決断をしました。その結果『羽毛の3倍の暖かさ』という他にはない魅力的な訴求文言ができ、売り上げにも貢献することができました」

精度を上げるための時間は限られています。スケジュールを倒してでもよしとすべきか、その判断はいつも難しいと稲垣は言います。

稲垣 「ホオンテック掛布団のときはよかったのですが『諦めなければいけない』という選択をしなければいけないこともあります。そのときが一番苦しく不安になる瞬間です」

それでも新商品が軌道に乗ることで、関わったメンバーが喜んでいるのを見ることが、稲垣にとってブランドに携わるなかで、最もやりがいを感じる瞬間だと言います。

稲垣 「当社はとてもスピード感のある会社です。ひとつの成功が見えると、さらにそれを飛躍させていこうと、全社が協力してくれる。それによってビジネスの機動力・スピードがものすごく上がります。この空気感はいつもワクワクしますね」

またお客様から商品を使った後にいただける喜びの声も、稲垣の原動力。ホオンテック掛布団を販売した際にも、こだわった保温性に対して嬉しいお言葉が。

稲垣 「実際にお客様から『これ 1枚で十分あたたかいです!』というコメントを複数いただきました!商品の品質も確認できたとともに、お客様の生活に自分たちの商品が溶け込んだんだなと実感できると思うと、本当に感動します」

睡眠の大切さは、まだ知れ渡っていない。トゥルースリーパーで実現させたい

▲「トゥルースリーパー」ブランドのタグライン

▲「トゥルースリーパー」ブランドのタグライン

稲垣 「睡眠が大切であることを多くの方に知ってもらいたいんです」

稲垣はトゥルースリーパーによって実現させたい想いについて語ります。

稲垣 「一日の 1/3の時間は睡眠です。睡眠の質によって寝起きのリフレッシュ感や次の日の活動が全然違います。 30代前半ごろまでは、私も全然睡眠の大切さをわかっていませんでした。横になったらすぐに寝ることができたので。
しかし年齢を重ねるにつれて、眠りが浅くなっていると感じます。特に出張でホテルに泊まると、寝具に違和感があり、なかなか寝つけないときもあります、今では寝具の大切さを実感していますね」

実は寝具に関して、クラスター分析をした結果57%の人が低関与層だと認識しました。

稲垣 「毎日同じ場所に敷きっぱなしのものなので、重要視してる方が少ないのだと思います。たとえば実家に住んでいる学生さんなんかは、自分の好みで寝具を選んでいる人は少ないんじゃないでしょうか。それから、定期的に寝具を変えるという文化もなかなか浸透してないと思います。寝具(マットレス) 1枚で快適な眠りになるということを、もっと伝えていきたいです」

そんな稲垣は、今後のトゥルースリーパーの目指すべき姿として、もっとお客様の睡眠に溶け込んでいく大切さを語ります。

稲垣 「トゥルースリーパーが掲げる「眠りのデザイン」は、何も寝具だけにこだわる必要はないと思います。たとえば寝室の空間も眠りに影響します。そういうところまでカバーするブランドになっていきたいですね」

トゥルースリーパーと共に、稲垣はこれからも、お客様の睡眠に真摯に向き合うブランドを守り続けていきます。

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